エルソル飛脚ブログ ~Run 4 Fun~

四万十川周辺をチョロチョロしている飛脚の記録です。

第22回四万十川ウルトラマラソン ~かなり私的な完走記(最終話)~

2016年11月04日 | 四万十川ウルトラマラソン~レポート

■最終話■

日頃の練習コースであるにもかかわらず、そこが何処であるのか全く分からない。

強い雨は路面を濡らし水溜りをつくる。

シューズの中はすでにグチョグチョ・・。

カーブの多い山道。

前方にランナーが持つ蛍光スティックは現れない。

【92km地点】

雨の中、ボランティアスタッフが手を叩いて応援してくれる。

「おい!帰ってきたか!!」

声の主はボランティアのご近所兄さん、

「おい!!間に合う!間に合うぞ!!」

もう疲れもピークで、右手を上げて答えるのが精いっぱい。

「行けーーーっ!!」

大柄な兄さんの叫びが暗闇にコダマして弱った心に突き刺さる。

雨は豪雨に変わり、強風とともに体を打ち付け始める。

帽子のツバから流れ落ちる雨が顔を濡らす。

ボロボロの体、メンタルはズタズタに引き裂かれてダラダラと歩き始める。

前が全く見えない猛烈な雨になる。

暗闇の豪雨は歩いても辛い・・。

【93.9km 最終関門】

関門時間15分前に通過。

関門所を通り過ぎているのにリタイアバスに中にはランナー達の姿が見える。

低体温症にでもなったのだろうか・・。

沿道のおばさんが「お帰り、よく頑張ったね」とねぎらってくれる。

しかしまだ「ただいま」とは言えない、・・・あと6km。

一度歩き出した体は冷えて、思うように動かない。

ボランティアのおじさんが自分の走る前方を懐中電灯で照らしてくれる。

「そこはもう水溜りだから、そっちを通って」

灯りに誘導されて水溜りを避ける。

「頑張って!」

送りだされる声に涙が出そうになるが、暗闇に戻ると水溜りを走る。

「バシャバシャ」と音を立てて水溜りの中を抜ける。

【97.2km 最終エイド】

もう給水を取っている時間は無いはずだ・・。

エイドボランティアの手拍子で前に進む。

「間に合いますよ!間に合いますよ!頑張って!」

知り合いが突然出てきてエールをもらう。

もう走り続けないと間に合わない・・。

「止まりたい・・止まれない」

ヨロヨロ走りの自分に突然のご褒美がきた。

前方に赤鉄橋の灯りが現れた。

赤鉄橋は市街地に着いたことを知らせてくれる目印。

ついに山道は終わり、明るい住宅街に入る。

残り1km。

最後の急坂を前にして「あと12分です!」と沿道から声が聞こえてきた。

急坂を数人のランナー達が歩いて登っている。

ここまで同じように暗闇で雨に打たれ、それでも前を向いて頑張った同志達。

早歩きで坂の頂上まで上り、下りで一気に走り出す。

ギリギリだが・・・間に合った!!

下りながらクネクネと曲がる住宅街に入る。

ゴールアナウンスが遠くから聞こえ始める。

暗い裏通りを走り抜けると中村高校の正門に向かう。

「残り5分を切りました!!」

ゴール会場のウグイス嬢が叫んでいる。

急に声援が多くなり、ビクトリーロードとなる。

「おめでとう!!やったねー!」

飛脚応援隊の数人が迎えてくれる。

さらに、ずいぶんと聞き覚えのある声が耳に飛び込む・・・


次男の叫びに胸を打たれる。

ついに照明が眩しいグラウンドに入る。

自分のゼッケンがコールされ、オーロラビジョンに映し出される。

「おかえりなさ~~い!!」

マイクアナウンスが温かく迎えてくれる。

ゴールゲート付近ではチーム飛脚と応援組のみんなが声を振り絞って叫んでくれる。

歓喜のハイタッチ。

女宴会部長は号泣していて、それを横で見た嫁が大きく笑っている。

宴会部長とは9年前のチーム結成時からの苦楽を共にした戦友だ。

ピンと張られたゴールテープに向かいステップを刻む。

両手を広げてゴール!


