カンボジア経済

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日本経済研究センター カンボジアはQR決済の先進地

2024年04月12日 | 経済
 3月29日、日本経済研究センターは、「カンボジア、QR決済の先進地」と題するレポートを公表しました。著者は、富山篤アジア予測室長兼主任研究員です。
 レポートでは、カンボジアでQRコード決済が急速に広がっている現状を分析しています。けん引役の一つはABA銀行であるとしています。スマホのアプリで銀行口座と連動し、ガソリンスタンド、屋台、トゥクトゥクまで至る所で電子決済が可能になっているとしています。2021年の取引件数は前年比2.1倍の2億5000万件に上ります。
 QRコード決済の広がりと比例して2020年に導入した中央銀行デジタル通貨(CBDC)の「バコン」利用が増えているとしています。カンボジアでは、銀行口座の保有率が約2割と低いなか、手軽なQRコード決済の普及の追い風を受ける形で、バコンの利用が国民の6割にまで広がったと分析しています。中央銀行主導で共通QRコード「KHQR」が導入され、利便性が大きく向上したことも、電子支払拡大の大きな要因であるとしています。また、バコンとQRコード支払が、カンボジアの自国通貨リエルの利用促進にも一役買っていると指摘しました。
 更に、カンボジアは、近隣諸国との越境QRコード決済を推進しています。既に、ベトナム、タイ、ラオス等と国境を越えたQR決済を始めています。2025年度には、日本と東南アジア各国との間でもQRコードを相互利用する方向で検討が進められており、ボーダーレスのQR決済はさらに広がる見通しであると結論付けています。
 様々なしがらみや規制で、新たな技術の導入が進まない日本と違って、カンボジア政府は、ITやフィンテック等の分野で新技術を積極的に導入しています。すでに、モバイルバンキングや電子支払、配車サービスやデリバリー等では、カンボジアは日本を凌駕していると言ってもよい状況となっています。開発途上国が、新たな技術を一気に導入して先進国に追いつき追い越していく「リープフロッグ(蛙飛び)」の好例と言えます。レポートでは「カンボジアをはじめとする東南アジアにおけるQRコード決済の先行事例は先進国にとっても重要な参考事例となる」としています。
(写真は、プノンペンのセントラルマーケット。市場でもQRコード支払が一般的になっています。)

日本経済研究センターの発表
https://www.jcer.or.jp/research-report/20240329.html


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