カンボジア経済

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IMF IV条協議報告書2023 カンボジア経済は回復傾向

2024年02月12日 | 経済
 国際通貨基金(IMF)は、IMF協定第IV条に基づき、毎年加盟国政府と政策協議を行うこととなっています。2023年10月18日から31日に行ったカンボジアとの協議結果詳細について、1月31日にIMFから発表がありました。
 カンボジア経済は、新型コロナからの回復が進み、2022年のGDP成長率は5.2%、2023年は5.3%となっています。電気部品等の縫製品以外の輸出が堅調であることや観光が回復してきていると指摘しています。今後も好調が続くと見ており、GDP成長率は2024年6.0%、2025年6.4%に達すると見ています。他方、リスクとしては、欧米の景気減速や金融引き締めを挙げています。特に中国経済の動向が重大なリスクであると指摘しました。また、国内の民間貸付が高いレベルにあることにも懸念を示しています。
 物価上昇率は、変動はあるものの落ち着きを示しており、2022年5.3%から、2023年2.3%、2024年3.0%となると見ています。財政については、新型コロナ対策の現金支援等によって、財政赤字が拡大しましたが、2021年の赤字(対GDP比)は7.1%にとどまり、2022年1.0%、2023年3.6%、2024年2.0%と落ち着いてくると見ています。
 国際収支は、経常収支の赤字(対GDP比)が2021年42.0%まで拡大したものの、2022年26.1%、2023年2.1%、2024年5.9%と落ち着いてくるものと予測しています。外国直接投資等が堅調で、2023年末の外貨準備は208.69億ドルと輸入の7.4カ月分、2024年末233.48億ドル(同7.7か月分)という十分なレベルと予測しています。2023年の公的債務返済比率は1.5%であり、対外債務の状況について「低リスク(青信号)」に分類しています。
 IMFの理事会では、このレポートに基づき、カンボジアの新型コロナからの経済回復を評価しました。しかし、これまでの主力輸出品である縫製品の輸出が弱含んでいることには懸念を示しました。また、中期的な中国の構造的経済減速の影響に強い懸念を示しました。理事会は、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行に対して、銀行監督の強化と金融政策の平常化を提言しています。また、中期的な課題として、変化する経済環境に適応した人的資源の確保、運輸・電力・通信等の基盤インフラへの投資の必要性を指摘しています。
 非常に詳細な英文のレポートですが、統計数字等については最も信頼が置けます。下記のIMFのサイトをご覧ください。
(写真は、日本の円借款で整備された国道5号線)

IMFの発表(英文です)
https://www.imf.org/en/News/Articles/2024/01/30/pr2431-cambodia-imf-executive-board-concludes-2023-article-iv-consultation?cid=em-COM-123-47831


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