7年ぶりのゴールは制限時間3分半前のギリギリだった。

念願のメダルを掛けてもらい、パイプ椅子に腰を下ろす。

ボランティアの中学生達がチップを外してくれたり、アイシングを持ってきてくれたり、

手際よく働いてくれる。

中学生達には知り合いも多く、次々とねぎらってくれる。

雨がシャワーのように落ちてくるが、もう全く気にならない。

まもなくゴール関門は閉鎖され、大会は終了となる。

立ち上がり仲間達と合流した頃、「ドンッ!!」と大きな花火が打ちあがる。

前日に受付会場で貰った石の絵は花火だった。

ちゃんとゴールして、次々と上がる花火を見上げることができた。

チームと記念撮影。


家族と記念撮影。


やっぱり四万十ウルトラ100kmは「最高だった」。

チームはこの後、いつものように宴会場へと向かう・・・。

■完■


~あとがき~
スミマセン・・、長いですね。
自分のブログなんで好き勝手やってます(笑)。

相変わらずのギリギリランナーで、自分でも思わず笑ってしまいます。
・・・がしかし、
ギリギリということは「毎回14時間も楽しんでいる」ということでもあるわけで・・、
四万十川ウルトラマラソンを誰よりも満喫しているのかもしれません。

四万十市民として、
四万十川ウルトラマラソンの素晴らしさを少しでも伝えることが出来たら・・、
そういう思いから毎回ブログに書いてきた次第です。

「奮闘記」「敢闘記」ときてやっと「完走記」が書けたことも幸いです。

第22回四万十川ウルトラマラソン、
100kmマラソンなのに完走率は70%を越えています。
やはり全国からやってくる健脚ランナー達ってスゴイ人ばかりなんですね~。

でも実は約3割、人数にして何と約500人ものランナーがリタイアしています。
体調不良、脚のトラブル、理由は様々でしょうがバスの中で涙された方も多いことでしょう。
私も8回の出場の中で半分はバスに乗りました。
ゆっくりと体を休めて、気持ち新たに再度の挑戦お待ちしております。

マラソンを走るということは、生きていく糧となりそうですね。
やっぱり心身ともに健康で元気が一番!
私も少し休んで、また少しずつ走り始めたいと思います。

それでは、最後までお付き合いくださった気の長~い皆さま、
「ありがとうございました」

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第22回四万十川ウルトラマラソン ~かなり私的な完走記(5)~

2016年11月04日 | 四万十川ウルトラマラソン~レポート

■5■

中半(なかば)地区に突入。

地元民だからこそ知っているが「中半は長い・・」

「70km以降からウルトラが始まる」。

そう云われる位、ここからが正念場となる。

1車線の細い道に後ろからバスが入ってくる。

山際に避けるついでに見上げるとバスには多くのランナーが収容されている。

リタイアバスの中から見えるコースの景色は知っている。

バスの下に見えるランナー達はヨレヨレで、しかしなお前を向いてゴールを目指し頑張っていて、

「自分はどうしてあきらめてしまったのだろう・・」と自分を責めたりするものだ。

走りながらリタイアバスをやり過ごす。

長い中半地区も終わり、久保川地区に入る。

【79.5km】第5関門。

関門時間はまだ40分残す。

ここまで頑張ってきたおかげで、近年の自分のペースに追いつき、追い越せてきた。

【80km地点通過】。

ボランティアスタッフがいいことを教えてくれた。

「ここからはキロ9分でも30分おつりがきますよー!」

おおっ、うれしい!かなりうれしい!

