英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

世界柔道2010 ①不可解な判定 女子48kg級、女子52kg級

2010-09-13 21:37:50 | スポーツ
 ルール改正で、本来の柔道に近くなった「JUDO」。
 ルールや判定など総合的なことは、後日述べさせていただきま、目についたのは表題の2階級(女子48kg級、女子52kg級)の決勝戦。

☆女子48kg級 福見×浅見
 福見が2度の「指導」(消極的)で有効ポイントを取られ、浅見の優勢勝ちだったが、私の眼には福見が攻めていて、「指導」を取られるとしたら浅見の方が妥当に見えた。
 開始から1分30秒は、福見の方が前に出て、浅見はほとんど場外を背にする体勢。技もほとんど出さず、「場外待て」は浅見が押し出されるものばかりだった。技を仕掛けていたのは、ほとんど福見だった。
 1分30秒経過して、浅見は前に出ながら足を掛ける動きを見せる。1分45秒、大外刈り気味の体落としを掛ける。福見はうつ伏せに倒れ込んでこらえる。
 1分52秒、浅見が福見に足を絡ませ、福見の状態が斜めにそれたところを背中に回り込む。両者が膝をつき、福見が腹ばいでその上に浅見が乗るが、すぐこう着状態になり、「待て」の声(1分57秒)
 そして、「消極的・指導」。
 浅見が攻勢を取ったのは30秒弱で、技らしいのは体落としのみ。浅見が上に乗ったのもたまたまで、福見も消極的な意思は全くなかった。

 意外な「指導」にも全く表情を変えない福見だが、次の浅見の鋭い体落としに顔からうつ伏せに倒れる(ポイントなし、2分0秒)。
 ここから、福見が攻勢に出る。激しい組手争いから、2分25秒、鋭い一本背負い。浅見の体がやや浮いて福見の背中に乗りかかる。福見はそのまま投げ切ろうとするが、背中を返すことはできず、浅見はうつ伏せでこらえる。
 2分35秒、福見の体落としに浅見は前につんのめる。続けざま、福見は一本背負いを掛けるがこれは不十分(2分50秒)。
 2分58秒、浅見が小外を掛けるが、福見はそのまま強引に背負い投げ。しかし、これは不十分(3分2秒)。
 3分11秒、浅見が体落としに見せかけて大内刈り。福見は何とかこらえ、「待て」の声。そして、2度目の「指導」。

 残り1分45秒は、浅見は背負い投げ、寝技、体落とし、福見は一本背負い、体落とし、巴投げを繰り出すが、ポイントにはならない。
 浅見は既に「有効」ポイントを得ているので、無理に技をかけに行く必要はない。また、「指導」一つ分の余裕があるので、ある程度守勢に回ってもよい。時間を使いながら、浅い技(決める意思の薄い技)を時折かければ良い情勢になった。
 福見は懸命に技を仕掛けるが、守勢に重点を置いた浅見からポイントを取ることはできなかった。

 内容はほぼ互角だった。差は不可解な「指導」だけ。

 1回目の指導は、時間にして20秒、浅見の攻勢の時間が続いた。それで、「消極的」を取られてしまった。やや早い気もするが、そこだけの時間を見ると取られることもあり得る。しかし、それならば、試合開始からのそこまでの浅見の消極性は何故取られなかったのだろうか?ギリギリセーフだったのなら、福見も当然セーフのはずだ。

 2回目はさらに不可解。福見が「指導」を受ける前の50秒間、攻勢ポイントは福見は互角以上に見える。「指導」の直前からさかのぼると、浅見の体落としの前は、福見の背負い投げ。やや強引ではあり、「掛け逃げ」の可能性もあるが、浅見の技を逆用しての動きなので、「掛け逃げ」には当たらない。もしかしたら、2分58秒の浅見の小外を返した背負いが、「投げ」と認めず、防御と判定したのかもしれない。
 カメラワークの関係で、主審のジェスチャーが見えなかったので、「指導」の種類がわからないが、理解できない「指導」だった。


