番組サイトの見どころによると
「事件は一見、叔父甥間で起こった金銭トラブルによる単純な殺人事件だと思われたが、一人、その見解に不審を抱いた竹村は犯人の周到な計画を打破するべく執念の捜査で犯人を突き詰めていく!」
とある。
確かに、表面の裏に潜む真相を、主人公の「信濃のコロンボ」こと竹村刑事(寺脇康文)が、しつこく追い求め、解き明かしていく話で、主題に沿ったドラマの造りとなっていた。
「その1」の『事件救命医~IMATの奇跡~』の空中分解ぶりと比べると、この点においては評価できる。
しかし、このドラマには大きな欠点が2つあった。
Ⅰ.主人公に魅力が……
独自の推理力としつこさで真相を追究するという主人公なのだが、魅力を感じられなかった。
演じた寺脇康文さんは、『相棒』の亀山刑事役が当たり役だが、そのイメージが強過ぎて苦労している。
亀山刑事は直情型で思ったことがすぐ行動に表れるタイプだった。また、右京が謎や真相を暴くのを補助する役割であった。今回は「信濃のコロンボ」と称される(自称気味だが)だけあって、自らの洞察や推理で真相を解き明かしていく。また、性格も亀山とは対照的で、もっさりと動くタイプだ。
深読みすれば、亀山のイメージから脱却を図ったキャラクター設定のように思える。疑問に思うことは解決するまで究明するしつこさがあり、周囲(組織)のことを考えないマイペースさなど、事件を解決する要件を満たしているが、亀山を離れようと意識する余り、少し気弱で煮え切らない。また、マイペースと言えば聞こえがいいが、空気を読まない迷惑さ。さらに、そういう単独行動(実際は部下を一人帯同)しておきながら、最後の一歩は妻に背中を押されて踏み出すという人間性。
そもそも、停職1か月の刑事が捜査していいのだろうか?
それに、単独行動のはずだが常に部下を帯同させているのがしっくりこない。
「どうしてこの事件にこんなにこだわるんですか?」
と部下が尋ねたが、その答えが
「自分でもわからない。でも、このまま放っておいたら……わかんないけど…俺の心が……ああ…なんだぁその…壊れてしまいそうなんだ」
「心?」
「古臭いかもしれないけど、俺は自分の選んだ職業に誇りを持っている。その…意地だ」
「はあ…意地…ですか?」
本当に、≪はあ?≫である。
だいたい、「自分の選んだ職業」って「刑事」でいいんじゃない?
言い回しも、まだるっこしくて、いらいらする。その割に、説得力がない。単に、「真犯人がいるのに、逮捕しないのは気が済まない。犯人がのうのうと生活し、世間を歩いているのが許せない」と“亀山”らしい正義感でよいのではないだろうか?
くたびれたコートにこだわるのも、よく分からない。裏設定で、刑事になるきっかけなど、エピソードがあるのだろうか?
事件の真相を捜査会議で、つらつらと演説するのもイケテない。
こういうキャラ設定に問題があるのか、演じる寺脇さんが合ってないのか、演技力の問題なのか……とにかく、魅力が薄かった。
Ⅱ.事件関係者の行動が不可解過ぎる
①実行犯の戸沢が自分が犯人であると印象付けた理由が薄弱
ドラマでは岡部(高橋克典)説「自殺をするつもりなので逃げる必要がなく、犯行を隠す必要もない」、竹村説「逃げる(捕まらない)手立てがあり、犯行を隠す必要はない」と理由づけていたが、どちらにせよ、タクシーで目立つように遺体を運び、しかもわざわざほのめかす等、積極的に犯行を明かす必要は全くない。
代償の金を貰うため、恩人や愛する人を庇うために、囮の犯人として真犯人に容疑が掛からないようにするのなら、辻褄が合うが。
犯人の専務・沢藤(小木茂光)にとっては、野本敏夫が犯人であることを警察に印象付け、逃げ切れず自殺に及んだという筋書きのためには必要だった。
あと、ドラマや小説の導入として、タクシーでバラバラの遺体を運ぶというインパクトが必要だった。
②戸沢が殺人を実行した理由が薄弱
借金問題があると言え、野本孝平(本田博太郎)が甥の野本敏夫に殺されるほど追いつめたとは思えない。敏夫も専務・沢藤栄造(小木茂光)にそそのかされたとは言え、叔父でもあり、恩人を殺すのだろうか?