通りすがりの男性ランナーが大きな声で、

「あ~あ、あとたったの20kmしか四万十を楽しめないんだ~~!」

・・・いや、残念ながら自分はそんな心境にはなれない。

やっぱり「あと20kmもあるのか・・」というのが本音。

キロ9分はうれしいが、脚が動くうちは頑張る。

周りのランナーも同じ気持ちなのか、走るランナーが多い。

これまでの経験で、まわりに走るランナーが多いときは完走ペースに乗っているはず。

前を行く赤シャツの青年ランナーに追いつき、声を掛ける。

「キロ9分でもおつりがくるそうですよ!」

青年「そうなんですか!初めてなんで今がどうなのかさっぱりわからなくて・・」

  「ウルトラのゴールの感動を体験してみたいんで、頑張ります!」

「頑張りましょう~!!」

ランナー同志の会話というのは気持ちのリフレッシュに最適で、

疲れ果てた体をなお動かしてくれる。

鵜ノ江地区に入る。

雨の中、坂道をのぼる。

「お~い!がんばれ~!!」

車の中から知り合い女性にエールをもらう。

知り合いも結構いるが、四万十ウルトラは沿道の応援があたたかい。

どこを走っても「頑張れー!」と応援してくれたり、お年寄りは手を叩いて励ましてくれる。

四万十ウルトラの醍醐味は【美しい自然とあたたかい応援】にある。

鵜ノ江のトンネルをくぐるとオートキャンプ場「かわらっこ」に到着する。

「かわらっこ」がある田出ノ川地区は死んだ母の出里であり、我らがチーム飛脚の応援ポイントでもある。

「お待たせー!」

大きく手を振って応援隊にアピールする。

飛脚応援隊。


「完走ペースやね~~!」

「そうそう、このまま行けたら久し振りにメダルもらえるかもね!」

長く待たせたくせに、たいした愛想もふらず先を急ぐ。

2車線の県道を横にそれて川登地区の旧道に入る。

民家が多く、声援も多い。

【86.9km】第6関門。

大川筋中学校のすぐ横が関門所。

関門時間は30分を残す。

曇天のせいで暗くなるのが早い。

三里地区に入るころにはすぐ横の四万十川が暗くて見えなくなった。

「何だか気持ちのいい音楽が聞こえてきてるよ」

後ろを走る2人の女性ランナーの話し声が耳に入った。

沿道の応援にスティールパンの演奏をする2人組が現れた。

60kmの部に出場している女宴会部長はスティールパン奏者でもある。

きっとこの心地よい音色の応援に喜んだことだろう。

そういえばここまでオカリナおじさんなどの演奏応援を見かけることはなかった。

やはり雨のせいか・・・。

【89km】給水エイド。

「手を洗いませんか~?」

大きなバケツの前で柄杓を片手に見覚えのある顔が現れた。

実姉がボランティアスタッフとして働いていた。

「おおっ、ビックリした~」

「アンタ、せっかくやし手ぐらい洗っていってよ!」

「いや・・寒いからエエわ」

姉は保育園の園長先生、市の職員としてボランティア参加しているようだ。

【90km地点通過】

辺りは真っ暗になり、雨も強くなってきた。

山道のカーブではボランティアのみなさんが自家用車のライトを照らしてくれる。

ヘッドライトが照らす地面は雨が激しく打ち付けている。

【90.9km 給水エイド】

エイドで蛍光スティックを渡される。

暗くて分かりづらいがここは三里沈下橋近くの採石場。

あと9km・・。

前後を行くランナーの間隔が空きはじめ、孤独になることが多くなる。

暗闇で雨に打たれ続け、ついにメンタルも折れ始めた・・。

■5■

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第22回四万十川ウルトラマラソン ~かなり私的な完走記(4)~

