英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

FIBA女子バスケットボール・ワールドカップ2018 第3戦、本戦1回戦の簡単感想とホーバスHCについて

2018-09-27 23:52:19 | スポーツ
グループリーグ第3戦はプエルトリコに69-61で勝利。2勝1敗のグループ3位(同率3チームの対戦での得失点差に依る)決勝トーナメントに進出。
決勝トーナメントは、中国に81-87で敗れ、準々決勝進出はならなかった。


(第1戦。第2戦についてはこちら
第3戦 対プエルトリコ戦
 第1Qは23-15。
 第2Q・4分で2点差に詰められるが、町田が入ってオフェンスが機能して(8アシスト)、前半は43-28と15点リードして終了。
 いい流れを3Qにも持込み、3分で19点のリード。ところが、楽にシュートを打たれ失点、オフェンスは停滞し、53-45で第3Q終了。(第3Qの日本の得点は、わずか10点)
 第4Q直後もシュートを決められ6点差に。この後、立て直し、残り4分で66-49と安全圏に入ったかと思われたが、また、グワスミー選手に3連続で3Pシュートを決められる反撃に遭い、点差を詰められる。……結局、69-61で何とか逃げ切った。

 だらだら、もたもた、どたばた……という印象で、終盤はひやひや感まで味わった。
 高田と宮澤のふたり、あるいは、どちらかがコートに居ないと、もたもたしてしまう(途中までは馬瓜が不振だったことも原因か)。オフェンスはともかく、ディフェンスはふたりの貢献度が高いことを実感した。オフェンスがもたもたしたのは、ディフェンスの失敗感が波及したのかもしれない。
 もっと余裕を持って勝てる試合展開だった。勝たなくてはならない試合だった。(簡単に勝てないのが、世界大会なのだが…)



決勝トーナメント1回戦 対中国戦
 第1Qは25-19。第2Q中盤に追いつかれ、その後は一進一退。44-46と2点のビハインドで前半終了。
 第3Qは中盤以降、突き放され、57-67。
 第4Q、開始2分過ぎには63-69と6点差まで詰めたが、そこから、オフェンスを封じられ、きっちりシュートを決められ、65-76と11点差に広げられてしまう。ところが、ここからオコエがミラクル・プレーを連発(味方のシュートのエアボールがオコエの手の中に。相手の甘いパスがオコエの目の前に。それだけでなく、オコエの思い切りの良いシュートが決まる)。残り2分11秒に75-81と6点差、残り1分43秒で79-81の2点差。……しかし、反撃はここまで。結局81-87で敗れた。

 ベルギーがスペインを破るという番狂わせを起こしたので、2勝1敗で並ぶも、得失点差で日本は3位となり中国と戦うことになった。
 2位ならば、運動ポテンシャルが高く、未知数で、上り調子のセネガルとの対戦で、中国とどちらが組みし易いのかは微妙なところ。ただ、205㎝、200㎝の超長身選手を擁し、平均身長が187.2cmの中国(日本は175.8cm)より、日本のしつこいディフェンスとショックが大きい3Pシュートはセネガル相手の方が有効だと思う。
 
 中国は高さでリング下の支配を計りながら、機を見てジャンプシュートを放つ(精度が高かった)。
 日本は、時折、中国の高さに抗しきれないシーンも見られたが、高田がペイントゾーンをよく守り、宮澤はリバウンドやマークディフェンスを頑張る。また、中国の高さ対策として起用された長岡も良く守り、失点を最小限に抑え、ドライブや3Pシュートで得点を先行させた。
 しかし、中国は徐々に日本のオフェンスに対応し、日本のオフェンスに停滞を強いり、追いつき逆転、2点のリードで前半を終えた。日本は主導権を握っているうちに得点差を二桁にして、中国の焦りを生じさせたかった。
 あと、この試合に限らず、フリーで3Pシュートを打たせてしまうシーンが頻出した。ペイントエリアを皆がカバーしなければならない大変さはあるが、3P得意のシューターへのマークが甘かったように感じた。
 後半に入ると、高田と宮澤に疲れが見え始め、中国のオフェンスの自由度が増してしまい、失点が嵩んだ。また、オフェンス面では、中国の適応度を上げたディフェンスを崩すことが出来なくなっていき、得点が伸びなくなった。
 中国は日本のバスケットボールをよく研究していた(特に、宮澤へのマークが厳しかった)。対策を練りやすいということもあったのではないだろうか(これについては後述の“ホーバスHC論”にて)。あと、オフェンス終了後の戻りも速かった。

