青函トンネル その1

2006年07月15日 | 
平舘海峡の穏やかな海を右にみながら
列車は北へ北へと進む。
ここを通るとき、かならず曇っている。
もちろん、そのような気候の場所ではないのだが。
私の運が悪いのかな。
でも、この海峡には曇り空が合うような気がする。
そして、そんな天気でも波は穏やかに寄せては返している。
かつてN君が、赤い猫脚の大きいお膳に蟹を小山のように積み上げて
太宰…いや、この場合は「津島修治」と言った方がいいかもしれない…
を待ち受けていた蟹田の風景を眺める。

鉄道連絡船こそ無くなってしまったが
沖には青函を結ぶフェリーが浮かぶ。

中小国という小さな駅。
ここから三厩へ向けて、津軽線が分岐する。
青函トンネルに向かう線路はここからJR北海道。
列車はどんどん加速する。
ローカル線から一気に高速鉄道に入ったように
本州の北端を更に北へ加速する。

どんなに目を凝らしたって、
「あとは海にころげ落ちるばかり」の断崖は見えないし、
見知らぬ客が「ごらん、あれが竜飛岬。北のはずれ…」と
指を指すこともない。
コメント (2)
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