2016年11月03日 | 四万十川ウルトラマラソン~レポート

■4■

ライダーズイン四万十。

ライダー達の宿泊施設がこの時だけランナー用のトイレとして使用できる。

完全個室の贅沢なトイレ、使用したいが長い列ができていたのでスルーする。

黙々と復活を信じて走る。

1kmごとの表示を目標に、さらに約2kmごとの給水エイドを目標に、ただひた走る。

黄色のゼッケン60kmの部の歩いているランナーを交わし始める。

【50kmすぎ】JR予土線の高架コンクリートが左側に壁となって長い直線が続く。

少し調子が出てきた自分を追い抜いて走るガッチリ体形のランナー、

サロマのフィニッシャーTシャツの背中に「12時間23分」の文字が刻まれている。

足取りの良いこのランナーの背後に張り付き、ピッチを刻むことに集中する。

呼吸がリズムを刻み、腕が振れるようになり、体全体が躍動し始める。

低速で走るランナーさえも抜き始める。

GPSウォッチはキロ6分フラットを表示し続けている。

リズムというのは大事なもんだ・・。

サロマランナーのおかげで苦しい50km以降を快適に走りはじめた。

高架コンクリートが左側から消えると賑やかなエイドが現れる。

【53.6km】半家(はげ)沈下橋。


この沈下橋は往復。


業者の撮影ポイントでもあり、この時だけはどのランナーも笑顔が弾ける。

山沿いをひた走ってきたランナー達は恐いくらい間近な四万十川の渓流に接し、

橋の上では体一杯にマイナスイオンのシャワーを浴びる。

癒しの後にはしっかりと試練が待ち構えている。

「峰半家峠」

堂ヶ森に比べると全くたいしたことはないが、50km以上も走ってきた脚は悲鳴を上げる。

ここにきて調子が上向いた自分は走って上り始めるが、後半に備えてあえて歩く。

「歩きなさい!」と号令が出ているかのようにみんな歩いている。


小さな峠といえども結構な高さまで上っている。


下りはかなりな急勾配で脚の攣りに気を付けながらゆっくりと下る。

下りきると関門所。

まだ関門時間には余裕がある。

ここで飛脚応援隊を発見。


有難いことに我らがチーム飛脚にはいつも応援隊がいてくれる。

彼女もランナーだが今年も抽選漏れ。

60kmの部出場のご主人、飛脚、高知市内のランニングクラブなどいろんな応援に忙しい。

応援隊は移動応援禁止のルールをしっかり守って、

このあと窪川まわり(かなりの遠回り)でゴール地点に向かう。

応援で力をもらい、走り出す。


【61.5km】レストステーション「カヌー館」。

100kmの部にとって、一度荷物が受け取れる場所。

西土佐高校の学生ボランティアが手際よくゼッケン付きの荷物を手渡ししてくれる。

青い芝生が広がり、おにぎりや味噌汁まで食事も充実している最大給食エイド。

60kmも走り抜けてきたランナー達にとっては「オアシス」だ。


少し雨に打たれたせいか、温かい味噌汁が体に溶け込んでいく。

荷物の中から高価なゼナを取り出して滋養を補う。

後半の強い雨に備えてビニールポンチョを着こむ。

関門時間は1時間も残しているが、「完走」が意識できるうちは先を急ぐ。

後半戦出発。

オアシスの滞在時間が短かったおかげで脚が固まらずに行ける。

雨の降っていないビニールポンチョは蒸れて暑くなり、脱いでポーチにくくり付ける。

【65.3km】西土佐の赤い大橋のたもとは給水エイド。

地元の中学生達が元気よく水を渡してくれる。

そういえば以前届いた封書に地元の中学生からのメッセージが同封されていた。

「あなたならできる・・」から始まる応援メッセージ。

「あなたが完走できると思って走ればきっと完走できるはず」

まさにその通りだ。

最後に「ファイト!」と締めくくられたメッセージに今一度勇気をもらう。

前日、手に書いてもらった子供達からのメッセージも「Fight!」「あきらめるな!」だ。

まだまだ先は長い、Fight!あきらめずに走ろう!

