英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2018アジア大会雑感 その5「甘い“技あり”判定」

2018-09-12 20:40:26 | スポーツ
 柔道男子73キロ級決勝 大野将平-安昌林戦 は死力を尽くした大熱戦だった。しかし、それに終止符を打ったのは、微妙な判定だった。
 互いに技を繰り出すが、しぶとく柔軟な受けで技を決めさせない。体力の限界に達していたが両者、衰えぬ気力で前に出て技を繰り出す。このまま体が動かなくなるまで戦い続けるかと思われたが、延長戦に入って7分(通算11分)後、ジュリーから指示があり、主審が試合を停止した。両者の道着を正させた後、技ありを表明し大野の勝利を宣言。
 ≪えっ?なんで?≫…理解不能状態。
 どうやら、少し前の大野の技を“技あり”と判定したらしい。

 しかし、何度もVTRを見直したが、「有効」(現在は認定の範疇がない)と判定されるかどうかの決まり具合。微妙というより疑問の判定だった。今回のアジア大会では技の判定が甘いように感じた。
 国際的基準が甘くなったのか、今回のみの傾向なのかは不明だが、昨年の世界柔道の時より甘くなっているのは確かだ。

 技判定の甘さについて述べる前に、「有効」廃止のルール変更について触れておきたい。

【国際柔道連盟(IJF)2016年12月9日のルール改正】
3段階で区別する技のポイントのうち3番目の「有効」を廃止し、「技あり」と「一本」に限定した。技ありは何度重ねても一本にならず、合計2度での「合わせ技一本」は消滅する。⇒その後、合わせ一本は復活している

 この改正以前の「一本」「技あり」「有効」の技の完遂判定基準(私個人の“決まり具合の判定基準”です)は
「一本」……完全に相手の身体を制御して投げて、背中から畳に落とした
「技あり」……完全ではないが「相手を投げた」という印象を受ける投げ具合
「有効」……投げ切れてはいないが、「“投げたか?”“投げていないか”」と問われたら、「投げた」と判定する程度の投げ具合。具体的には、投げた時、背中と畳の角度が90°未満の時に、認定されていたように思う
 実際の「一本」判定はもっと甘く、投げたとは思えない印象を受けても、相手の背中が畳に付けば「一本」と認定されることが多い。例えば、しりもちをついた状態で一瞬止まっても、畳み掛けるように技をつなげて背中をつければ「一本」と認定されることが多い。


 さて、“有効”廃止、“合わせ一本”廃止(現在は“合わせ一本”復活)の意図
・“有効”と“技あり”の区別がつきにくい
・判定の決着(優勢勝ち)を減らして、“一本”を決めて決着をつける

……だったと思う

 ところが、“有効”を失くしたため(しかも“合わせ一本”も廃止…現在は復活)、ゴールデンスコア(延長戦)突入が増えた。さらに、延長戦に入って膠着状態が続き反則負け(指導負け)も増えた。
 そのため、“技あり”基準が甘くなっていったように思う。(“有効”廃止時点で“技あり”基準も甘くしていたようだが、更に甘くなっていった)
 その上、“合わせ一本”が復活したので、“有効”程度の技(酷い時には“有効以下”の技)2本で“合わせ一本”になってしまうケースが頻発してしまった。
 また、“技あり”基準が甘くなったため、延長戦に於ける“有効未満の技”で決着してしまうケースも増えた。

 これなら、以前の“有効”と“技あり”を区別判定して技の優劣をつけていた時の方が合理的である。

 
 
【ルール改正や疑問の判定に関して】は
「2017柔道世界選手権 新ルールの功罪」
「2017柔道世界選手権 頻繁なルール改正と審判の未熟さ」
「2017柔道世界選手権 更なる理不尽な判定」
「柔道 グランドスラム東京2017」

【2018アジア大会記事】
その1「至極残念な中継 ①温度差がありすぎる中継」
その2「至極残念な中継 ②浅いインタビュー」
その3「至極残念な中継 ③勝手に大会終了」
その4「男女混合種目の問題点」
その5「甘い“技あり”判定」
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