今回は、京王線の高幡不動駅から分岐する京王動物園線の終点、多摩動物公園駅です。名前の通り、多摩動物公園は目の前にありますが、中央大学および明星大学の最寄り駅の一つでもあります。かつては多摩テックの最寄り駅でもありました。また、現在は駅の真ん前(というより構内でしょうか)に京王れーるらんど、京王あそびの森HUGHUGがあります。
京王動物園線には多摩都市モノレールが並行しています。モノレールの開業前には通学路線ということで中央大学および明星大学の学生が多く利用していましたが、モノレールが開業して中央大学・明星大学駅が開業したことによって乗客が減少し、編成は短くなった上にワンマン運転となりました。ただ、モノレールの運賃が高いこともあり、京王動物園線の通学路線としての役割が完全に失われた訳でもありません。
乗車するとわかりますが、京王動物園線は単線であるにもかかわらず、ほぼ全線(といっても途中駅がないのですが)にわたって複線の用地が確保されています。これは、多摩動物公園に向かう乗客への対応が考えられたからということのようですが、それだけでなく、多摩ニュータウンへの鉄道路線の一つとして想定されていたことが考えられます。実際に、多摩都市モノレールのルートを想起すればわかるように、多摩動物公園駅から東京都道156号に沿うように延長すれば京王多摩センター駅に着きますし(但し、東京都道156号の多摩丘陵トンネルは多摩都市モノレールの開業から相当の時間が経過してから開通しました)、方向によっては京王堀之内駅か南大沢駅のほうに延長することもできたかもしれません。
しかし、多摩ニュータウンへの公共交通機関としての想定は、早い段階で消滅しました。これは、京王動物園線が勾配と急カーブの連続で最高速度も制限されること、京王線の新宿駅から多摩動物公園駅までの直通列車を走らせるとなれば高幡不動駅でスイッチバックをせざるをえないことが理由となっているようです。それだけでなく、仮に高幡不動駅から京王多摩センター駅への路線を建設したとしても、多摩ニュータウンの一部分しかカヴァーできず、通勤通学路線としては不十分なものにしかならなかったでしょう。多摩市の永山地区や稲城市の向陽台地区などを通らないからです。
また、多摩ニュータウンは東京都や日本住宅公団(現在の都市再生機構)などが主体となって開発された所であり、京王や小田急は東急や阪急のような開発手法、たとえば東急田園都市線と多摩田園都市のセットというような方法を採りえなかったのでした。これは多摩ニュータウンにおける地域公共交通網に大きな影響を与えたのみならず、京王や小田急の経営に暗い影を落とすこととなります。京王相模原線は、現在でこそ黒字路線ですが、開業から長らく赤字が続き、かなり高額な特別加算運賃にもなっていました。小田急多摩線に至っては黒字路線になったことがないそうで、現在に至るまで唐木田駅からの延長計画は実現しておらず、風前の灯火というような状況です。
多摩動物公園駅の2番線にワンマン運転の4両編成、7000系の7802Fが停車しています。多摩都市モノレールが開業する前は、手前の柵は設けられていなかったのですが、モノレールの開業による乗客の激減により、2番線には4両編成しか停まらないようにして柵が設けられたのです。普段はあまり使わない1番線には8両編成や10両編成が入ることもできますが、現在のダイヤでは動物園線から京王線に、または京王線から動物園線に直通する列車はありません(臨時であれば直通列車があるかもしれませんが)。
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