2車線の車道に合流してからは先の分かりづらい直線が続く。

心が折れて歩き出すランナー達も増えてきた。

地元ランナーの自分は土地勘がある。

「もう少しで岩間の沈下橋ですよ!頑張りましょう!」

抜きざまに声を掛け続ける。

自分の声で再び走り出すランナーも多い。

「あと少し」「もう少し」、その言葉は魔法となりランナー達の脚を進める。

【68.6km】岩間沈下橋。

沈下橋に向かって下る途中、前を歩く女性飛脚ランナーを発見。

「コラーッ!飛脚は歩いたらイカーン!!」

今回60kmの部に初出場の同級生ランナー。

「ハハハ、私ビリかもしれんね」

「大丈夫、大丈夫、まだまだ間に合う!マイペースで頑張って!」

岩間沈下橋。


沈下橋を渡って少しの登り坂。


少しの上りも脚に負担が掛かり、歩いてしまう。

【71km】茅生大橋。

橋を渡りきったら第4関門。

ここで関門時間を30分残していればギリギリゴールに辿り着ける。

関門時間はまだ45分残している。

大丈夫、行ける。

雨が降ったりやんだりで、ポンチョの着脱が忙しくなる・・

■4■

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第22回四万十川ウルトラマラソン ~かなり私的な完走記(3)~

2016年11月03日 | 四万十川ウルトラマラソン~レポート

■3■

スタート直後は、まだランナー達のバタバタという足音が地鳴りする。

タイマツの炎はキャンドルに変わり、幻想的な雰囲気に包まれる。

内川地区の暗闇に揺れる灯りは1kmもつづく。

沿道に光モノを頭に乗せたキクちゃんを発見し、ハイタッチ。

隣にいた母親の頭にも光モノが乗っかっていた。

(次回はあの光モノを渡されそうな気がして怖い・・)