③専務・沢藤(小木茂光)も野本孝平を殺害する理由が弱すぎる
「社長秘書と専務が不倫だなんて、会社に対する裏切り行為だ」と糾弾するのも少し不自然、さらに、既に別件で専務の職を説かれる予定だったので、公平を殺す理由がないに等しい。社長を何とかしようと思うのが普通だろう。
④ホテル支配人・奥村も協力しすぎ
証人(ホテル従業員)を殺したり、アリバイ工作、はたまた、自首をするなんて、過去に恩があったってしないであろう。そこまで、恩義に熱いとは思えない。
主人公に魅力がなく、事件そのものもご都合主義で、がっかりの内容だった。
直接内容と関係はないが、高橋克典、小木茂光さんは「残念サスペンス・その1」でも、演じていた。
【ストーリー】番組サイトより
長野県警飯田署の刑事・竹村岩男(寺脇康文)はある日、釣りに出掛けた松川ダムでバラバラ死体の一部を発見してしまう。飯田署では死体の残りの部位の捜索が始まり、バラバラ殺人の第一発見者となった竹村は早速、部下の桂木(庄野崎謙)と捜査にあたり、妻の陽子(麻生祐未)とも"刑事コロンボ"並の推理を展開していく。
一方同じ頃、東京の室町署ではタクシーの運転手・戸沢信夫(村松利史)が「恐らく自分は死体を運んだ・・。」と訴えて出頭してくる。戸沢の供述によると室町署管轄内のオフィス街で一人の男と共に七つのダンボールを積んだのだが、男は戸沢に50万円も差し出し、長野と東京を往復させ、行き先の松川ダムの橋の上で積んできたダンボールをすべて投げ捨てたというのだ。しかも道すがら戸沢が「まさかその中身、ホトケさんじゃないですよね?」と聞くと男は「そうだよ」と返答したという。
室町署員が戸沢が男を乗せたという付近の聞き込みを行うと近隣にある五代通商株式会社という会社のビルの住込み管理人夫婦が行方不明になっていることが判明。捜査に乗り出した岡部和雄警部補(高橋克典)が管理人部屋を調べに来ると畳の下からおびただしい血痕が発見される。聞き込みから戸沢が乗せた男の風貌が管理人の野本敏夫(山中聡)と一致し、失踪した野本敏夫がバラバラ殺人に関与していると見なされる。
東京で容疑者が浮上したと連絡を受けた竹村は早速上京。岡部と合流し、敏夫の身元保証人になっているとう叔父の野本孝平(本田博太郎)の自宅マンションを訪ねる。ところが、孝平もここ数日姿が見えなくなっていることが判明。孝平の部屋を調べると敏夫が孝平から多額の借金をしていた借用書が見つかる。室町署では敏夫と孝平の間に多額の借金を巡って金銭トラブルが起こり、敏夫が孝平を殺害したとの見解に達し、失踪中の敏夫と妻の美津子(宮澤美保)を全国指名手配にする。
誰もが叔父甥間で起こった借金がらみによる単純な殺人事件と見なし、捜査は終結へと向かうかに思えたが、その見解に一人、納得出来ない竹村は執拗に捜査の手を緩めようとせず・・・。
「事件は一見、叔父甥間で起こった金銭トラブルによる単純な殺人事件だと思われたが、一人、その見解に不審を抱いた竹村は犯人の周到な計画を打破するべく執念の捜査で犯人を突き詰めていく!」
とある。
確かに、表面の裏に潜む真相を、主人公の「信濃のコロンボ」こと竹村刑事(寺脇康文)が、しつこく追い求め、解き明かしていく話で、主題に沿ったドラマの造りとなっていた。
「その1」の『事件救命医~IMATの奇跡~』の空中分解ぶりと比べると、この点においては評価できる。
しかし、このドラマには大きな欠点が2つあった。
Ⅰ.主人公に魅力が……
独自の推理力としつこさで真相を追究するという主人公なのだが、魅力を感じられなかった。
演じた寺脇康文さんは、『相棒』の亀山刑事役が当たり役だが、そのイメージが強過ぎて苦労している。
亀山刑事は直情型で思ったことがすぐ行動に表れるタイプだった。また、右京が謎や真相を暴くのを補助する役割であった。今回は「信濃のコロンボ」と称される(自称気味だが)だけあって、自らの洞察や推理で真相を解き明かしていく。また、性格も亀山とは対照的で、もっさりと動くタイプだ。
深読みすれば、亀山のイメージから脱却を図ったキャラクター設定のように思える。疑問に思うことは解決するまで究明するしつこさがあり、周囲(組織)のことを考えないマイペースさなど、事件を解決する要件を満たしているが、亀山を離れようと意識する余り、少し気弱で煮え切らない。また、マイペースと言えば聞こえがいいが、空気を読まない迷惑さ。さらに、そういう単独行動(実際は部下を一人帯同)しておきながら、最後の一歩は妻に背中を押されて踏み出すという人間性。
そもそも、停職1か月の刑事が捜査していいのだろうか?
それに、単独行動のはずだが常に部下を帯同させているのがしっくりこない。
「どうしてこの事件にこんなにこだわるんですか?」
と部下が尋ねたが、その答えが
「自分でもわからない。でも、このまま放っておいたら……わかんないけど…俺の心が……ああ…なんだぁその…壊れてしまいそうなんだ」
「心?」
「古臭いかもしれないけど、俺は自分の選んだ職業に誇りを持っている。その…意地だ」
「はあ…意地…ですか?」
本当に、≪はあ?≫である。
だいたい、「自分の選んだ職業」って「刑事」でいいんじゃない?
