英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

竜王戦第1局 ~謎の羽生名人の指し手と渡辺竜王の「これはどういうことだ? 教えろ、オラオラ攻撃」~

2010-10-15 20:39:13 | 将棋
 謎の羽生名人の新手と突然の投了……残念な結果でした。特に、突然の終了は、激闘を期待していただけに、残念です。
 とは言え、渡辺竜王相手に、後手が悪いとされている局面に自ら飛び込み、柔軟な指し手で渡辺竜王を翻弄しかけた辺りは羽生名人の本領は発揮したと言えます。
 謎多き羽生名人の指し方に驚かされた一局、感じたことを徒然と書いてみます。
(本当は図面を起こしたいのですが、まず、書きたいことを書かせてください。図面は後日、起こしたいと思います)

①羽生名人の新手、しかし、攻めつぶされそうだ。大丈夫なのか?
 羽生名人が局面を誘導して新手を出したが、封じ手の局面では後手の羽生名人がまずそう。控室でも「後手良しどころか、互角に持ち込むのも難しい」という評判だった。
 私も心配で、▲5六角と飛車取りに打たれた局面で、△2五歩や単に6四や5四に逃げる手など、何とか後手が持ちこたえる変化を探しすが、光明は見出せなかった。
 今日(二日目)の午前中は忙しくて、ネット中継を見ることができなかった。昼になってネット中継を恐る恐るのぞくと、△2三金と金を自陣に投入した局面。
 「防戦一方か」
と、よくよく局面を見ると、潰される順は見えない。持ちこたえているというより、受けとめているという印象。
 「渡辺竜王が攻めそこなったか?それとも、羽生名人が妙手で受けとめたのか?」
 封じ手の局面に戻して手順をたどってみると、△2三歩?
 飛車取りの先手で受ける△2五歩ばかり考え、じっと受けるだけの△2三歩は全く見えなかった。
 しかし、この手が自陣の隙間を埋め、先手の飛車と馬の働きを弱める好守だった。渡辺竜王も見えていなかったとのこと。
 その後も堅守の△2三金を放ち、「羽生良し」の声がちらほら出始めた。

 △4五角は新手だが、これは「見かけの新手」……皆が考えるが、良くなりそうにないので指さない。通説を覆した△2三歩。「真の新手」は△2三歩だったのだ。局面をリードしなければ新手と言えない。
 羽生新手と讃えたいが、羽生名人の感想が不可解。△2三金辺りの局面でも「自信がなかった」そうである。
 序盤でやや失敗し、不本意な局面から好手を繰り出して挽回したのならともかく、新手の局面に誘導したのは羽生名人ではないのか?重要な竜王戦の一局で渡辺竜王相手に、わざわざ自信のない「新手」を披露したのろうか?
 考えられるのは2つ
Ⅰ.序盤で何か誤算があり、仕方なく研究段階の局面に誘導せざるを得なかった
Ⅱ.疑問に思っていた局面だがどうもわからない。竜王戦で渡辺竜王に答を出してもらおう


 謎多き羽生名人の新手である。

②渡辺竜王の「これはどういうことだ? 教えろ、オラオラ攻撃」
 「これはどういうことだ?」という渡辺竜王の呟きに、竜王の驚きが表れている。
 その後の竜王の指し方が面白い。羽生名人の指し手に、ほとんど時間を置かずに、ビシビシ指す。
 「この局面で指せないはずはない」という自信の表れにも思える指し方だ。しかし、自信だけではない。二年前の羽生名人の卓越した大局観に脱帽させられた渡辺竜王。
 「何かあるはず」
 それで、羽生名人に「答を早く見せろ」「オラオラ!早く指せ!」と。
……少しでも核心の局面に進め、羽生名人の真の狙いが推測できる局面まで進めたかったのだろう。狙いをつかんで、ひと晩ゆっくり対策を練りたい。
 と、推測する私は深読みし過ぎなのだろうか。

③魔の時間帯、2日目午後5時~6時
 ここ数年の羽生名人、終盤の指し手にかげりが見られる。
 二日目のBS中継は通常、午後4時~6時だが、中継開始時「羽生優勢」で終了時には「形勢不明」に変転している記憶が多々ある。
 BS中継があるのは名人戦と竜王戦のみだが、この現象(夕方の指し手の変調)は名人戦、竜王戦に限らず他の二日制のタイトル戦にも見られるような気がする。
 それはともかく、夜戦に入り、何とか持ちこたえて勝つことも多いが、2日目のBS中継にはあまりいいイメージがない。
 今日の戦いも夕方に失速の感が強い。国会中継でBS中継は5時26分からになったが、放送が始まった直後の△4四玉で形勢を損ねたようだ。
 夜戦での競り合いの強さは棋界一の渡辺竜王が相手に、今後に不安を残した一局だった。

 それにしても、投了前の△5五香以下の指し手は謎である。見落としがあったとしか思えないのだが。

④終盤、盤上に現れたハートマーク
 おお!ハートマークだ!と思ってしまいました。

 書かない方がいいかなと思うのですが、やはり気になったので
⑤上田女流二段
 上田女流の言動にいらついたのは私だけでしょうか?
 解説の三浦八段に急かせるように聞きたてたり、茶化したりする上田女流。
 以前、「なるほどを連発」が気になった記憶があります。神経が太くて物おじしないという印象があり、それが彼女の長所でもあると思いますが、今回の三浦八段とのやり取りは、ゼミで実直な学生をいたぶる女性助教(講師)のように感じました。
 矢継ぎ早に指し手の選択を迫る他にも、三浦八段の読み筋に反する応手をしたりして、三浦八段も解説がし難そうでした。

 終盤の急転直下と羽生名人の敗局は残念で、今後に不安も感じましたが、羽生名人の柔軟な指し手と渡辺竜王の強靭さは、今後の激闘を予感させるものでした。今日の一局は、ほんの小手調べなのです。
コメント (4)
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