英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

FIBA女子バスケットボール・ワールドカップ2018 第1戦、第2戦

2018-09-25 19:35:11 | スポーツ
今回より、大会名称が『FIBA女子バスケットボール・ワールドカップ』に変更(これまでは『FIBA女子世界選手権大会』)。
フォーマット(予選通過枠→決勝トーナメントの形式)も若干変更されたようだ。

【参加チーム】
各地区予選を勝ち抜いた14チーム(アメリカ地区3チーム+アフリカ地区2チーム+アジア地区4チーム+ヨーロッパ地区5チーム)+前回オリンピック優勝国+開催国の計16か国。

グループA……韓国(16) ギリシャ(20) カナダ(5) フランス(3)
グループB……オーストラリア(4) トルコ(6) アルゼンチン(15) ナイジェリア(34)
グループC……日本(13) プエルトリコ(22) ベルギー(28) スペイン(2)
グループD……ラトビア(26) アメリカ(1) セネガル(17) 中国(10)

 国名の横の数字はFIVAランキングだが、実力を正確に反映していないようだ。
 9月2日にFIVAから発表された“パワー”ランキングでは日本が9位、スペイン2位、ベルギーが6位、プエルトリコが12位となっている

【大会形式】
・16か国が4チームずつ4グループに分かれてリーグ戦(4チームによる総当り戦)を行い、各グループの上位3チームが決勝トーナメントへ
・決勝トーナメントではまず2位通過、3位通過のチームが別グループのチームと2位×3位とで対戦する(1回戦)。その後、そのそこでの勝者が各グループ1位と準々決勝を戦う
・オーバータイム(延長戦)採用で決着をつける
 ≪私見≫
 参加16チームのうち12チームが決勝トーナメント進出(75%)はかなり緩い予選だが、グループのレベルの偏りによる運不運を軽減できる(サッカーのワールドカップのように、強豪チームの敗退の率は低くなる)。
 また、1位通過はシード(準々決勝進出)されるので、予選の意義も保たれている。
 引き分けがないので、初戦、2戦と連敗するチームの出現度が高く、残り1戦を残して予選敗退が決してしまうことも多かったが、それがなくなった。



第1戦 対スペイン戦
 スペインは前々回大会は3位、前回大会は準優勝、リオデジャネイロ五輪でも準優勝で、優勝候補本命のアメリカの対抗馬の一番手。しかも地元開催国。初戦の相手としては、厳しすぎる相手。
 しかし、リオ五輪では日本もスピードとシュート力、豊富な運動量でのしつこい守備で強豪国にも十分対抗できるという感触を掴んだ。今大会、吉田、渡嘉敷、大崎不在ではあるが、3Pシュートに関しては当時以上の得点力がそれをカバーし、今回リオ五輪当時と遜色ないチーム力を保持していると考えられる。ゲームの流れを掴めば、スペインに一泡吹かせることも可能と考えていた。

 しかし、前半、21-39と大きなビハインド。ディフェンスは甘く、オフェンスはミスが多く、得点はおろか、攻撃の完了さえできない状況だった。
 初戦、地元チーム相手の“アウエィ感”ということもあるが、主因はスペインのディフェンスの良さであろう。マークが厳しく、チェックも厳しい。ドライブからのシュートやパス回しが日本のオフェンスの主システムだが、きっちりマークされて、苦しいシュートやパスを強いられた。
 また、他のプレーヤーもドライブに合わせる動きもなかった。さらに、ピック&ロールやスクリーンプレーもなく(身体が小さいと難しいかもしれないが)、ドライブからのプレーに終始した。攻撃が単調なので、相手もディフェンスしやすい。
 ベンチワークにも疑問が残る。
 試合開始早々は、悪くなかった。馬瓜や水島が難しいシュートを決め、スペインも「油断ならじ」というプレッシャーを感じたのかミスが多かった。ところが、リング下に切り込んだ馬瓜が行き詰まってパスミス、本橋がドリブルミスしターンオーバー。このふたりと水島をベンチに下げ、町田、長岡、赤穂ひまわり(姉は最終選考で涙)をコートへ。タイムシェアでチーム全体で戦うシステムに沿った交代で、ミスが続いた流れを変える意図もあったと思うが、開始5分弱でポイントガードを含めての3人一気の交代は疑問に感じる。
 町田と本橋は同タイプのPGでオフェンスを継続する意味では有効だが、徐々に本来の動きを取り戻し、日本のオフェンスに対応しつつあるスペインに対し、ベンチから出たばかりでは厳しいものがある。スペインのディフェンスの厳しさを把握しつつあった本橋をもう少し使うべきではなかったのか?(この時点では、日本6-7スペイン)
 いきなりスペインのプレッシャーに対応しなければならないという点では、長岡も赤穂も同様。しかも、ディフェンス力に関しては、水島、馬瓜の方が高い(ように思う)。結局、この交代はあまり有効ではなく、スペインペースになっていった。
 しかも、この後すぐ、宮澤が2つ目のファールを犯し(疑問の判定)、ベンチに下げざるを得なくなり(代わってオコエがコートに)、更にディフェンス力が低下した。

