人工知能という興味がそそられるテーマであった。
ここ数年、棋士対将棋ソフトの対決が衆目を集め、直近の対戦では、棋士側が勝ち越し面目を保ったが、「実力的にはコンピュータに抜かれつつある」という見解が多数派である(多数が必ずしも正しいとは限らず、本当のところは羽生名人に尋ねるのが一番よいかも)。
それはともかく、今回の人工知能“ジェームズ”のシステムは説得力に乏しかった。
「膨大な裁判記録から、犯罪の現場状況、殺害手口、人間関係、犯人とその動機を細かく要素に分けて学習させている。
今回の事件の現場について言うと、部屋の広さや窓の数、建物の立地や築年数、壁材や床の絨毯の繊維までデータを採る。
“刑事の勘”も経験則であるので、母体とするデータが多い方がよい。
“コンピュータに感情が分からない”という固定観念はこれまで処理する情報が少なかったせいで、処理するデータが増え、コンピュータの性能が向上すれば、感情を理解できる日がやってくる。
人間が行う捜査のアシストなら、現在でも十分に役に立てるはずだ」
……というのが、人工知能技術研究所研究員・長江菜美子(平岩紙)の主張。
しかし、ドラマではデータを入力し、人工知能・ジェームズに訊ねるだけで、犯人特定に至るアルゴリズムに関しては全く述べられなかった
しかも、菜美子がキッパリ「人工知能は思考の経緯が明らかにされない」と解説したように、答えが示されるだけ。
せめて、捜査のデータから、動機のある容疑者を絞り、犯行時刻、場所、殺害方法から、各々についての犯人である可能性を数値化するぐらいして欲しかった。
事件の真相は、法務省からな研究費がカットされ、ジェームズが初期化される(菜美子は“ジェームズの死”と捉えた)のを防ぐため、法務省官僚・藤井を殺害し、それをジェームズを利用して、捜査の結論を歪めてしまおうとしたのだった。
よく考えると、事の元凶である“藤井の情実発注”は既に露見していたので、藤井を殺害するのは無駄。いや、藤井の不正が発覚し処分された方が、研究費カットはなくなるように思える。
それはともかく、菜美子にとっての一番の難関は、ジェームズに「容疑者不在(自 殺)」という誤った結論を出させなければならなかったこと。
そのため、ジェームズのネットワークを切断し必要最小限のデータしか与えないという方法を採った(右京は“ジェームズは脳と切り離された状態”と比喩)。
しかし、急場しのぎではあるといえ、性能を落とすのだろうか?しかも、間違えた結論を公の場に示すというのは、研究者の性(さが)に反するような気がする。もちろん、「我が子“ジェームズ”を守る」という思いに囚われている菜美子にとって、「研究者の性<母性」なのかもしれない。
さらに、その状態で右京とチェスをさせたのは迂闊過ぎると言える。
「真犯人である菜美子に関するデータだけを消去すれば、菜美子はジェームズのデータ外になるので、自ずと「容疑者不在」という結論が導き出されるのではないだろうか?
菜美子追及シーンについては、
右京がジェームズの性能の低さをバカにして菜美子を挑発し、犯人に関するデータを入力させ、ジェームズに「犯人は菜美子です」といわせてしまう方が、『相棒』らしいのではないだろうか?
殺人計画の立案者は?
ラストの追及の回想シーンで、菜美子が藤井に殺意を持った後、研究室で
菜「ジェームズ、犯人は誰?」
J「犯人は、長江菜美子です」(“なだえなぎこ”に聞こえた)
菜「コマンドをW11(ダブルイレブン)に。ジェームズ、犯人は誰?」
J「犯人は、長江菜美子です」(今度は“ながえなみこ”と聞こえた」
菜「あなたを守りたいの、だから教えて。コマンドをW12(ダブルトゥエレブ)に。犯人は誰?」
J「容疑者不在。自 殺です」
……殺害シーンへ。
この回想シーンだと、「容疑者不在」という回答をさせるのではなく、「容疑者不在」という解答が出るような犯罪計画をジェームズに考案させていたように思える。
さらに、
菜「この子も一生懸命考えてくれたんです。私を守るために」
これに対して、
右京「守る?勘違いしてはいけません。
人間ならば、殺人ほう助、犯人隠避に当たります。あなたはジェームズ君に罪を犯させ、人工知能の未来を汚したんですよ」
この会話からも、殺人計画はジェームズが立案したと考えられる。
と糾弾。
ジェームズの本心
冠城の言葉
「“ジェームズが菜美子を守った”というのなら、菜美子の感情を理解していたということになる」
「“ありがとう”と言っていた」
“ありがとう”というのは自発的な感情と考えると
「ジェームズが自分を守るため菜美子を利用したのではないか?」というような疑念を呈していた。
これらを考察するには、あまりにもデータが少なすぎる。(やはり、1時間枠では無理か)
