ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

豊肥本線、4年4か月ぶりの全線開通

2020年08月08日 19時27分20秒 | 社会・経済

 私もかつては沿線住民でした。

 JR九州の豊肥本線は、2016年4月の熊本地震により、肥後大津〜阿蘇が不通となっていました。赤字路線であるだけにどうなるかと思っていましたが、復旧工事が進み、今日、全線開通しました。

 肥後大津〜阿蘇はとくに被害が深刻で、レールの寸断箇所などが多かったのです。また、熊本地震の後には豪雨もありました。困難な状況ではなかったかと思われます。

 復旧したのは何よりですが、懸念材料もあります。

 まず、豊肥本線で利用客が多いのは熊本〜肥後大津(電化区間)と中判田〜大分です。これに対し、同線の宮地〜豊後竹田と豊後竹田〜三重町はJR九州の赤字12路線17区間に入っています。以前から、熊本県と大分県の県境を越える宮地〜豊後竹田の利用客は非常に少なく、普通列車の運転本数も少ないのです。また、三重町〜中判田は赤字12路線17区間に入っていませんが、運転本数も減りますし、私が住んでいた頃にも乗客は少なくなる傾向があります。

 次に、7月の豪雨で八代〜吉松が不通となっている肥薩線です。この、元々は鹿児島本線であったという歴史を持つローカル線も、全区間で輸送密度2000人未満であり、八代〜人吉は赤字額が5億円を超え、人吉〜吉松は被災前に1日3往復しかなかったという区間です。復旧工事を進めても乗客数が増えないのでは、先頃廃止されたJR西日本の三江線のような話になってしまいます。

 運行を再開した肥後大津〜阿蘇は約27.3キロメートルで、復旧工事の総額は50億円でした。一方、肥薩線の八代〜吉松は約87キロメートルです。復旧工事にどの程度の費用がかかるのかわかりませんが、国や熊本県がどの程度の負担をするのかも問われるところでしょう。ただ、動向次第ではくま川鉄道の存廃にも関わるため、慎重な判断を必要とするでしょう。


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