英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『警視庁継続捜査班』 第8話(最終話)

2010-09-10 20:46:03 | ドラマ・映画
 このドラマ全体のテーマ、たとえば上戸彩主演の『絶対零度』では、「未解決事件の関係者(被害者・加害者・捜査員等)は深い傷を背負って生きている。そのためにも事件解決しなければならない」とか、「ヒロインの成長」とか、曲がりなりにも描こうとしていた。
 対して、『警視庁継続捜査班』には、そういったテーマが最後まで感じられなかった
 一応、メンバーがそれぞれ過去の事件でトラウマや引っ掛かりを持っていたが、単にメンバーの傷を解決するだけ、事件を解決するだけのものでした。
 そういうテーマがなくて、謎解きに終始しても良いが、肝心な捜査や推理や犯人の動機などがご都合主義で、評価できるものが乏しかった。
 せめて、ヒロインの貴志真奈美(木村佳乃)が魅力的だったらよかったが、単に自信過剰の出しゃばりなだけだった。

 先週のラストで、班長・水城(余貴美子)が狙撃され、不謹慎な表現だが、最終回への盛り上がりを作った。しかし、犯人の動機や行動に矛盾を感じてしまい、≪やはり、継続捜査班だった≫と変な意味で納得してしまった。
 別に、最終回だから特別盛り上げることなく淡々と終わるのも良いと思うし、無理やり権力者が絡んで捜査に圧力とか、やたら人が死んだりするのもウンザリする。とにかく、脚本がしっかり練られていれば良いと思う。

 で、この最終話だが、狙撃犯を欺く鏡のトリックを披露したかった。それができれば、どうでもよかったのではないかと感じる。
 このトリックを使うには、犯人がもう一度水城を狙撃しないと、それを披露しようがない。しかも、再び、水城が狙われているとメンバーが知る必要がある。そこで、報道官・吉崎(笛木優子)を使って、犯人を挑発する。それに挑発されて、吉崎を拉致し、水城狙撃の予告をさせる。何とも逆算的な脚本だ。
 ライフルを持った犯人を挑発したら、犠牲者が増えるだけ。一般市民にもとばっちりが来る可能性もある。
 挑発した吉崎が狙われる可能性が高いのに、何の備えもしない。
 犯人も何のため吉崎を拉致したのかわからない。吉崎の携帯電話を添えて狙撃を予告したら、狙撃が難しくなるだけ。予告するにしても、一度狙撃しているので予告文だけで十分。吉崎に天誅を下すなら、拉致するだけではおかしい。


 さらに、犯行の首謀者である加藤(柴俊夫)の心理も理解できない。
 愛する娘がレイプされ、逆上し復讐する心情は理解できる。
 しかし、捜査が及び、父が捕まると考え、それが自分のせいだと思い、ライフルで自殺しようとする。ライフルを使うこと自体、女子高生らしくないが、まるで父親がやってくるの待っていたかのようだった。まあ、異常な心理状態ということで、それは譲るとして、娘が自殺したとなると、娘が男子学生殺人の犯人と扱われ、レイプの件も明らかになってしまうと考え、自分が娘を射殺したことにした。
 でも、射殺したとしても、その動機を追及されてしまうのではないだろうか?
 だいいち、男子高校生を抱えて落とすことができるのだろうか?娘が何らかの関係があると考えても、通常、容疑は父親に向けられるはず。
 すべてをうやむやにするのなら、父親も後追い自殺するべきだろう。
 水城を恨んで6年後狙撃してもらうくらいなら、あの場で発砲する方が合理的だ。(まあ、この点については服役中恨みが募ってとか、末期癌で四季を悟ったからという解釈もできる)

 それにしても、同じ美術部員がふたり続けて転落死したら、ふつうは人為的事象(自殺か殺人)と考えるのではないだろうか、それを転落死として片づけてしまう当時の捜査は「杜撰(ずさん)」としか言いようがない。

★その他の疑問点
①矢吹刑事、犯人追跡に真剣味が足りない。
 相変わらず犯人を逃がしてしまう矢吹刑事(筒井道隆)だ。
 しかも、2度。彼は拳銃に対してのトラウマがあったが、「犯人取り逃がし」については全く責任を感じないようだ
 1度目は狙撃犯・千葉を彼のマンションから追いかけるが、そのピッチが実に緩やか、駅伝競走(長距離走)の走りだ。『新警視庁捜査一課9係』の羽田美智子のヒールでの必死に走る姿とは対照的。どちらも取り逃がすのだが、筒井の場合は取り逃がすのを前提とした走りだ。役者さんもあまりの脚本にやる気が減退してしまったのかもしれない。
 2度も逃がすのは流石に格好悪いのか、子どもを狙撃から庇って名誉の負傷。でも、少しも痛そうじゃない。痛そうにみえないけれど、真剣に追いかけない。(腕を撃たれて、全力疾走したら、出血が凄いと思う)
 犯人は逃げる際、しっかりシートベルトをしていた。(まあ、道義上シートベルトをしないといけないのでしょうが、どうなんでしょう)
②ライフルを使用したのは「狩り」のため?
 真奈美は「ライフルを使用したのは狩りのためと断言したが、狙撃するのならライフルが順当。拳銃だとやはり近距離でないと難しい。まして、相手は刑事。
 ライフルに意味付けしたいなら、娘を撃ったライフルで復讐ぐらいで良い
③情報が漏れたって大げさじゃない?
 吉崎報道官に「水城が墓参り」と話したことが情報の漏えいになるのだろうか?身内だし、重大な秘密?狙われていると判明していない段階で「漏えい」扱いし責任追及って不思議。
④ヒロインは探し物が上手
 車いすに仕掛けられた盗聴器、狙撃犯の部屋の隠し部屋を即座に発見。それくらい、他の刑事にも活躍させたらいいのに。とにかく、ヒロインを無理やり活躍させたいらしい。
⑤糾弾すべき事が他にも
最後に水城が加藤に「ふたりの人間を奪ったあなたの行為は間違っている」と告げ、加藤の手を握る。重体の加藤も反応する。という、心情に訴えるシーンだが、「千葉(狙撃犯)を殺人者にしてしまった」ことも糾弾すべき。
⑥金田一少年の事件簿?
ラストシーン、
「15年前、池袋で起きた一家惨殺事件と同じ手口の模様です」
「池袋の一家惨殺事件?」
の投げかけに、即座に
「青い惨殺魔です」
と即座に答えるヒロイン。凄い知識量だ。でも、相変わらずのネーミング。『金田一少年の事件簿』の見過ぎか?
 それにしても、そのセリフを言う木村さん、恥ずかしくないのかな?


 最後まで、楽しませていただきました。
コメント
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