それを考えると、ネット世界にジェームズが逃げ込んでしまったのは残念。
もし、今後、再登場しても、その時には“怪物”となっていて、今回のジェームズ君とは別人。
平岩 紙(長江菜美子役)の迫真の演技について
人口知能に対して母性を発し、狂気の様を演じた平岩紙さん。
特に、最後の“泣き笑い”は迫真の演技だった。
ただ、通常の棒読み風の台詞や藤井への男女の愛を笑い飛ばすシーンを含めて、あまりにも(表現は俗だが)“機械オタク”的過ぎで、型にはまった演技のようにも思えた。風貌もハマり過ぎ。
個人的には、真矢みきさんや武井咲さん(少し若過ぎかも)に、ジェームズ君を溺愛する様を演じてほしかった。
通常は理知的な方が、最後の狂気ぶりが際立ちそうだ。
【ストーリー】番組サイトより
法務省のエリート官僚・藤井(小林博)の遺体が発見された。死因はコーヒーに混ぜられた青酸化合物。自殺の可能性もあったが、捜査一課では、本妻との離婚を迫っていた愛人の彩那(田川可奈美)を第一容疑者として捜査を開始する。
一方、同じ事件について、法務省が助成金を出している研究機関の科学者・長江菜美子(平岩紙)が開発した犯罪捜査用の人工知能“ジェームズ”も分析を始めていた。実証実験では、既に4件もの事件に関して、ピンポイントで犯人を言い当てた実績があるという。そして、今回の一件では、解析途中で彩那犯人説を否定していた。
おおいに興味をひかれた右京(水谷豊)は、亘(反町隆史)と共に菜美子の研究室を訪れ、その驚くべき性能を目の当たりにする。ますます興味をそそられた右京は、ジェームズと競うように本格的な捜査に乗り出す。
エリート官僚死亡の捜査でしのぎを削る右京と人工知能
事件の謎を解き明かし、先に真相にたどり着くのは…!?
特命係vs人工知能の捜査が、思わぬ真実を浮かび上がらせる!
ゲスト:平岩紙
脚本:徳永富彦
監督:橋本一
ここ数年、棋士対将棋ソフトの対決が衆目を集め、直近の対戦では、棋士側が勝ち越し面目を保ったが、「実力的にはコンピュータに抜かれつつある」という見解が多数派である(多数が必ずしも正しいとは限らず、本当のところは羽生名人に尋ねるのが一番よいかも)。
それはともかく、今回の人工知能“ジェームズ”のシステムは説得力に乏しかった。
「膨大な裁判記録から、犯罪の現場状況、殺害手口、人間関係、犯人とその動機を細かく要素に分けて学習させている。
今回の事件の現場について言うと、部屋の広さや窓の数、建物の立地や築年数、壁材や床の絨毯の繊維までデータを採る。
“刑事の勘”も経験則であるので、母体とするデータが多い方がよい。
“コンピュータに感情が分からない”という固定観念はこれまで処理する情報が少なかったせいで、処理するデータが増え、コンピュータの性能が向上すれば、感情を理解できる日がやってくる。
人間が行う捜査のアシストなら、現在でも十分に役に立てるはずだ」
……というのが、人工知能技術研究所研究員・長江菜美子(平岩紙)の主張。
しかし、ドラマではデータを入力し、人工知能・ジェームズに訊ねるだけで、犯人特定に至るアルゴリズムに関しては全く述べられなかった
しかも、菜美子がキッパリ「人工知能は思考の経緯が明らかにされない」と解説したように、答えが示されるだけ。
せめて、捜査のデータから、動機のある容疑者を絞り、犯行時刻、場所、殺害方法から、各々についての犯人である可能性を数値化するぐらいして欲しかった。
事件の真相は、法務省からな研究費がカットされ、ジェームズが初期化される(菜美子は“ジェームズの死”と捉えた)のを防ぐため、法務省官僚・藤井を殺害し、それをジェームズを利用して、捜査の結論を歪めてしまおうとしたのだった。
よく考えると、事の元凶である“藤井の情実発注”は既に露見していたので、藤井を殺害するのは無駄。いや、藤井の不正が発覚し処分された方が、研究費カットはなくなるように思える。
それはともかく、菜美子にとっての一番の難関は、ジェームズに「容疑者不在(自 殺)」という誤った結論を出させなければならなかったこと。
そのため、ジェームズのネットワークを切断し必要最小限のデータしか与えないという方法を採った(右京は“ジェームズは脳と切り離された状態”と比喩)。
しかし、急場しのぎではあるといえ、性能を落とすのだろうか?しかも、間違えた結論を公の場に示すというのは、研究者の性(さが)に反するような気がする。もちろん、「我が子“ジェームズ”を守る」という思いに囚われている菜美子にとって、「研究者の性<母性」なのかもしれない。
さらに、その状態で右京とチェスをさせたのは迂闊過ぎると言える。
「真犯人である菜美子に関するデータだけを消去すれば、菜美子はジェームズのデータ外になるので、自ずと「容疑者不在」という結論が導き出されるのではないだろうか?
