千葉科学大学が銚子市に対して公立化の要望を出したのは2023年10月1日のことです。これについては「公立化は無理ではないか」において取り上げましたが、その後がどうなっているのか、気になっていました。どうやら、話が全く進んでいないようです。朝日新聞社のサイトに、2024年1月31日10時45分付で「千葉科学大学公立化、銚子市の検討委開けず 教員の雇用形態がネック」(https://digital.asahi.com/articles/ASS1Z7T95S1ZUDCB00F.html)という記事が掲載されていました。
見出しだけで或る程度の内容を知ることができるような記事ではあります。
銚子市と、千葉科学大学を経営する学校法人加計学園は、千葉科学大学の公立化後の「基本的な運営スキームについて協議を進めている」ところです。これは、銚子市が設置する検討委員会における議論のベースづくりのためですが、両者の間にはかなりの隔たりがあると考えるのが自然でしょう。公立化に際して生ずる問題、あるいは公立化によって発生する問題はいくつもあるはずですし、銚子市としては財政負担が発生しない、あるいは発生しても必要最小限に留めたいところでしょう。
そのうちの最大の問題とされるのが、千葉科学大学の公立化後における教員の雇用形態であり、銚子市と加計学園との合意には至っていません。千葉科学大学に在籍している教員は110人ほどであるのですが、加計学園は新設される公立大学法人への所属を求めているのに対し、銚子市は加計学園から教員を公立化後の大学に派遣する形を採ることを主張しています。
現在、●●県立大学、▲▲市立大学など公立大学は地方独立行政法人法で定められる地方独立行政法人のうちの一般地方独立行政法人とされる公立大学法人が設置し、運営するものとされています。同法を読んでも、銚子市が言うように教員を加計学園からの派遣により配置することができるのかは疑問ですが、公立化後の大学の理事長や学長(基本的には理事長=学長ですが、別々とすることも可能です)などを選任しなければならないことからしても、教員全員を学校法人からの派遣でまかなうことは難しいでしょう。また、銚子市の案では、公立化の大学教員の職位はどうなるのかが不透明です。
今後、銚子市は検討委員会において議論を進めることでしょう。ただ、難航が予想されます。
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