 タイムを取るのも遅かった。(第1Q残り3分で、8-14)
・勿体ないファールはするな
・パスを回さず、1対1ばかりしている
・うちのバスケ(日本のバスケ)をしよう(4ターンオーバーで、ターンオーバーからの失点が7)
・わざとタイムを取らなかった。スペインが疲れていたから(“ミスをしていたので、立て直させたくなかった”という意味だろう)

 部分的には正しいが、ファールは3つ(宮澤が2ファールで他は1つのみ)。それよりも、点差が開いてスペインに余裕を持たれてしまう前に、悪い点を注意すべきであった
 それに、まず、ディフェンスから立て直すべきだ。オフェンスが機能しないなら、失点を押さえ差をつけられない事を優先すべきで、相手のオフェンスを押さえれば、ディフェンスにも影響し、流れも変わってくるのではないだろうか?リバウンドの指示もなかったようだ
(中継に入らなかっただけで、ディフェンス指示はあったかもしれない)

 第1Qは終了間際にミスが相次ぎ4点を取られ、10-20で終了。(この4点が痛かった)
 やはり、吉田、渡嘉敷、大崎の不在は大きい
 吉田なら悪い流れを断ち切るパスや態勢を立て直すオフェンスを組み立てただろうし、渡嘉敷なら多少無理な状況でもシュートを決めたであろうし、大崎なら厳しいディフェンスで点を許さないであろう。希望的観測かもしれないが、彼女たちがコートに居れば心強さを感じ、ここまでスペインに流れが傾かなかったであろう。

 自分たちのバスケットが崩れている時、流れを留め、立て直す時間を作る選手が欲しい。
  

 第2Qも流れは変わらず。ただ、点差を開いたが、やや立ち直りの兆しが感じられた(藤高の3Pシュートや宮澤の得点、藤岡&高田のコンビプレー)。

 第2Q、4分45秒、日本14-28スペイン、フリースロー2本与えたところで、タイムアウト。

「こんなバスケ、初めて。何したいんですか?(プレーの)意味わかんない?
 ほんとにもうギリギリだよ。今、今ちゃんとやらなかったら……ハーフタイムで終わりだよ(逆転不能)」
 部分的にしか中継されなかったが、ただ、叱るだけ。皮肉を言うだけ。
 21-39で前半終了。前半終了前も6連続失点だった。

 後半は粘り強いプレーを続け8点差を詰めたが(試合中のスコア表示では9点差)、逆転するには厳しい点差だった。


第2戦 対ベルギー戦
 世界ランクは低い(28位、日本は13位)が、ヨーロッパ3位の強豪。“パワー”ランキングでは6位で上位(日本は9位)。
 それに加え、日本は初戦の敗戦後、ホテルに戻ったのは23時頃。翌日の8時15分から練習、そして13時30分から試合開始というタイトなスケジュール。前試合の高田のプレータイムが38分(ほぼフル出場)というのも気懸かり。ベルギーは50点差の快勝で、主力をベンチで休ませる余裕もあった。

 
 第1Q、一進一退の攻防が続いたが、日本得点が先行するようになり、日本ペース。第1Qは17-13で終了。
 第2Qに入ると、2分では20-13と7点リード、さらに4分には23-14と9点差まで広げ、このままいくのではというムードになった。
 しかし、ベルギーも踏ん張り、5点前後の日本リードで推移。前半は日本35-32ベルギーで終了

