ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

北大阪急行電鉄南北線の延伸は必要か(1)

2015年02月12日 01時22分03秒 | 社会・経済

 最初にお断りをしておきますが、今回は、見出しに「必要か」とあるにもかかわらず、必要/不要の判断はいたしません。これは、私自身が箕面市民などでなく、詳しい判断材料を持ち合わせている訳でもないからです。北大阪急行電鉄南北線を利用したことも数回しかありません。

 たまたま、建国記念の日に朝日新聞社のサイトを見ていたら「大阪)北大阪急行の延伸計画考える集会/箕面市民有志」(http://digital.asahi.com/articles/ASH296D1FH29PPTB004.html)という記事を見つけました。

 かなり短い記事で、今月15日(日曜日)の14時から、箕面文化・交流センターにて「よりよい箕面市の交通をつくる会」主催の集会が行われるという趣旨のものです。テーマは「北急延伸ってほんとうに必要ですか?」とのことです。

 残念ながらこの日に箕面までは行けないのですが、気になる話ではあります。

 北大阪急行といってもおわかりにならない方も多いと思われますので、簡単に記しておきます。新大阪から大阪市営地下鉄御堂筋線の上り電車(江坂、千里中央方面)に乗ります。ほとんどの電車が千里中央行きなので気づきにくいのですが、吹田市にある江坂駅から先、豊中市にある千里中央駅までは御堂筋線ではなく、北大阪急行電鉄の南北線という路線です。一般的には北大阪急行線などと言われています(ちなみに、北大阪急行電鉄のサイトにも南北線という路線名が書かれていないようです)。

 この南北線ですが、千里中央駅から先、およそ2.5キロメートルを延長する計画があります。箕面市のサイトには「北大阪急行線の延伸について(最新情報はこちらから!)」というページがあり、箕面市内に箕面船場駅および新箕面駅(いずれも仮称)を設置するとしています。その上で、箕面船場駅予定地付近に大阪大学(など)と連携して「関西スポーツ科学・ヘルスケア総合センター(仮称)」なる構想を進めようとしているようです。

 箕面市が2014年2月12日付で報道資料として公表した「北大阪急行線延伸プロジェクト・アウトライン」によると、同市において北大阪急行電鉄南北線の延伸が浮かび上がったのは1968年の箕面市総合計画(第一次総合計画)であり、1986年の第三次箕面市総合計画において初めて具体的なものとして書き込まれました。また、1989年の運輸政策審議会答申第10号が「北大阪急行南北線の延伸線 千里中央−箕面中部」について「目標年次(西暦2005年)までに整備に着手することが適当である区間」と位置づけられたこと、2004年の近畿地方交通審議会答申第8号が、北大阪急行電鉄南北線の延伸区間として千里中央から箕面船場を経由して新箕面までをあげ、「箕面新都心、『水と緑の健康都市』の開発等に伴い発生する輸送需要に対応するとともに、当該地域からJR新大阪駅及び大阪都心部へのアクセス機能の強化に資する路線である」、および「道路交通混雑の緩和及び環境負荷の軽減のために資する路線である」と位置づけていることもあげています(箕面市の上記資料からの引用です)。

 2014年に入り、1月27日、大阪府戦略本部会議において、合意にかかる意思決定がなされました。同月末には、阪急電鉄および北大阪急行電鉄において、合意にかかる意思決定がなされています(北大阪急行電鉄は阪急阪神ホールディングスの連結子会社であり、同ホールディングスの子会社である阪急電鉄によって発行済み株式数の過半数が保有されています)。2月から3月まで、箕面市議会が関連議案を審議しており、3月に基本合意書に調印するという予定となっていました。

 また、「北大阪急行線延伸プロジェクト・アウトライン」には事業費についての記述があります。地方自治法に言う債務負担行為に該当し、議会の承認を得なければならないので当然です。内訳は次の通りとされています。

 総事業費:650億円

 建設費:600億円

 車両費:50億円

 建設費については、次のように示されています。

 国:260億円

 大阪府:100億円(上限)

 箕面市:160億円

 鉄道事業者(北大阪急行電鉄。但し、阪急電鉄が含まれている可能性もあります):80億円(採算確保額)

 車両費については、国が25億円、箕面市が25億円を支出する、とされています。

 従って、箕面市の支出額は185億円となります。但し、これはあくまでも計画上の話であり、実際に支出額がどのようになるのかはわかりません。過去の数多の事例を見ても、実際の支出額が計画の2倍を超えるなど、膨らむことは多いのです。或る程度は見越した上で計画上の数字が算出されたのでしょうか。

 さて、この185億円をどのようにして調達するのでしょうか。箕面市は、62億円については直接事業費(「起債せずに直接の事業支出が必要なお金」と説明されています)、123億円については市債で賄うとしています。従って、実際には市債の金利分とされる29億円が上乗せされることとなります。償還期間は20年とされています。

 箕面市の財政事情について詳しい知識を持ち合わせていませんが、「北大阪急行線延伸プロジェクト・アウトライン」には「6.3. 財政基本条例による財源確保ルール」という項目があります。ここに事情が説明されていますので、長くなりますが引用させていただきましょう。

