英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

世界柔道2010 ②ルール・判定、テレビ、日本選手

2010-09-14 21:07:00 | スポーツ
①ルール・判定

 新ルールでは、抱きついたり、足などを取るなどの下半身への攻撃が禁止された。「しっかり組みあって、投げる」という柔道の原点に戻るというのがその趣旨らしい。
 特に、下半身への攻撃には厳しい措置で即座に「反則負け」となるらしい(「抱きつき」は2度目から「指導」)。ただし、技の流れで下半身に攻撃が移行するのは構わないとのこと。
 これで、タックルし倒すというレスリング的な柔道はなくなり、柔道らしくなった。また、組み手争い中でもタックルを警戒しなければならなかった従来に比べて、技に専念でき、一本勝ちが増える効果も期待されていたようだ。
 背中を付ければ勝ち、また、投げられた後の返し技も認められていた数年前と比べると、すごく柔道らしくなったように感じた。


 今回の改正ではないが、「効果」の廃止についても考えてみる。
 単純に考えると、少しの決まり方ではポイントを上げられないので、延長戦が増えそうである。有効に近い投げでもポイントが挙げられない場合があり、それで、延長戦に持ち込まれてしまうという理不尽さが生じる可能性もあるが、反面、「効果」という投げられ方で勝敗が決められてしまうという理不尽さは減少する。
 さらに、「指導」によるポイントも1度だけでは、勝敗に関係しないので、審判の主観に左右される「指導」で勝敗が左右されることが減少した点も良い。それでも、「指導」が3回で「技あり」相当、4回で「反則負け(一本)」になるのはどうかと思う。
 「効果廃止」のその他のマイナス面は、相手の身体を浮かせるような大きな投げの場合、腹ばいで逃げられてしまう(以前は「効果」が与えられていた)。それはそれで、「受け」が強いという考え方でいいのかもしれない。ただ、初めから崩れた技(掛けた側が膝を突くなど)の方が、腹ばいで逃げる空間的な余裕がないので逃れにくいのが理不尽だ。


 依然、「一本」の許容範囲が大きいようだ。つまり、相手の背中をつければ「一本」となる。
 だから、綺麗に相手の体を浮かせて投げ切ったのも「一本」、技の掛かりが甘く尻もち、あるいは半身で畳につかせた状態の相手を身体をかぶせるなどして背中を付けさせても「一本」。前者と後者では大きな差があると思うが、同等らしい。釈然としない。
後者は「技あり」に留めるべきだろう。後者のような技で「一本」だと、選手はもちろん、観ていても、「あれで終わりなの?」という中途半端な感覚が残ってしまう。


 判定の技術については、日本選手がらみの試合しか放送されなかったので、はっきりとしたことは言えない。
 「指導」については、簡単には取らなくなったような気がする。「指導」を頻繁に取ると、柔道がせせこましくなってしまうので、この点は良かった。
 傾向としては、「消極性」は割と頻繁に取っていたようだが、「掛け逃げ」については非常に大らかになったようだ。
 私は「消極性」はある程度仕方がないと思う。相手が強くて、攻勢を掛けてきたら、守備的になるのは仕方がない。また、不用意に技を掛けるのは危険だし、技を掛ける機を狙って技の数が少なくなるのも仕方がないと思う。
 似た「指導」に「防御姿勢」というのがあるが、これは腰を引くなどして相手の技を決まりにくする逃げの行為なので、こちらをもっと厳しくするべきだ。
 相手の技から逃げて時間を稼ぐだけの「掛け逃げ」も、もっと厳しくすべきだ。「何故、取らないんだ」と何度も思った。

 こういう「指導」については、審判の主観による者が大きい。それに、消極的な試合運び自体を減らす妙案がある。
 場外反則を取る
「場外」3回で「有効相当」、5回で「技あり相当」、7回で「反則負け」。

 ほとんどの試合は、場外間際のところで組合っている。これは追い込んだ選手にとっては損。つまり、技を掛けようと前に踏み込むと、「場外待て」になってしまう。一歩の踏み込みでは場外にならなくても、続けざまに技を掛けるスペースがない。ルールでは、場内で技を掛ければその技は有効だが、掛けるときに場外に出てしまったり、連続してかけようと違う技を出すのは無効(たぶん)。

 そういう意図で、引き足で場外際に誘うせこい戦法を防止する意味でも、場外反則の適用は有効だ。
 また、場外際に追いつめれば、相手は踏ん張るから技も掛けやすい。

 それに、観戦する立場で言えば、隅っこですぐ場外になりそうな戦いを見るのはストレスがかかる


 欠点としては、相撲に近くなってしまうこと。

②テレビ放映
 放送時間が短かったので、お茶の間の印象が薄かったように思う。1時間30分弱だと、他局の番組の合間に観るという機会が少ない。やはり、最低2時間はないと、世間にアピールできないように思う。個人的には、少しせわしかったが、あのくらいの長さの方が見るのは楽。(本当は外国の有力選手の試合も観たかったが、今回はその余裕がなかったので)

 無差別級の鈴木桂治選手の準決勝の実況は、鈴木選手一辺倒だった。相手の上川選手はまるで敵役だった。

③日本選手の大躍進
 上川選手があのリネール選手を破ったのはびっくり。最終的に10個の金を取った。要因はいろいろある。
・地元開催の利。
 調整が楽、観客の声援(プレッシャーになる場合もあるが)、判定が日本に有利、など。通常の大会では、日本選手には厳しい判定が、やや甘くなった。
・ルールの改正
 柔道本来の精神に立ち返ろうというルールは、もともとそれを目指している日本にとっては有利
・各級代表が2名になった
 レベルの高い日本にとって、メダル獲得の可能性は当然高くなった。ランク1位、2位の選手がそろって出場すれば、単純に考えると、金メダルの可能性は1名の時の2倍になる。
・猛練習
 今回の日本選手、動き・技の切れが非常に良かった。もう練習、これが一番の要因


④その他
 今回に限らず、鈴木選手が投げられる場所って、いつも同じ場所のような気がするが、気のせい?
コメント
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