言い回しも、まだるっこしくて、いらいらする。その割に、説得力がない。単に、「真犯人がいるのに、逮捕しないのは気が済まない。犯人がのうのうと生活し、世間を歩いているのが許せない」と“亀山”らしい正義感でよいのではないだろうか?
くたびれたコートにこだわるのも、よく分からない。裏設定で、刑事になるきっかけなど、エピソードがあるのだろうか?
事件の真相を捜査会議で、つらつらと演説するのもイケテない。
こういうキャラ設定に問題があるのか、演じる寺脇さんが合ってないのか、演技力の問題なのか……とにかく、魅力が薄かった。
Ⅱ.事件関係者の行動が不可解過ぎる
①実行犯の戸沢が自分が犯人であると印象付けた理由が薄弱
ドラマでは岡部(高橋克典)説「自殺をするつもりなので逃げる必要がなく、犯行を隠す必要もない」、竹村説「逃げる(捕まらない)手立てがあり、犯行を隠す必要はない」と理由づけていたが、どちらにせよ、タクシーで目立つように遺体を運び、しかもわざわざほのめかす等、積極的に犯行を明かす必要は全くない。
代償の金を貰うため、恩人や愛する人を庇うために、囮の犯人として真犯人に容疑が掛からないようにするのなら、辻褄が合うが。
犯人の専務・沢藤(小木茂光)にとっては、野本敏夫が犯人であることを警察に印象付け、逃げ切れず自殺に及んだという筋書きのためには必要だった。
あと、ドラマや小説の導入として、タクシーでバラバラの遺体を運ぶというインパクトが必要だった。
②戸沢が殺人を実行した理由が薄弱
借金問題があると言え、野本孝平(本田博太郎)が甥の野本敏夫に殺されるほど追いつめたとは思えない。敏夫も専務・沢藤栄造(小木茂光)にそそのかされたとは言え、叔父でもあり、恩人を殺すのだろうか?
③専務・沢藤(小木茂光)も野本孝平を殺害する理由が弱すぎる
「社長秘書と専務が不倫だなんて、会社に対する裏切り行為だ」と糾弾するのも少し不自然、さらに、既に別件で専務の職を説かれる予定だったので、公平を殺す理由がないに等しい。社長を何とかしようと思うのが普通だろう。
④ホテル支配人・奥村も協力しすぎ
証人(ホテル従業員)を殺したり、アリバイ工作、はたまた、自首をするなんて、過去に恩があったってしないであろう。そこまで、恩義に熱いとは思えない。
主人公に魅力がなく、事件そのものもご都合主義で、がっかりの内容だった。
直接内容と関係はないが、高橋克典、小木茂光さんは「残念サスペンス・その1」でも、演じていた。
【ストーリー】番組サイトより
長野県警飯田署の刑事・竹村岩男(寺脇康文)はある日、釣りに出掛けた松川ダムでバラバラ死体の一部を発見してしまう。飯田署では死体の残りの部位の捜索が始まり、バラバラ殺人の第一発見者となった竹村は早速、部下の桂木(庄野崎謙)と捜査にあたり、妻の陽子(麻生祐未)とも"刑事コロンボ"並の推理を展開していく。
一方同じ頃、東京の室町署ではタクシーの運転手・戸沢信夫(村松利史)が「恐らく自分は死体を運んだ・・。」と訴えて出頭してくる。戸沢の供述によると室町署管轄内のオフィス街で一人の男と共に七つのダンボールを積んだのだが、男は戸沢に50万円も差し出し、長野と東京を往復させ、行き先の松川ダムの橋の上で積んできたダンボールをすべて投げ捨てたというのだ。しかも道すがら戸沢が「まさかその中身、ホトケさんじゃないですよね?」と聞くと男は「そうだよ」と返答したという。
室町署員が戸沢が男を乗せたという付近の聞き込みを行うと近隣にある五代通商株式会社という会社のビルの住込み管理人夫婦が行方不明になっていることが判明。捜査に乗り出した岡部和雄警部補(高橋克典)が管理人部屋を調べに来ると畳の下からおびただしい血痕が発見される。聞き込みから戸沢が乗せた男の風貌が管理人の野本敏夫(山中聡)と一致し、失踪した野本敏夫がバラバラ殺人に関与していると見なされる。
東京で容疑者が浮上したと連絡を受けた竹村は早速上京。岡部と合流し、敏夫の身元保証人になっているとう叔父の野本孝平(本田博太郎)の自宅マンションを訪ねる。ところが、孝平もここ数日姿が見えなくなっていることが判明。孝平の部屋を調べると敏夫が孝平から多額の借金をしていた借用書が見つかる。室町署では敏夫と孝平の間に多額の借金を巡って金銭トラブルが起こり、敏夫が孝平を殺害したとの見解に達し、失踪中の敏夫と妻の美津子(宮澤美保)を全国指名手配にする。
誰もが叔父甥間で起こった借金がらみによる単純な殺人事件と見なし、捜査は終結へと向かうかに思えたが、その見解に一人、納得出来ない竹村は執拗に捜査の手を緩めようとせず・・・。
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