英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

アリバイ崩し承ります スペシャル(2024年4月6日)

2024-04-20 15:49:07 | ドラマ・映画
 2020年2月1日から3月14日まで、テレビ朝日の「土曜ナイトドラマ」で放送された。
 大山誠一郎による推理小説が原作(2014年から2017年にかけて実業之日本社の雑誌『月刊ジェイ・ノベル』に掲載)


 このドラマで初めて浜辺美波を拝見。
 《やたら、かわいいなあ》と思った記憶がある。この頃、小芝風花も初見、《非常にかわいい》と。小芝風花は、2020年『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ)、『妖怪シェアハウス』(テレビ朝日)、2021年『モコミ〜彼女ちょっとヘンだけど〜』など立て続けに視聴したが、変わった個性のキャラが多く、ドラマに恵まれないなあと残念に思った記憶がある。
 浜辺美波は、NHK朝ドラの『らんまん』で再会(←私が一方的に)。素敵な演技だった。

 で、4年前のドラマだが、アリバイ崩し(アリバイ工作)は楽しめたが、ドタバタが強すぎて楽しめなかった。
 今回もその基調は変わらず、残念感が強い。
特に、渡海刑事( 成田凌)がウザい。
 ドタバタは諦めて、浜辺美波とアリバイトリックを楽しめばいい……とは思うが、事件の構造(関係者の行動)が不可解すぎる!

容疑者・朝倉正平(矢本悠馬)のアリバイ工作
 《宅配便を自宅で受け取った》という事実により、殺害現場に行って犯行を行うのが時間的に不可能というもの。
 アリバイからくりは、宅配の発送者も朝倉で、受け取り票に予め透明インク(冷やされることで文字が現れる性質)で書いておいて、宅配を受け取った身代わりが冷却された下敷きを使用し文字を出現させたというもの。
 配達人は「フードを被り、サングラスにマスク着用。部屋には花のようないいにおいがした」という証言もあり、この身代わり受取人は医師・江島聡美(高梨臨)と判明。彼女も認めたが……

 ……ところが、朝倉はアリバイ工作を認め、さらに、「殺害しに行った」とは認めたが、「被害者の父・資産家の富宰建一は既に殺されていた」と主張。さらに、「自分は先端恐怖症で包丁を握るどころか、見るのも無理」だと。実際、先端恐怖症と診断されており、犯行は不可能とされた(実際にも別の人物の犯行だった)
 ただし、「故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者」という相続欠格により、相続することはできないらしい。


で、真犯人・江島聡美の意図
 《自分(聡美)が朝倉のアリバイ工作に協力した(朝倉の住居に居た)》と認定されることで、聡美の富宰健一殺害に関するアリバイが成立することになる。
 その後に、朝倉を殺せば、富宰の財産絡みの連続殺人と考えられ、自分は容疑者から外れる

という筋書き。
 ……警察視点、視聴者視点であれば、《おお、なるほど!アリバイ工作を利用した逆転のアリバイ構造だったのか!》となるわけだが……
……【朝倉の行動・心理】は全く不合理!理解不能だ!

 《アリバイ偽装トリックを見破られる》のが犯人の目的だったと、ヒロイン・美谷時乃(浜辺美波)は語るが、それは犯人の聡美の都合であって、朝倉にとっては何のメリットもない。朝倉が身代わり(代行)の宅配受取人として振る舞い、実際に透明インクのトリックを使用したのだから、朝倉が自宅にいたという証明が難しい。
 まあ、朝倉は“先端恐怖症”という刃物を扱えないという根拠があるので、アリバイを主張する必要性は薄い。しかし、その“先端恐怖症”を後から明らかにする理由もない。《聡美のアリバイを作るために偽装したと思わせた》ということも考えられるが、そういう訳でもなく、聡美に誘導されて偽装工作をしただけのようだ。まあ、理由があるとしたら、作者の都合であろう。
 そして、何より不可解なのは……アリバイトリックの準備をしながら、実際は自宅にいただけだったこと
 朝倉が聡美に協力して聡美のアリバイを作るためだったのなら、理解できるが、上述したように、そういう関係ではない。だとしたら……
 ……だとしたら、朝倉は(聡美に誘導されて)アリバイ工作を思いつき、実際に聡美がアリバイ工作に協力した痕跡(人相を不明にして香水をつけた)を残して、じっと自宅にいた。……いったいどういう理由で、こんな行為をしたのだろうか?全く分からない。
 殺意があり、計画を立てたのに、何も行動を起こさず、自分に不利になることをしただけ。
 しかも、「殺すつもりで殺害現場まで行った」とまで供述。意図が分からない!

