英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『SPEC』 第7話

2010-11-30 11:12:57 | ドラマ・映画
 今回の能力者はサトリ……人の心を読む(見透かす)能力者

 このサトリと同範疇に含まれる能力(者)が、このドラマには登場している。

分かってしまう系能力(よいネーミングがあったら教えてください)
・予知能力……未来に起こる出来事を感知する 冷泉(田中哲司)
・サイコメトリー……物体に残る人の残留思念を読み取る 美鈴(福田沙紀) 直接人に触れても発動する
・千里眼……世の中で起きている事柄を把握できる 桂小次郎(山内圭哉) 実際は桁外れの聴力の持ち主であっただけ

 サトリは現在、予知は未来、サイコメトリーは過去と住み分けられるのが面白い。千里眼は現在を中心に過去未来にやや幅を持っていると考えられる。
 この中で、予知能力がその定義、解釈、効用がややこしい。

★予知能力について
 未来が不変か可変かによって、大きな差異が生じる。
A 未来は決定している
 未来は変えられない。努力しても変えられない運命で、厳密に言えば人の意思さえも介入できない(昼ごはんを何にするかも、実は決定していたなど)
B 未来はある程度変えられる
 これにも程度があって
B-a 過程は変えられても、同じ結果に行き着く
 例えば、恋人の交通事故死を予知した能力者が、回避するため待ち合わせの場所を変更したが、今度は鉄骨が落下して死亡してしまうといった具合に、恋人の死という結末は逃れられないというAに近い法則。
B-b 等価交換による変更
 恋人の死を回避しようとした結果、代わりに自分が死んでしまうというふうに、回避しようという事象と同等の代償を払わなければならないという法則。
C 未来は変えられる
 努力や意思、あるいは偶然よって、未来は変えられる(変わる)。この場合、予知能力者の予知は、今後起こりうるもっとも可能性の高い未来のビジョンということになります。

★冷泉の予知能力
 冷泉の場合はケースAで、彼は人生に虚無感を抱いていた。(レモンをかじらなければいいという気もする)
 ただ、「避けられそうにない未来を予知」という言葉も使っているので、ある程度は変えられるとも考えているのだろう。
 初回でも「未来を知ることでその対策を講じることができる」と言っているが、これは自分の予言に価値観を高めているだけかもしれない。

★冷泉の予知の時間的範囲
 これをしっかり定義しておかないと、ストーリーがご都合主義になったり、つじつまが合わなくなってしまう。
 今回の場合、冷泉が当麻の策略(SITに急襲させて冷泉を救出)を予知したが、それをサトリに心を読まれて、SITから逃れてしまうという展開だった。
 この時の冷泉の予知はどのようなものだったのだろう?
1.当麻が背文に「SITの急襲させて冷泉を救出」という策を明かした会話
2.SITが隠れ家に向かっているビジョン
3.SITに救出(確保)されたビジョン

 3を予知したのなら未来は変えられたことになる。
 1と2は結果としては差はないが、1は予知の仕方としてはかなり不自然。

 しかし、そもそもこの予知は中途半端で、サトリが自分の考えを読み取られてしまったシーンとか、その後ミショウに救出されるシーンとかを予知できなかったのだろうか?
 予知できる時間に制限があるのあろうか。だとしたら、予知の絶対性(決定性)も薄れてきて、冷泉の虚無感と矛盾する。

★冷泉の予知は千里眼?
 ミショウが冷泉を見逃す見返りとして、冷泉は予知をする。
 神の手を持つ者と一(ニノマエ)の居場所を、しかも住所で告げるのだが、これは予知というより千里眼に近い。一(ニノマエ)はともかく、神の手を持つ者は漠然としすぎていて、それが住所でわかるなんて予知の範囲を超えている。
 当麻や瀬文の未来を予知していって、その出会うビジョンを捉えるというのなら納得できるが、それでも住所を告げるというのは出来すぎ。


 今回は、このサトリと予知能力者が対峙し対決するという興味深い展開となったが、「未来予知対読心」の構図ではなく、冷泉の心を読めるか読めないかの勝負だった。
 冷泉自体は予知だけなので、肉体的圧力(拷問)によって容易に口を割らせることが出来るはず。
 本拠地に連れて行くことが先決だと思ったが、それなりの理由(サトリは夜12時過ぎは寝てしまう)はあった。(納得は出来ないが)

★サトリへの対抗法
 心を読まれてしまう厄介な能力にどう立ち向かうかが最大の見所だった。
 当麻はサトリの過去のデータから、弱点(夜12時過ぎは寝てしまう)を見出し、それを突いて解決したが、側面攻撃の感が強く、すっきりしない。
 この弱点は、サトリの能力は相当な精神エネルギーを伴いそれを回復するために多くの睡眠が必要とするサトリの能力に付随する弱点の点は納得できるが、サトリの能力に正攻法で対抗してほしかった。
 例えば、当麻が画策したSITのように命令を優先し感情は排除する攻撃は有効のように思える。まあ、サトリは冷泉の予知を読み取ってこれを回避したのだから、これに関しては納得できる展開だった。
 そもそも、いくら心を読んでもそれに対処する能力がないと意味がない。例えば、ピッチャーが外郭低目を投げることを感知しても、そのスピードが150キロを超えるものだったら、それ相応の運動能力がないと打てないように、心を読んでも多数で同時攻撃や散弾銃を使われたら分かっていてもかわせないであろう。


 深まる謎
先週の段階で判明した複数の暗躍する謎の組織・集団あるいは個人(妥当なものかは自信なし)
①公安・津田
 予知能力者冷泉を確保し、能力者を管理しようとしている?
 スペック・ホルダーは彼が作ったのか?
②能力者集団(海野、超運動能力者?・脇(上川隆也)など)
 体制の暴力(能力者排除)に対抗しようとしている
 海野は神の手を持つ者(病を治す能力者)を探していた。
 一(ニノマエ)の存在は知らない。憑依能力者はニノマエを恐れていた。
 脇はニノマエにやられた
③一(ニノマエ)
 目的は不明
 能力者集団とは敵対

 スペック・ホルダーに記載されている
 当麻に逮捕されかけ、当麻の手を切断
④神の手を持つ者(病を治す能力者)
 海野の指、瀬文の腕を治したが、その時の風貌は一致しない

今回はさらに
⑤能力者を購入する組織
⑥能力者を売る組織
(サトリも所属)
の存在が明かされた。
 重複しているのもあるかもしれないが、今回の展開から①と⑤や⑥は敵対関係。
・海野医師を連れ去った黒服の集団はどの組織?
・瀬文の部下の志村や津田の部下のドライバーを操ったマインドコントロール能力者も存在していると推測できる。地居聖(城田優)が人の記憶を操作できるのではないかという疑いが出てきたが、彼がマインドコントローラーなのか?
津田が本当に死んだのかという疑問も残る。
 冷泉が津田が撃たれるビジョンを予知し、津田が用意した変身能力者(コピー能力者)を身代わりに仕立てたのではないだろうか。
・美鈴が感知して描いた「子どもと子犬」の絵の意味は?

 ここにいたっても、謎だらけ。本当に完結するのか心配になってきた

★その他の突っ込み
①サトリがいきなりミショウやバスに出現したが、どうやって?
 あらかじめ忍び込んでずっと身を潜めていて、機を見計らって登場したとしたら笑える。
②津田の心を読んであらかじめ銃の弾を抜いておいたというが、どうやって抜き取ったのだろう?
コメント (2)
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