英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

将棋雑感 女流名人位戦

2010-10-08 21:49:01 | 将棋
 清水女流王将が石橋女流四段に勝ち、7連勝で里見女流名人への挑戦を決めた。最終局を残しての決定で、清水女流王将は8局目が空き番で、リーグ戦としては2局残しているので、大相撲の白鵬状態の独走での挑戦権獲得だった。
 女流名人、女流王位と失冠し、意を決してのリーグ戦だったのだろう。見事な成績だ。だが、裏を返せば、残りのメンバーがだらしなかったといえよう。
 残留争いは、石橋女流四段⑧(○囲み数字はリーグ順位)2-5、本田女流二段⑥2-4、北尾女流初段⑩2-3、早水女流二段⑦2-3、甲斐女流二冠④2-3、岩根女流二段③2-3が残留を争っている。
 特にあと一局しかなく、負け数最多で順位も悪い石橋女流四段はほぼ絶望。残り1局を勝っても3勝どまりで、降級が3人なので、机上で石橋女流四段残留の目を見出すのもかなり難しい。他のメンバーは残り2、3局ずつ残していて負け数を増やす余地はあるが、残留パターンは3通りぐらいしかない(降級に関係のない対局は場合の数に入れない)。
 きちんと計算しない(できない)が、おそらく残留の可能性は1%に満たない。私の勘違い・見落としがあったとしても、2~3%。
 ちなみに、現在4-2の上田女流二段も順位が9位と下位なので、残り二局を連敗した場合、本当にわずかながら降級の目がある。(石橋女流残留確率よりも低い)残り2つの降級を巡る争いは混沌としている。

 だいたい、前期に中井女流六段、矢内女流四段が陥落してしまったのも、清水女流王将の独走を許す大きな原因である。
 B級は、この両者が順調に白星を重ね、5連勝同士の激突で勝利した中井女流六段がA級復帰をほぼ確定している。順位が1位なので、中井女流が残り3局を全敗したとしても、彼女をを上回るには2敗以内でないといけない。中井女流を昇級させないようにするには(机上でそういう目を作る意味です。私は中井ファンです)、昇級は3名なので、2敗以内を3人作らないといけない。
 中井女流が3連敗しても、現在4-2の室田女流初段と中村(真)女流二段が全勝し、かつ、矢内女流が対山田(朱)二段戦と井道女流初段戦の二局ともに勝った時のみ昇級ができない状況だ。(矢内女流の残りの1局は室田戦なので、室田女流は3戦全勝が条件なので矢内女流の負けが前提となる)
 矢内女流のA級復帰も固い。あと1勝すれば、順位が2位なので、上述した中井女流と同じ考え方が適応できる。前記のような後半大失速なんてことはないでしょうね。
 残り一つの昇級枠を、上記の2敗のふたりと、現在3-3の貞升女流1級と竹部女流三段が争う形となっている。
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将棋雑感 ~竜王戦予想~

2010-10-08 01:56:12 | 将棋
 いよいよ竜王戦が近づいてきました。王座戦で藤井九段の挑戦ををストレートで退け、王座戦十九連覇(王座戦における連勝も19)を成し遂げた羽生名人に対し、竜王戦ではギアが一段アップするような強さで6連覇中の渡辺竜王。
 3連敗からの逆転防衛という劇的な展開、そしてその将棋そのものが素晴らしい激闘から2年、羽生ファンとしては痛い思い出ですが、再び相まみえる両者の対決を思うと、鼓動が早まります。
 2010年度も前半が終わり、両者の調子や棋界の動きや勢力図、有力棋士の動向を考えてみます。

★羽生名人・王座・棋聖
 名人戦4-0(対三浦八段)、棋聖戦3-0(対深浦王位(当時))、王座戦3-0(対藤井九段)と今期タイトル戦では負けなしの10連勝、竜王位挑戦者決定戦3番勝負も久保棋王・王将に2連勝と鬼神の強さです。久保二冠には竜王戦ランキング戦で勝ち、大和証券杯で敗れている。
 その他、佐藤九段、丸山九段や山七段、阿久津七段、橋本七段、野月七段、戸辺六段など手ごわい若手を退け、今期25勝5敗、勝率.833。
 目立つ敗戦は、王位挑戦者決定戦で広瀬五段に敗れたことと、棋王戦で糸谷五段に敗れたこと。あとの敗戦は上述の久保二冠(大和杯)と丸山九段に2敗(竜王戦ランキング戦、銀河戦準決勝)。丸山九段には今期1-2(1勝は王位リーグ)、最近5年は7勝4敗とやや苦手にしている。(.636で苦手という表現は不適当かも)
 とにかく、ここ数年、名人戦でのギリギリの勝負(森内、郷田、三浦)、さらに久保二冠や深浦前王位との競り合いを経て、レベルが上がったような気がする。(単なる好調ではない)
 単に勝っているのではなく、羽生名人ならでは勝ち方だ(羽生名人でないと勝ち切れない将棋、ギリギリで難解な将棋を最後には引き離して勝つ)。
 勝ち過ぎでこれから調子が下降線になるという危惧もあるが、レベルが上がったとするなら問題ない。ただ、精神的、体力的に消耗している可能性もあるが、王座戦をすんなり勝てたのでその心配も少ない。