 第3Qにベルギーが追い付き、その後はシーソーゲームとなったが、クォーター終盤は日本がペースをつかみ、第3Qは、日本57-50で終了。
 第4Qも一進一退の展開だが、やはり日本がリードを保ち主導権を渡さず、残り6分17秒で65-56と9点リード。
 しかし、勝利を意識したのか、5分間、無得点。ベルギーに12連続ポイント許し、逆に3点のビハインド(日本65-68ベルギー)。
 ここで、馬瓜が起死回生の3Pをねじ込み、同点!何とか踏みとどまる。相手ディフェンダーのチェックが迫る中、良く決めた。
 残り1分2秒。互いに無得点でオーバータイムに(68-68)
 この間は、ベルギーに得点チャンスが多く、ベルギーが勝機を逃した感が強い。特に、残り20秒強でベルギーのドライブシュートに対し、藤高と高田が身体を寄せたが、ふたりとも(少なくとも藤高は)相手に押す感じで空中で接触しており、プッシングのファールを取られても文句を言えないプレーだった。さらに、残り1秒弱でボード下へのルーズボール。ベルギーの選手があと半歩早ければ、そのままシュートされていたかもしれない。冷や汗ものの第4Q終了間際だった。

 オーバータイム開始早々、パスを受けた藤高がラインクロスのターンオーバー。この後、3Pシュートを決められ、流れが悪い。しかし、残り3分20秒で宮澤の3Pシュートが決まり71-71の同点。
 この後、互いにターンオーバーやシュートミスで無得点。
 残り2分24秒で、勝敗を分けるプレーが出る。
 リングにドライブしようとしたベルギーのアレモンドがマークした馬瓜を手で押してしまう。これがオッフェンスチャージングを取られ、ターンオーバー。しかも、ファールアウト(5ファール)。相手選手の動きを呼んだ馬瓜の好ディフェンスだった。
 さらに、宮澤が3Pシュートを決め、3点リード。残り2分、日本76-73ベルギー。
 残り1分でシュート(2点)を決められ、1点差。互いに3Pシュートを外し、残り15秒で、赤穂がファールを受ける(アマチュア大会では時計を止める為の故意ファールは禁じられているが、別にいいような気がするが…)
 このフリースロー、赤穂が2本の内1本を外し、2点のリードに留まり、“ヒヤヒヤ感”を維持してしまう。
 残り4秒でベルギーが3Pシュート。これを宮澤がブロック!これを赤穂がキャッチし、そのまま試合終了。日本77-75ベルギー。
 このシュートブロックも審判によってはファールを取ったかもしれない。ファールを取られた場合、3本のフリースローなので逆転負けの目もあった。ただ、シュートしたメースターグはそのままベンチで悲嘆にくれていたので、ノーファールだったのだろう。

 今ゲーム、日本ペースで展開していたシーンが多く、これほどギリギリの勝利にならないように思えた。
 点差が開いた場面で、突き放せなかったのが残念というか、反省点。逆にゲーム終盤は負けても不思議でない流れだったので、勝てて良かった。(運も良かった)
 

【2戦を通しての各選手の印象】
本橋……悪くはないが、ミスがやや多い。スペイン戦では、「スクリーンに掛かり、マークを振り切られる」というパターンを2連続。
水島……動きはいい。スターターとして出場するも、ゲーム序盤でミスが出てしまい、プレータイムが短い。俊敏な動きで激しい守備が長所だが、余計なファールや迂闊なプレーが出るのが仇になることも
宮澤……3Pシュートのタッチはイマイチだが、スピードで切り込むシュートも通用。厳しいディフェンスやリバウンドでも貢献。もう少し積極的に攻撃アタックしても良いような気がする。
馬瓜……フィジカル、メンタル強い。苦しいところでシュートを決める
高田……攻守の要で、黙々と役目を果たす頼もしいチームの柱。安定して活躍。
オコエ……スピンムーブシュートなどポテンシャルは高く、物怖じしないが、空気を読まないシュートが玉に傷。雑なプレーが多い点が残念。尻を突き出し過ぎる変なボックスアウト。
藤高……3P好調で貢献。守備はよくない。ドタ足も気になる。
藤岡……ドライブイン、アシストパス、ボールキープなど素晴らしい
町田……ドライブ時に相手の高さに苦労している。大会前に捻挫したという情報も。
長岡……堅実な守備をしているが、オフェンス時、ハンドリングミスなどがっかりさせることがある
赤穂……高さがあるうえ、柔らかい動きもできるのが魅力。相手に少し気後れを感じることがあるように感じる
根本……強化試合2戦目でクイックモーションからの3Pシュートは見事だったが、この2試合はプレータイムが短い。

実況アナ(第2戦)……ベルギーのアレモンドがオフェンスファールでターンオーバーしたが、このファールでファールアウトになったのに気付かず。OT時、赤穂がフリースローになっているのに気がつかず。
 
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