英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

アマ将棋名人戦 ~空回り気味の豊川七段の親父ギャグ~

2010-09-29 20:24:44 | 将棋
 第64回全日本アマチュア将棋名人戦(通称・アマ名人戦)の模様(主に決勝戦)が、日曜日NHKで放送されました。
 後手井上徹也さん(長野県)のゴキゲン中飛車穴熊に、先手の赤畠卓さん(岡山県)が居飛車穴熊で対抗する最新形の将棋となり、後手の井上さんが勝利し、初出場初優勝の快挙を成し遂げました。
 最新形からの細かい差し手争い、中終盤からの井上さんの巧妙な歩使いからの見事な寄せが印象に残りました。特に、中盤でじっと突いた△6四歩、勝負どころで放った△5八歩や、寄せの△6七歩成から△6六歩の決め手が素晴らしかったです。7九銀型穴熊の弱点を見事に突きました。

 将棋の内容は満足したのですが、聞き手の中村桃子女流1級の器量には疑問が残りました。実は、2年前の将棋名人戦第一局でプロになり立ての中村女流2級(当時)が起用され、その時の聞き手としての彼女の技量について、かなりケチをつけたことがあります。そのように感じたのは少数で、多くの方は聞き手の彼女に対して不満を持たなかったようです。むしろ、好評だったかもしれません。
 私には「プロになり立てで、勝ち星もあまり上げていない彼女が名人戦の第一局に起用されることの納得がいきませんでした。そう言う先入観があったせいかもしれませんが、聞き手としての心遣い・言葉使い、将棋解説補助としての棋力が不足しているように感じました。「彼女の起用は見栄えがいいことによる」とさえ思いました。

 その時と比べると、進歩していると思います(上から目線でごめんなさい)。
 ただ、自分の意見や見解を述べることに一生懸命で、周り(対局者、解説者、一般将棋ファン)に対する心配りがやや欠如している気がします。

 例えば、
「井上さんていうのは、詰将棋もけっこう創ったりされてるそうです」
 揚げ足取りの気もしますが、「井上さんていうのは」というのはまずいんじゃないでしょうか、あと「けっこう」という言葉を彼女はよく使います。「けっこう」という言葉を他人の行動などについて言う場合は、やや上から目線のような感じがします。

 あと、
豊川七段「▲2六飛と浮く手で▲6八銀右とする手もあったんですけどね」
中村1級「あ、飛車を引かずに銀を上がる手が…」
豊川七段「そうそう飛車を浮かずにね」
中村1級「ここで引かずにこう(▲6八銀右)やる手があったんですね」

 やさしい豊川七段が中村女流の間違いをさりげなく訂正するのですが、それを打ち消すさらなる間違い。一生懸命というか精一杯なんでしょうね。
 これは棋力不足に起因しているのかもしれません。実際、豊川七段の解説への反応も鈍いです。それが顕著に表れたのは、豊川七段が中村女流に「ここでの中村女流の第一感は?」と問いかけたシーンです。3度あったのですが、いずれも返答に困っていました。とにかく全体的に当意即妙に駒を動かさないので、解説のテンポが良くないです。中村女流も彼女の解釈を交えて解説風に話すのですが、あまりそういうことは必要ではないと思います。
 豊川七段の質問にプレッシャーを感じたのか、中村女流は余裕がなくなってしまったのかもしれません。

 そしてその余裕のなさが、豊川七段の親父ギャグ自爆地獄に陥らせてしまいました。
 せっかく、NHKが 「“おやじギャグ”を交えた解説が特徴」とテロップを出して、豊川七段の親父ギャグ(駄洒落)を公認してくれて、豊川七段もそれに応えて連発したのに、ほとんど無視されてしまいました。
 準決勝の解説でも、高校生の中川君にも駄洒落を飛ばしたのにスルーされていました。もしかしたら、若い世代には、親父ギャグは理解不能なのかもしれません。理解不能どころか、親父ギャグを飛ばしたことにも気がつかないのかもしれません。

 個人的には矢内女流四段に相手して欲しかったです。手の解説の受け答えも的確ですし、親父ギャグにも「うふふ」と反応してくれそうです。岩根女流、熊倉女流もいい反応をしてくれそうです。清水女流王将ならひきつった笑みを見せてくれそうです。

 豊川七段、孤立感を漂わせながらも、どんどん親父ギャグを連発してくれました。
「これ悩ましい……ちょっとホットケーキ(放っておく)というわけにもいきませんから」

「銀を引く手が味いいですよね。これが味良し(有吉)道夫九段の手でね」

「(残り時間が)3分、はい、カップ麺ですね」

「これは、どうもやっぱり、まずいですよね。△6七歩成から△7八金を打たれたら、詰めろのいとこ(「ほとんど詰めろ」、または、「たぶん詰めろ」)みたいな感じですから」

「これは先手がコマネチですか(困りましたか)」
(ここで、中村女流、豊川七段をちらっと見て、やや微笑む)

「(桂馬を)渡せないとなると、その制約はねえ…その製薬会社はきついっすよ」

 個人的には、豊川七段の親父ギャグと、周りの冷たい反応が面白かったです。

 その他の点としては、挿入解説で将棋を盛り上げようとしていましたが、臨場感が削がれるマイナスもあった気がします。
 あと、赤畠さんが読みに没頭すると上体を前後に揺らすのですが、それが真上から盤面を映すアングルの時、赤畠さんの頭が映っては消え、映っては消えるのです。これが、「けっこう」気になりました。赤畠さんが状態を揺らすのは構いませんが、そのシーンをずっと流し続けるのはどうかと思いました。
コメント
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