カンボジア経済

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中央銀行 金融機関健全性維持のための規制強化

2023年07月19日 | 経済
 6月23日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、金融機関の規制資本に関する省令と、金融機関の自己資本比率のための信用リスクに関する省令を公布しました。これらの規制は、銀行・預金認可マイクロファイナンス機関の健全性を維持・強化するために策定されたものです。
 銀行の健全性は、支払能力(Solvency)と流動性(Liquidity)の双方が充足されていることにより、維持されるものです。支払能力については、「自己資本比率規制」が中核となります。先進国では、国際決済銀行(BIS)のバーゼル委員会で合意されたBIS規制(バーゼル規制)が適用されています。バーゼル規制は、1988年に策定されましたが、その後順次強化され、2010年に発表されたバーゼル3が2019年までに完全施行されています。
 自己資本比率規制とは、銀行の自己資本を分子、リスクの大きさを分母とする比率であり、バーゼル規制では国際的に活動する銀行には8%以上であることを求めています(海外拠点を持たない銀行は4%)。カンボジアの2022年の健全性の指標を見ると、流動性カバレッジ比率は143.8%(基準値100%)、自己資本比率22%(基準値15%)と十分な健全性を示しています。
 カンボジア国立銀行が今回策定した省令は、バーゼル規制に準拠して自己資本比率を計算する際の、分子である「資本」の詳細な内容と定義、分母である信用リスクの詳細な計算方法等を定めたものです。
 カンボジアでは、金融市場が急速に拡大していることもあり、金融機関の健全性維持は、重要な課題です。これまでカンボジア国立銀行は、様々な規制の導入と厳格な銀行監督を行ってきています。その効果もあって、新型コロナで多くの途上国が苦しむ中で、カンボジアの金融機関は大きく揺らぐことなく、健全性を維持しています。カンボジア政府によるこうした地道な活動や努力が継続されるとともに、金融機関側も全面的に協力していくことが期待されます。
(写真は、商業銀行最大手のACLEDA銀行本店)

カンボジア国立銀行のサイト
https://www.nbc.gov.kh/english/index.php


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