 おかげで、《殺害計画を立てた》ということで、相続欠格になってしまった。これも、よく考えたら、《アリバイ工作を考え実践した》だけで、実際に殺害どころか、現場にもいっていないのだから、セーフなのでは?
 …理由を上げるとしたら、《殺害場所の部屋のソファーなどの配置換えを知らずに、「被害者・伯父が血だらけで倒れていた」といいう証言が嘘》という推理を時乃に語らせるためなのだろう。

 実際にアリバイ工作を実行し、朝倉に伯父を殺害させ、その後で聡美が朝倉を殺害すればよかったのでは?


江島聡美の行為もおかしい!
 婚約者が朝倉のパワハラに追い詰められて自殺。その復讐心は理解はできるが、遺産相続絡みの連続殺人と思わせるために、何の恨みもない富宰を殺害。
 勤務している病院で「パワハラは許せない」と叱っていたのに、殺人は良いのか?

 朝倉殺害時も、「どうして?」と朝倉が呻いたが、恨みをぶつけてから朝倉を殺さないと意味が薄い。


【その他の疑問点】
・テレビの密着取材はドラマに必要だったのか?(目立つのを牧村匠(勝村政信)に持っていかれてしまったというオチの為?)
・容疑者のひとり、女優・宇川蒔絵(雛形あきこ)の付き人が、意味深に登場したが、関係なかった


【ストーリー】(番組サイトより)
 美谷時計店の若き店主・美谷時乃(浜辺美波)が那野県警捜査一課を訪れると、管理官・察時美幸(安田顕)らが人気テレビ番組『県警密着24時』が、捜査一課に密着することになったと大騒ぎ! 察時は、この密着取材中に事件を華麗に解決し、東京の警察庁に返り咲こうと目論んでいた。番組のプロデューサー・君嶋薫子(松本若菜)も、《アリバイ崩しの名人》として名をはせる察時に注目しているというのだが、実はその察時から時乃が“アリバイ崩しを承っている”ことなど知るよしもなく…? 一方、無関心を装う巡査部長・渡海雄馬(成田凌)だが、密かに想いを寄せている時乃が番組のファンだと知るやいなや、なんとしてでも密着取材で自分をクローズアップしてもらおうと張り切り始める。
 捜査員たちが盛り上がる中、フザイ建設の社長で資産家の富宰建一(春海四方)が自宅で刺殺されたと通報が入り、察時や雄馬らは番組のクルーを引き連れてさっそうと事件現場に臨場! しかし、検視官・樋口秀人(柄本時生)いわく、刃物のようなもので刺されたにも関わらず、現場には凶器が見当たらず…。
 重要参考人として名前が挙がったのは、元フレンチシェフ・朝倉正平(矢本悠馬)、女優・宇川蒔絵(雛形あきこ)、フットサル選手・井田泰明(山本涼介)の3人。いずれも被害者の姪・甥で、かねてから遺産争いでもめていたという。しかし涙ひとつ流さず口論を続ける3人には、死亡推定時刻に完璧なアリバイが!
 捜査を進めた察時は、自宅で宅配便の荷物を受け取ったとアリバイを主張する朝倉が、実は替え玉を使ったのではないかと疑い、送り主の医師・江島聡美(高梨臨)に話を聞きに行くのだが…!?
 そんな中、聡美のもとで実習中の医学生・葉加瀬裕次郎(葉山奨之)が、時乃に会いに時計店にやってくる。葉加瀬は時乃の高校時代の先輩で、どうやら初恋の相手らしい。組織犯罪対策課の刑事で親友でもある真壁剛士(間宮祥太朗)の後押しでようやく時乃とのデートにこぎ着け、上機嫌の雄馬は、突然現れた葉加瀬に敵意むき出し! しかも、葉加瀬が富宰殺害にも絡んでいるかもしれないという新たな疑惑までぼっ発し、とうとう公私混同のドタバタ捜査を開始する。
 一方、自力で事件を解決すると意気込むも、なかなかアリバイが崩せず焦る察時に、時乃が意気揚々と協力を申し出る。しかし、真のアリバイ崩しの名人・時乃をあざわらうかのように事態は二転三転!
 はたして時乃は、“アリくず”史上最難関のアリバイを崩して、衝撃の真相にたどり着くことができるのか!?

脚本:いずみ吉紘
【原作】大山誠一郎『アリバイ崩し承ります』(実業之日本社文庫)

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