★渡辺竜王
 今期12勝7敗、勝率.632。黒星は深浦九段(2敗)、佐藤九段、藤井九段、郷田九段、三浦八段、広瀬王位と厳しい相手なので、それなりの勝率であるが、当然、期待されるもとは低空飛行だ。棋聖戦では決勝敗退、王座戦本線2回戦敗退、王位戦リーグ陥落。
 棋聖戦の決勝進出は立派な成績だが、渡辺竜王ならここを勝って欲しいところ。深浦九段にはこの決勝と王座戦で敗れ、今期2敗。通算でも6勝10敗と苦戦している。
 それでも、現在5連勝、A級順位戦3勝1敗、王将リーグ入り、棋王戦本線準々決勝進出と調子を上げており、待望の2つ目のタイトルも近いかもしれない。

★奇しくも両者の物差しとなった森内九段
 今期順位戦3連勝、今期に限らず、森内九段の順位戦での強さは抜群。その森内九段を順位戦で破った渡辺竜王。両者の対戦成績は渡辺竜王の14勝9敗。最近は竜王の7連勝。
 そして、羽生名人は本日(10月8日)、王将リーグで対局する。ちょうど100局目の対局で通算55勝44敗で、最近10局は羽生名人の6勝4敗。
 一時期、03年竜王位を0-4でストレートで奪取され、続く王将戦(2-4)、04年名人戦(2-4)でも敗れた時期はあったが、その後は王座戦(3-1)、王将戦(4-0)、05年名人戦(3-4)、08年名人戦(4-2)と徐々に盛り返している。04年名人戦敗退以降は22勝14敗。
 羽生名人としては、渡辺竜王が破った森内九段には勝っておきたいところだ。(と言っても、羽生名人はそういう勝負の捉え方はしないと思う)

 森内九段は、08年に羽生名人に名人位を奪回されて以降、09年に竜王位(0-4)に挑戦したぐらいしか目立たない森内九段。両者にも、特に渡辺竜王に、後れを取っている。先日の順位戦も、終盤の競り合いでぽっきり折れてしまった感がある。竜王戦でストレート負けした精神的負荷もあるかもしれないが、森内九段に若干の陰りが出てきたのかもしれない。

★棋力を数値化してみる
 羽生名人が七冠になったころ、その強さは平均980ポイントであったとする。もちろん波があり、950~1000の上下はあったと考えられる。7冠達成後、平均が950ぐらいまで落ち、森内九段が羽生名人を苦しめた2004年のころには羽生名人と同レベルの棋力に達していたと考えられる。
 その頃(2004年)、羽生世代は33歳前後、最も脂の乗った年代。多少、棋力の頂点に個人差があると思うが、30代後半になると下り坂を迎えると考えられる。森内九段も920前後(それでも十分強い)まで後退したのではないだろうか。
 羽生名人は終盤の絶対的強さには陰りを見せ始めたものの、大局観や将棋の作りを進化させ、全体的な強さを維持してきて昨年までは平均940~965を保ってきた。それが、今年度に入り、その数値が7冠当時の980、あるいはそれを超えているような気がする。
 羽生世代のライバル、あるいは、それよりやや下の世代が羽生に肉薄してきたここ数年であったが、羽生名人がそれを維持あるいは強化したのに対し、そこがピークで他の棋士は下り坂に入ってしまった、あるいは下降線に入ってしまう可能性が大きいのかもしれない。
 渡辺竜王は安定しない。平均値は上がってきていると思うが、その数値は測れない。竜王戦においては1000を超える数値を発揮する。今の羽生名人にタイトル戦で勝てるのは、渡辺竜王しかいないのかもしれない。



 ここまで書いてしまったので、予想を書かないと収まりがつかない。
 「4-0で羽生名人タイトル奪取」と言い切りたいが、渡辺竜王の竜王戦での強さを考慮して、「4-1で羽生」としておきます。 
コメント (2)
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