☆女子52kg級 中村×西田
 開始から西田の積極性が目立つ。特に開始直後15秒の巴投げは、中村の虚を突き、中村の体は大きく宙に浮いた。しかし、中村も素早く体制を整えうつ伏せでしのぐ。
 その後は、一進一退の攻防が続く。
 3分25秒、中村に「指導(消極性)」が与えられた。この時間、確かにやや守勢に回っていた。やや厳しい気もするが、仕方ないとも言える。
 指導を受けた中村は、盛んに足技から内股を掛けるが、強引過ぎてかからない。技を決めるというより、相手を守勢に回らせて「指導」を受けさせようという狙いかもしれない。
 4分0秒、さらに足技から内股を掛けに来た中村に対し、西田はそれを裏投げ気味に返そうとする。中村はそれをさらに大内刈りで切り返す。同時に倒れる。やや中村に分のある技の掛け合いだったが、ポイントを上げるに至らず。
 残り1分は中村の攻勢が目立ち、西田の引き足が増えるがそのまま終了。ゴールデンスコア方式の延長戦(最大3分)に持ち込まれた。

 延長に入っても、中村はさかんに足技を掛けるが浅い。あるいは次の技の伏線か(13秒)。
 19秒、中村内股、さらに、大内刈りにいくが、西田はこらえる。
 38秒、西田、かなり強引に一本背負いをかけるがつぶれる。
 55秒、中村、大内を3本連続掛けるが、掛けるというより牽制。さらに、小内、小外気味に足を飛ばす。続いて、1分2秒、やや腰を入れて大内に入ろうとするが、西田、足を捌いてかわす。
 この後、3、4回、中村は足を掛けようとする牽制を見せるが、主審は「待て」。そして「指導」。たぶん、消極性を取られた。(1分15秒)
 1分29秒、西田の一本背負いが崩れ、「待て」。離れ際、西田、ねっ転がる。西田に疲労が観える。
 1分45秒、西田、背負い投げ、しかし、つぶれる。
 1分50秒、西田、組際に大内刈りを見せるが、膝をついてしまい崩れる。
 2分3秒、西田、一本背負いにいくが、中村軽く体を捌いて防ぐ。「待て」の声に、離れ際、わざわざねっ転がる西田。疲労の色が濃い。
 2分15秒、中村、内股。西田、前かがみになり、膝をついて防ぐ。
 2分38秒、西田、強引な背負い。中村、踏ん張って防ぐ。続けざまに、西田背負い投げ、虚を突かれた感じの中村の身体が少し浮くが、身体を捌いて防ぐ(2分45秒)。
 2分52秒、背負いを見せる西田だが、全く形にならない。自ら膝をついてうずくまる(2分54秒)。
 残り6秒は、西田、組む意思なしで、試合終了。
 私見だが、西田にもう一度、「消極性」か「掛け逃げ」のかで「指導」がつかないのが不思議だった。

 ゴールデンスコア方式の判定(旗判定)は、延長戦のみが対象(「指導」が最初から野を引き継ぐのを考えると違和感がある)。
 ゴールデンスコアの判定基準をはっきりと知らないので、私が判断するのは難しい。「有効」あるいは「指導」2回による「有効点(注意)」をどちらかが取った時点で打ち切る方式ということを重視すると、技の効果度が最優先されるのかもしれない。しかし、「指導」2回でも決着がつくので、試合態度(消極性、掛け逃げ、反則行為)なども判定ポイントになるのかもしれない。
 技の効果度としては、2分40秒過ぎの西田の背負いが一番であろう。
 総合的には、中村の攻勢度と西田の掛け逃げ気味の技を考慮に入れると、中村優位だ。
 しかし、判定は3本とも西田の旗が上がった。

 福見の試合に引き続き、不可解な判定だった。
コメント
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