菜美子追及シーンについては、
右京がジェームズの性能の低さをバカにして菜美子を挑発し、犯人に関するデータを入力させ、ジェームズに「犯人は菜美子です」といわせてしまう方が、『相棒』らしいのではないだろうか?
殺人計画の立案者は?
ラストの追及の回想シーンで、菜美子が藤井に殺意を持った後、研究室で
菜「ジェームズ、犯人は誰?」
J「犯人は、長江菜美子です」(“なだえなぎこ”に聞こえた)
菜「コマンドをW11(ダブルイレブン)に。ジェームズ、犯人は誰?」
J「犯人は、長江菜美子です」(今度は“ながえなみこ”と聞こえた」
菜「あなたを守りたいの、だから教えて。コマンドをW12(ダブルトゥエレブ)に。犯人は誰?」
J「容疑者不在。自 殺です」
……殺害シーンへ。
この回想シーンだと、「容疑者不在」という回答をさせるのではなく、「容疑者不在」という解答が出るような犯罪計画をジェームズに考案させていたように思える。
さらに、
菜「この子も一生懸命考えてくれたんです。私を守るために」
これに対して、
右京「守る?勘違いしてはいけません。
人間ならば、殺人ほう助、犯人隠避に当たります。あなたはジェームズ君に罪を犯させ、人工知能の未来を汚したんですよ」
この会話からも、殺人計画はジェームズが立案したと考えられる。
と糾弾。
ジェームズの本心
冠城の言葉
「“ジェームズが菜美子を守った”というのなら、菜美子の感情を理解していたということになる」
「“ありがとう”と言っていた」
“ありがとう”というのは自発的な感情と考えると
「ジェームズが自分を守るため菜美子を利用したのではないか?」というような疑念を呈していた。
これらを考察するには、あまりにもデータが少なすぎる。(やはり、1時間枠では無理か)
それを考えると、ネット世界にジェームズが逃げ込んでしまったのは残念。
もし、今後、再登場しても、その時には“怪物”となっていて、今回のジェームズ君とは別人。
平岩 紙(長江菜美子役)の迫真の演技について
人口知能に対して母性を発し、狂気の様を演じた平岩紙さん。
特に、最後の“泣き笑い”は迫真の演技だった。
ただ、通常の棒読み風の台詞や藤井への男女の愛を笑い飛ばすシーンを含めて、あまりにも(表現は俗だが)“機械オタク”的過ぎで、型にはまった演技のようにも思えた。風貌もハマり過ぎ。
個人的には、真矢みきさんや武井咲さん(少し若過ぎかも)に、ジェームズ君を溺愛する様を演じてほしかった。
通常は理知的な方が、最後の狂気ぶりが際立ちそうだ。
【ストーリー】番組サイトより
法務省のエリート官僚・藤井(小林博)の遺体が発見された。死因はコーヒーに混ぜられた青酸化合物。自殺の可能性もあったが、捜査一課では、本妻との離婚を迫っていた愛人の彩那(田川可奈美)を第一容疑者として捜査を開始する。
一方、同じ事件について、法務省が助成金を出している研究機関の科学者・長江菜美子(平岩紙)が開発した犯罪捜査用の人工知能“ジェームズ”も分析を始めていた。実証実験では、既に4件もの事件に関して、ピンポイントで犯人を言い当てた実績があるという。そして、今回の一件では、解析途中で彩那犯人説を否定していた。
おおいに興味をひかれた右京(水谷豊)は、亘(反町隆史)と共に菜美子の研究室を訪れ、その驚くべき性能を目の当たりにする。ますます興味をそそられた右京は、ジェームズと競うように本格的な捜査に乗り出す。
エリート官僚死亡の捜査でしのぎを削る右京と人工知能
事件の謎を解き明かし、先に真相にたどり着くのは…!?
特命係vs人工知能の捜査が、思わぬ真実を浮かび上がらせる!
ゲスト:平岩紙
脚本:徳永富彦
監督:橋本一
個数 4
和 2460
コメント……白状すると、解読できません。
「2045」に関することなのだと思いますが。
このタイトルの「2045」の意味さえも忘れてしまっていました。
で、検索してみたところ、
『アメリカの科学者でフューチャリストであるカーツワイルが想定する技術的特異点「コンピューターの知性が人間を超える」時期が西暦「2045」年である』とのこと。
……そんな検索したような気もします。
確かに、127から191まで(114から192)までに存在する素数をすべて加えると2045になりますね。
でも、これが何を意味するか。
さらに、
約数 1,5,409,2045
個数 4
和 2460
も謎です。 1,5,409,2045を加えると2460になりますが。