日本橋の傷

2011年08月05日 | 
日本橋川に架かる日本橋。
日本道路元標のある、いわば日本の道路の中心。

慶長8年(1603)年に最初の木製の橋が
人工の日本橋川(当時は道三堀)に架けられて以来
江戸五街道の起点として
また江戸一番の繁華街としてこの橋を中心に栄えてきました。

現在の花崗岩製の石造二連アーチ橋は
明治44年(1911年)に架けられた19代目の橋。

ということは、関東大震災も、太平洋戦争も、東京オリンピックも
東日本大震災もすべて見てきたことになります。

そんなこの橋に、太平洋戦争の記憶がしっかりと残されています。
機銃掃射の痕と、焼夷弾の痕。

2010年にケミカルクリーニングによる洗浄再生が行われ
白い美しい姿を取り戻しましたが
焼夷弾によって焼け焦げた痕はそのまま残されたとのことです。

高度成長期に失われた空は
いつか帰ってくるのかもしれませんが
戦争によって焼かれてしまった石の白さは
二度と帰ってはこないのです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする