カンボジア経済

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米国 中国進出懸念のリアム海軍基地関連でカンボジア高官2名に制裁

2021年11月18日 | 経済
 11月10日、米国財務省は、カンボジア防衛省及び海軍関係の高官2名に制裁を課すと発表しました。対象者は、防衛省のChau Phirun物品・技術サービス総局長と海軍のTea Vinh司令官となります。発表によりますと、両名はシアヌークビル近郊で、中国軍の支出懸念が高まっているリアム海軍基地で、中国支援による建設工事等に関連して重大な汚職行為により多額の利益を得たとのことです。制裁内容は、両名及び家族の米国内資産凍結及び米国への入国禁止となります。
 また、11月10日、米国国務省・財務省・商務省は、「カンボジアにおけるビジネス関連勧告とカンボジアに対する特恵関税措置の審査」と題する声明を発表しました。声明によれば、カンボジアでは組織的な汚職行為、取引関連不正行為、重大な人権侵害が蔓延しており、カンボジアでビジネスを行う際には、こうした行為に関わっている機関・企業と関わらないよう注意を呼び掛けています。特に、カジノ、不動産、金融等の部門での不正金融取引、製造業や木材関係での人身売買、麻薬、貴重な生物の密輸等に注意が必要としています。これらの行為に関わった場合、ビジネスは重大な損害を被るリスクがあると指摘しました。これに加えて、米国通商代表部がカンボジアに対する特恵関税措置(GSP)の適用に関する審査を行うとしています。審査の際には、米国下院によって追加された項目も審査対象となるとしています。
 これらの米国の発表を読むと、かなり厳しい表現振りも目立ちます。「親中」を標榜しているカンボジアに対し、米国の心証が大幅に悪化していることを伺わせます。米中冷戦の狭間で綱渡り外交を続ける小国のカンボジアは、これまでのような安易な「親中」から、米中のバランスをとる必要に迫られるものと見られます。
 なお、日本もOECD外国公務員贈賄防止条約に加盟しており、不正競争防止法において、外国公務員等に対する不正な利益の供与等を禁止しています。また、米国の海外腐敗行為防止法等の対象となる可能性もあります。カンボジアでビジネスを行う際には、不正行為に少しでも関わらないよう、慎重な検証・対応が必要となっています。
(写真は、リアム海軍基地の工事現場の衛星写真。CSISのサイトより)

米国財務省の発表(英文です)
https://home.treasury.gov/news/press-releases/jy0475

米国国務省の発表(英文です)
https://www.state.gov/business-advisory-and-gsp-assessment-for-cambodia/


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