英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

羽生三冠の最終局事情

2016-09-27 17:39:10 | 将棋
今日は王位戦の最終局(2日目)。
現段階(午後5時40分)で、かなりの優勢。
心中に安堵の拡がりを感じつつ、この記事を書いています。と言っても、投了の声を聴くまで、安心はできません。
(他にもたくさん書きたい記事があるのに、わざわざ増やしてどうするんだと、自分で突っ込みたくなります)



 昨日、心配で巷の声を拾っていたが、その中に「羽生三冠は最終局に部類の強さを発揮する」というものがあった。
 しかし、私は「最終局に強くはない」というイメージを持っている。竜王戦でのあの3連勝4連敗、深浦九段に王位戦で連続3勝4敗で敗退、森内九段にも名人戦で2度、3勝4敗の苦杯を喫している。一度目の七冠挑戦も、谷川王将に3勝4敗で退けられている。

 巷の声は正しいのか?……


★第1期……七冠達成まで(1989~1995年度)
 この間は、まさに破竹の勢い(でないと、七冠は達成できない)。
 タイトル戦の番勝負としての勝敗は、何と!25勝3敗(0.893)。7番勝負は9勝3敗、5番勝負は16勝0敗。
 1局単位では88勝39敗で、さすがに勝率は7割を切る0.693。 と言っても、タイトル戦で7割近くは脅威の高率。
 7割を切ると言っても、番勝負の星の流れも圧倒し、最終局までもつれ込んだのは、28シリーズのうち6シリーズのみで、最終局は5勝1敗。7番勝負では3勝1敗。5番勝負は2勝0敗。
 19シリーズは星を2つ以上離しての勝利(内10シリーズはストレート勝ち)。

★第2期……王位戦(深浦戦)直前まで(1996年度~2006年度)
 なぜ、ここで区切ったかというと、2007年度の最初のタイトル戦が第48期王位戦で、最終局までもつれ込み大熱戦の末、深浦八段(当時)に敗れたシリーズ。この後、最終局敗退のイメージが強くなった気がするからである。(この第2期までは、勝負強さを感じていた)

 七冠達成後は、羽生将棋も研究され、将棋界全体のレベルも高くなり、タイトル戦敗退も増えてきた。特に、森内九段にはかなり痛い目に遭っている。
 タイトル戦の番勝負は、41勝15敗、勝率0.732。7番勝負は22勝10敗、5番勝負は19勝5敗。相変わらずの強さ。特に1997年度の王位戦から2000年度の王座戦まで、出場したタイトル戦では連続15連続でタイトル戦勝利している。
 1局の勝敗としてカウントすると、171勝97敗、勝率0.638。
 最終局の成績は9勝5敗、0.642。物足りない気もするが、この間の全勝敗を少し上回っており、通常と変わりなしと言える。7番勝負では5勝2敗、5番勝負では5勝3敗。7番勝負で敗れる場合(失冠や挑戦失敗)は、1勝4敗や2勝4敗(0勝4敗も1度)が多く、“少なくとも最終局になれば勝つ”というイメージである。

★第3期……現在まで(2007年度~現在・2016年度棋聖戦)
 深浦八段との王位戦の後、“アンダー羽生世代”(深浦、久保)や若手(渡辺、広瀬)らが、タイトルに絡むようになってきた。
 と言っても、羽生三冠自体は、渡辺、森内以外には、ほとんど敗れていない(あとは久保、深浦)。

 この間の戦績は、タイトル戦の番勝負としては29勝14敗、勝率0.674。7番勝負は12勝11敗、5番勝負は17勝3敗。1局の勝敗としては126勝86敗、勝率0.594。これまでに比べて、率を落としているが(渡辺と森内のせい)、それでも大した数字である。
 最終局の成績は、9勝6敗、0.600。7番勝負では3勝5敗と負け越し、5番勝負では逆に6勝1敗と勝負強さを発揮している。以前の5番勝負(特に王座戦、棋聖戦)は、相手を圧倒するシリーズが多かったが、最近は若手の挑戦を苦労して退けている。7番勝負は最終局に限らず、(名人戦と竜王戦での敗退もあり、全般的に苦手にしているイメージがある。最近の王将戦も冴えない。最終局もその苦手を反映しているような成績である。

 そんなわけで、7番勝負の最終局に関しては、大きな不安を持っていた。
 でも、何とか勝ったようです!
 今日負けて王位を失うと、王座戦で糸谷八段に3連敗を喫して大逆転での王座失冠というイメージが一気に浮かび上がるところでした。


 全期間を通すと(今期の王位戦を加えて)、タイトル戦としては96勝32敗、勝率0.750(392勝225敗。0.635)。7番勝負は44勝24敗、5番勝負は52勝8敗。
 恐るべき戦績です。 
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする