10月26日、カンボジアと韓国は、自由貿易協定に調印しました。協定の調印はオンラインを通じて行われ、カンボジア側はパン・ソラサク商業大臣、韓国側は産業通商資源省の呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長が署名しました。両国が国内での批准手続きの完了を相互に通知してから、60日後に発効する規定となっています。協定内容については、2020年7月の交渉開始から半年後の今年2月には大枠合意されていました。
今回の協定による関税撤廃率は、カンボジアが93.8%、韓国が95.6%となるとのことです。既に調印済の地域的な包括的経済連携(RCEP)では、カンボジアが86.0%、韓国が91.6%ですので、カンボジア側が大きく譲歩した形です。カンボジア側は、衣料品や履物、かばん、農産品、ゴム製品、電子部品などの韓国向け輸出拡大に期待を示しているとのことです。韓国側の譲許内容詳細は不明ですが、現行の工業品の関税率は3~8%程度であり、カンボジアからの輸出に大きな効果があるとは考えにくいのが実情です。交渉期間がこの種の協定としては極端に短かったことも、両国内で大きな摩擦を引き起こすような品目(日本でいえばコメや牛肉)が含まれていないことを示していると見られます。ただ、今年のカンボジア産の農産品(ゴム、マンゴー等)の韓国向け輸出は好調に推移しており、1~9月の輸出量は前年同期比約2倍となっています。
二国間で多数の自由貿易協定が結ばれると、民間の輸出入者からは制度が分かりにくくなり、「スパゲッティボウル」とも呼ばれる多数の協定内容が絡み合った状況になりやすいため、日本はRCEPやCPTPPといった地域的多国間協定を推進してきました。また、物品貿易の関税削減に留まらず、サービス貿易、人の移動、知的財産権、紛争解決等を包括的に定めたRCEPが、アジア地域では主たる協定となると見られます。カンボジアが、中国や韓国と二国間協定を結んだ背景としては、EUがカンボジアの強権的対応に対する制裁として特恵関税制度であるEBAを一部停止した措置に対抗を示す意図があったものと見られます。しかし、宣伝効果はあるものの、実質的な輸出拡大効果は限定的とならざるを得ないものと見られ、今後の推移を見守る必要があるものと見られます。
(写真は、日本からの円借款で整備されたシアヌークビル港)
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今回の協定による関税撤廃率は、カンボジアが93.8%、韓国が95.6%となるとのことです。既に調印済の地域的な包括的経済連携(RCEP)では、カンボジアが86.0%、韓国が91.6%ですので、カンボジア側が大きく譲歩した形です。カンボジア側は、衣料品や履物、かばん、農産品、ゴム製品、電子部品などの韓国向け輸出拡大に期待を示しているとのことです。韓国側の譲許内容詳細は不明ですが、現行の工業品の関税率は3~8%程度であり、カンボジアからの輸出に大きな効果があるとは考えにくいのが実情です。交渉期間がこの種の協定としては極端に短かったことも、両国内で大きな摩擦を引き起こすような品目(日本でいえばコメや牛肉)が含まれていないことを示していると見られます。ただ、今年のカンボジア産の農産品(ゴム、マンゴー等)の韓国向け輸出は好調に推移しており、1~9月の輸出量は前年同期比約2倍となっています。
二国間で多数の自由貿易協定が結ばれると、民間の輸出入者からは制度が分かりにくくなり、「スパゲッティボウル」とも呼ばれる多数の協定内容が絡み合った状況になりやすいため、日本はRCEPやCPTPPといった地域的多国間協定を推進してきました。また、物品貿易の関税削減に留まらず、サービス貿易、人の移動、知的財産権、紛争解決等を包括的に定めたRCEPが、アジア地域では主たる協定となると見られます。カンボジアが、中国や韓国と二国間協定を結んだ背景としては、EUがカンボジアの強権的対応に対する制裁として特恵関税制度であるEBAを一部停止した措置に対抗を示す意図があったものと見られます。しかし、宣伝効果はあるものの、実質的な輸出拡大効果は限定的とならざるを得ないものと見られ、今後の推移を見守る必要があるものと見られます。
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