 試合を観て感じたのは、中国の方が実力が上だということ。日本と中国の実力は4対6ぐらいだろう(もう少し差があるかもしれない)。
 今回は出だしが良くて、「4」の目(日本勝利の目)が出るチャンスだった。そのチャンスを活かせなかったのはベンチワークに問題があったと考える(詳しくは後述)。さらに、「4対6」の実力状態を作ったのもベンチ(スタッフ)だと思う(後述)
 高田、宮澤、長岡の他、馬瓜やオコエが頑張ったが、本橋が25得点と奮闘。彼女の活躍に勝算は惜しまないが、ポイントガードの得点が傑出するのはチームのオフェンスとしては問題に感じる。

 本橋は「グループリーグの3試合を振り返って、本橋の考えは「自分のプレーをやりたい」に行き着いた。「空いたらシュート、出て来たらドライブと、頭の中をシンプルにして得点を狙っていくようにしました。前の試合はドライブしなきゃ、行かなきゃという気持ちが強く、空いているのに狙わずに中に攻めてしまうことが多くて。自分のシュートを第一に考えました」と答えていた。
 彼女のスタメンは相手チーム(中国に限らず)にとっては想定外でボールを持った彼女に対するマークは甘く、彼女のシュートセレクトは正しい。
 しかし、≪自分のシュートを第一に考えた≫というのはどうなのだろう?確かに、チームの得点は伸びるが、チームのオフェンスが錆びついてしまう危険性がある。
 他の選手が動いて苦労してフリー状態を作ってもパスをくれなかったり、ポイントガードの≪自分のシュートを第一≫という意思を感じてしまうと
、ポイントガードへの信頼は薄れていく。
 それはともかく、本橋は良く頑張った。他のメンバーも良く頑張った。お疲れ様でした。


ホーバスHCについて
 ホーバス氏は理知的・論理的で人間性も素晴らしいと感じている。しかしながら、氏の戦術や試合中のタイムアウトの指示、試合後のインタビューを見聞すると、疑問に感じる点が少しある(少しではないかも)。
1.将棋やチェスではない
「自分たちのプレーが出来ていない。何故しない?どうして出来ない?」
「タイムシェア制の選手起用システムを組み、それを(練習や強化試合など)で行ってきたが、予定したプレーをできない選手がいて、セットがバラバラになってしまった。出来るチームのはずだが、若いこともあって、出来不出来の波がある」

 世界大会なので、高さもスピードもある相手に対して、出来ないことが増えるのは仕方がないというか“当然”に近い現象。駒やキャラの能力が一定の将棋やチェス、戦略シミュレーションゲームではないのだから、出来ない状況も想定して戦術を立てるべきだ。そもそも、何度も選考を重ねて選んだ選手、“できていない選手がいる”と思っても口にしてはいけない。
 “出来たこと”“出来なかったこと”を把握できたのは今後に向けてプラスになるはず。

2.オフェンスのバリエーションが少ない
 「高さもリーチもある外国チームに対しては3Pシュートが最も有効である」という考えに異論はない。
 しかし、渡嘉敷や大崎が不在の現状では、ポストプレーは望めない。さらに、小型チームではスクリーンプレーもあまり機能せず、今回はコンビネーションオフェンスも少なく、さらに、セットプレー(トップの位置で走り込んでボールをもらう行為を複数人が繰り返す)もほとんど効果がなかった。
 さらに、吉田がいれば、ゴール下にパスを通したり、ポストプレーも増えたであろう(今回はセンターは高田のみなので難しいが)。また、吉田はフリーの選手を見つけ、パスを通すのが非常にうまい。
 今大会は、ポイントガードがリングに切れ込んでそのままシュートか、パスアウトして3Pシュートするパターンが殆どだったので、それを注意するだけでよく、相手ディフェンスは対応し易かった。そのため、後半に入ると、相手ディフェンスが適応し、日本のオフェンスが停滞してしまうシーンが増えた。(ドライブインとパスアウトからの3Pシュートのみを注意していたので、本橋のジャンプシュートは殆どフリーで打てた)

3.精神的支柱がいない
 高田も宮澤も良く頑張ったが、残念ながら“精神的支柱”という存在とは言えない。
 吉田、渡嘉敷、大崎はプレーの面でも支柱だが、流れが悪くて苦しい状況でも、踏み止ませるプレーができる。コートに彼女たちが居るだけで、≪何とかなる≫という雰囲気や顔をしている。

4.タイムアウトが遅い
 スペイン戦の第1Q、中国戦の後半に攻守ともに機能しなくなり点差が開いていっても静観。ビハインドが大きくなってからようやくタイムアウト。傷が大きくなり、挽回が難しくなってしまった。


 今大会、ホーバスHCの目指すバスケットの限界を感じた。
 故障中?の渡嘉敷、妊娠の大崎は仕方ないし、後々、代表復帰の可能性大。
 ホーバスさん、吉田を復帰させてください。

補足(9月29日記事)しました。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする