カンボジアの新型コロナウイルスの感染状況は、国内感染が高止まりしている中、デルタ株の感染が確認され、感染拡大が懸念される状況です。8月8日の保健省の発表によれば、死者は1562名(8月1日から142名増)です。累計陽性者数は8万1891名(同3977名増)となっています。治癒数は7万5495名(同4741名増)です。先週の新規陽性者のうち、2790名は2月20日市中感染事件による陽性者でした。それ以外の先週の海外帰国・入国者の新規陽性は1187名でした。
国内でのクラスターとしては、11月3日事変(陽性者4名:終息済)、11月28日市中感染事件(陽性者41名:終息済)に加え、2月20日市中感染事件が発生しました(8月8日現在陽性者7万948名)。今回の感染は、中国人女性が隔離ホテルから賄賂を使って脱走し、クラブやサービスアパートメント等で感染を広げるという悪質なケースでした。なお、海外帰国者の陽性者も、空港や国境での検査や2回目以降の検査等で引き続き発見されています。
カンボジアでは、タイからの帰国者を中心にデルタ変異株の感染拡大が進みつつあり、8月5日現在で300例以上が確認されている模様です。中国製のワクチンの効果が十分ではないと見られているため、政府では、イギリス提供のアストラゼネカワクチンを、タイ国境に展開する医療従事者を中心とした優先対象者にブースターとして3回目の接種を実施することを決定し、8月8日から接種を開始しました。
プノンペンでは、デルタ型の脅威もあり、感染者が発生した通りを突然隔離封鎖(48時間)して、たまたまそこにいた人が巻き込まれるという事態が発生しています。他方、7月29日から開始された夜間外出禁止(21時から翌朝3時まで)等の規制強化のうち、店内飲食については8月4日に解除されました。また、帰国時の隔離ホテルについては、既に認可済みの2ホテルに加えて、ラッフルズ・ルロイヤルホテルが選択可能となりました。14泊(3食込み)で2426ドルからと価格も手ごろで、安心できるホテルに宿泊できるようになることは、入国時のハードルを格段に引き下げる効果があるものと期待されます。
ワクチンについては、日本(日本製アストラゼネカ100万回分)に続き、米国(ジョンソンアンドジョンソン100万回分)、英国(アストラゼネカ100万回分)もワクチン供与を実施しています。日本の第2便(66万8000回分)は8月6日に、米国の第2便(60万9600回分)は8月2日に、英国の第1便(41万5000回分)は8月5日に到着しました。これらを含めて、既に合計2100万回分の調達が完了しています。8月5日現在で、781万469人(うち12歳~17歳19万7806人)への第1回接種を完了しており、2021年内に成人1000万人への接種を完了するという目標は10月中にも達成可能となり、12歳~17歳200万人を加えて、人口の80%への接種を11月中にも完了できると見ています。なお、カンボジア政府では、民間病院によるWHO承認済ワクチンの輸入・接種を許可しました。なお、接種キャンペーンが終了したプノンペンでは、未接種の人(外国人含む)に対して接種を進めるため、8月9日から9月8日まで母子保健センター等で接種を行うことを発表しています(ワクチンは中国製となる見込みです)。
カンボジアでは、感染拡大に歯止めをかけるために、4月にはプノンペン等のロックダウンに踏み切りました。ロックダウンは一旦終了したものの、デルタ株の市中感染が確認されたこともあり、再度規制強化が実施されることとなりました。新たな規制については、州毎に状況が異なっていたりしますので、日本大使館のサイト等を十分にご確認ください。なお、カンボジアは、医療体制が脆弱という弱点があり、いわゆる医療崩壊の懸念がありますので、引き続きマスクやアルコール消毒といった対策の継続が必要と見られます。
(写真は、プノンペンに到着した日本からのワクチン。日本大使館のフェイスブックより)
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