 「北大阪急行線の延伸には多額の資金が必要であり、市の財政に与える影響を考慮する必要がある。

 数年前までの箕面市の財政は、毎年の歳入でその年の歳出を賄えず、長らく基金(貯金)に依存して運営されており、平成19年度、20年度の決算は箕面市始まって以降初めての経常赤字となる最悪の事態となっていた。これを立て直すため、『緊急プラン(素案)・ゼロ試案』による行財政改革に取り組んだ結果、平成21年度から現在まで4年連続の経常黒字(収入の範囲内で支出を賄えている状態)を果たし、また、平成24年度決算では、10年ぶりに完全黒字(臨時財政対策債に依存せずに黒字になる状態)を達成するまでに財政状況が回復している。

 ここまで健全化した財政状況について、たとえ鉄道延伸のための支出といえども、再度の悪化を招くようなことがあってはならない。

 そこで、北大阪急行線延伸に取り組もうとするこの機に、財政基本条例(『箕面市財政運営基本条例』)を制定し、まず財政運営全体の基本フレームを定める。

 そしてその上で、北大阪急行線延伸に必要な支出については、原則として競艇事業収益金と北急延伸基金のみで賄うルールを条例に盛り込む。」

 今回で完結できないため、機会を改めて続編を作成します。 


コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 都営三田線途中下車(22) ... | トップ | 北大阪急行電鉄南北線の延伸... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
箕面東部住民は負担増で要らない。 (HAWK)
2016-09-01 13:22:27
私は、タイトルの通り、東部市民です。現在でも、
最寄り駅が、阪急箕面?阪急北千里?
千里中央?で、正直、不便極まりない。
箕面市民が「阪急箕面」を利用すれば・。始発が6;55
で、仕事が8時開始だと間に合わない=箕面まで20分~30分掛かるし、多い時で1時間に2本。一部、時間帯に走っていない時も有ります。北千里は、少なくともラッシュ時は1時間6本は走りますが・小野原を経由(大回り)と
国道176号の渋滞や雨天で、すんなり行けば20分が・・下手をすれば・・1時間掛った事も・・。千中は・。箕面行が少なくとも1時間に4本・

しかし東部方面は1時間に1本だったり、北千里経由だったり、余野方面だったりとそれぞれ、乗場が異なるので右往左往、乗り損ねたら
一度、地下まで降りて回り、地上へ・。(終バスも早い22時台) ここまで書けば、延伸賛成と思われますが、
「URLに、鉄道評論に挙がってますが・・全くその通り
で、延伸北急で、梅田や中津、南方へ行ったとして、どれだけの負担増=単純に1駅20円増で「萱野」まで40円としても千中へ行った方が安いが、加算運賃で莫大な負担増。

箕面は「村社会で、与党が絶対と言う、古い思考=公共事業・。無駄を省くと言っている、維新も賛成なのですから=現市長が「風見鶏」と異名を持つのです。

で、東京五輪の様に・段々と工事予算が増大し、
先月、市長選(議会)が有りましたが・。当選してから
総工費は「400億を超える」発言・・。

まぁ、「風見鶏で、自民・官僚・・」開通が4年後の
東京五輪と同じ年。「一番列車に乗るんだ!」と現市長が言っていますが・・。「一番列車に乗ったから・・市長選には出ません。後は箕面市民・府民でペイしてね」
で国政に出るのは想像出来ます。
本籍がまだ、静岡に有るので・地元に帰って国会議員
が目標でしょう。

あくまでも、「長年の延伸を達成した人物」になりたいだけです。

延伸より、「箕面市民が、阪急箕面を利用出来ない
(時間が読めないのは、利用選択肢から外れますが・)
時間が読めても、負担増なら話にはなりません。」

当初は、箕面温泉や箕面大滝への観光=
大体、100Km(新大阪なら米原が100㎞)ですと、大阪市内行きにJRはなります。別運賃とバスとJR大阪から
阪急梅田から箕面へ行く方が現在だと270円で済みますし、梅田から30分で行けます。

循環器センターの誘致失敗(周りが風俗営業店ばかり
では、病院は建てられないでしょう。いくら、パチンコ店でも風俗営業ですので・・)

そして、「阪大外国語学部移転」・。とは言え、少子化と
学生なので、定期券は半額・・。職員でも学生に比べたら・・。右肩下がりでしょう・・。乗車は・メインは箕面市民で・・徒歩圏内出ないと・。結局は、「負担増で、
車社会を無くすどころか・・益々、交通費削減で、
バイク人口が増えるでしょう(自動車税は増え増収にはなるでしょう。原付1種が昨年は1000円だったのが、
本年度から倍の2000円ですから・それでも、乗るのは
縦ばかりで、横の方が不便だからです。「萱野に行くのも、山有り谷有りの2.5㎞・・は、通勤には辛いです。」

ランナーとか・この時期は「スポーツ自転車のトレーニングコースになる位のアップダウンの連続ですから・」

北急延伸賛成は「西部市民と自動車持ち位」でしょう。
(私宅は、原付1種だけです。他の住民は、軽自動車、
70歳代でも運転し、100CCを平気で乗り回すので、
元は、神崎川=淀川区でしたが、阪神淡路大震災で
被災してこの不便な所しか無かったのが有りますが・。


返信する

コメントを投稿

社会・経済」カテゴリの最新記事