地区の人達も所どころ拍手で応援してくれている。

オジサン「がんばれよー!!ゴールはすぐそこ!あとたったの99kmーっ!!」

失笑するランナー達と2車線の道いっぱいに通り過ぎる。

2車線の道はやがて1車線となり、ランナーの列も細く縦に伸びる。

【4.8km】第1給水所。

全く口にすることなく通り過ぎる。

5km付近はいつも明るくなりはじめるが、曇天のせいでまだ薄暗い。

毎回この辺りから立小便をするランナーが現れるが、今年は少ない。

マラソンブームで全国に大会が増えたことで、そのへんのマナーが徹底されてきたのだろうか・・。

9km地点の竹屋敷地区に着く頃にはさすがに辺りは明るくなった。

過疎化が進む竹屋敷集落、やはり沿道の応援が少ない。

徐々に上り始めるが、まだ脚に負担がかかるほどではない。

エイドに黄色のボランティアジャンパーを着た友人を見つける。

仮設トイレの横で水差しを持って立っている。

「その水は何のため?」

「トイレ後の手洗い(笑)」

なるほど、そんなボランティアもあるのか・・。

民家も少なくなる頃、道は山道に入っていく。

「標高600mの堂ヶ森の峠」に突入。

前を行くランナー達が前傾姿勢になる。

【15km過ぎ】ヘアピンカーブから一気に傾斜がキツくなる。

ここからの6kmが最初の難関となる。

さすがウルトラランナー達、キツい坂道も駆け上がる。


キロ8分台にまで落ちてきたが、歩かないように頑張る。

【20kmを通過】

シューズのチップで通過とタイムが計測される。

「2時間21分」

過去一番遅いが、ちゃんと走れているので問題ない。

しかし結構しんどい。

試走で走った時よりも疲労の色が濃い。

【21.3km】頂上エイドに到着。


頂上というのはやはり気持ちのいいものだ。

辺りに休憩ムードが漂う。

給食エイドなのでオニギリがある。

「美味しい・・」

無理矢理胃に詰め込むのではなく、ちゃんと美味しく食べられる。

たまたま仮設トイレに空きがあったのでトイレを済ます。

大幅なタイムロスを考えると、あまり並ばないようにするのも大事なポイント。

軽く屈伸をして下りに向かう。

下りは9km。

上手に下らないと後半の脚に必ず影響がでてくる。

これまでの経験を活かし抑え気味に走る。

多くのランナーに抜かれたが気にしない。

【33km地点】下りはほぼ終了しているが疲労が激しい。

正直、もう歩きたくなる気持ちが強いが、

周りのランナーが皆走っていることに励まされて何とか走る。

【36.6km地点】昭和大橋第一関門。

関門はまだ余裕たっぷりだが、到着時刻は過去より遅め。

エイドで給水して、橋を渡り長い直線の車道へと向かう。


四万十川を左手に見ながら走る車道は応援ポイントでもあり、

たくさんの人が大きな声で応援してくれる。

応援は疲れた脚を動かしてくれる。

トンネルをくぐり、小野大橋を渡ると四万十川を右手に見るようになる。

【40km地点通過】「4時間53分」

去年よりも20分も遅れた。

【41.8km地点】給食エイド。

地元の中学生達が元気よくハイタッチで迎えてくれる。

60kmの部のランナーとの合流地点の赤い橋だが、

彼らはもうとっくにスタートしていて辺りにはいない。

オニギリが美味しい。

太もも前がかなり痛むのと調子の悪さから早々とロキソニンを飲んだ。

初めて飲むロキソニン(いつも飲み忘れる)、効果があればうれしいが・・。

【42.195km】


とりあえずフルマラソンは走り切った。

レースは中盤に差し掛かる・・。

■3■

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第22回四万十川ウルトラマラソン ~かなり私的な完走記(2)~

2016年11月02日 | 四万十川ウルトラマラソン~レポート

■2■

AM2:30起床。

・・・寝れた。

睡眠時間は少ないが、珍しくしっかりと寝れた。

朝食をとる。

オニギリ・梅干し・バナナ・餅などにオレンジジュース。

裸になりワセリンを塗る。

全く寒くないのは湿気のある曇天のせいか・・。

脚にテーピング、足マメも保護。

洗顔後、ゆっくりとストレッチをして眠気を覚ます。

着替えを済ませた頃、メールの着信音が鳴りケータイを覗く。

「今、家の前に到着しました。心の準備が整ったら出てきてください」

今回も嫁の同僚カワイ娘ちゃんキクちゃんが送迎してくれる。

心の準備は全く出来ていないが、お迎えの車に乗り込む。

外はまだ真っ暗だ。

「おはよう!お世話になります!」

キク「今年は完走してくださいよ~!」

「ん~~っ、頑張ります!」

キク「今回はこれを付けて沿道にいますんで、見つけてくださいね~」

ピカピカと光るミッキーマウスの耳のカチューシャを取り出す。

キク「2つもあるんですけど・・」

「・・・」(嫌だ・・付けたくない)

キク「どうやら今日は後半雨ですね~」

そう、起床後に何度もチェックした天気予報は午後から雨マークだった。

キクの車はワイパーを揺らすこともなくスタート会場に向かう。

スタートからの雨だけは勘弁してもらいたいものだ・・。

「じゃあ、ありがとう!」

会場付近で車から降りる。

オレンジ色の街灯に照らされた橋の上は荷物を持ったランナー達が列をなす。

列の前方、暗闇の中にポッカリと浮かび上がる蕨岡中学校グラウンドがスタート会場。

一条太鼓がランナー達を出迎える。


鶏小屋の前を通ったが、どうやら今年は鶏を避難させたようだ。

グラウンドはすでにランナー達で埋まっている。


仮設トイレの長い列に並んでトイレを済ます。

グラウンドの端にシートを広げ、腰を下ろして心を落ち着かせる。

「おはようございます!調子はどうですか?」

去年、嘔吐が続きリタイアした知り合い大柄ランナーが現れた。

「いや~、とりあえず不思議と寝れたのがいい感じくらいかな・・」

開会式が始まり、ゲストランナーの千葉真子さんが盛り上げる。


近くにレース中には会いたくない「14時間」のペースランナー達もいた。


開会式も終わらないうちに荷物を預けてスタートゲートに向かう。


今回もかなり前の方に並んだ。


空を見上げたが星が見えない。

雨はいつから降り始めるのだろうか・・、

ビニールポンチョは60km地点で受け取れる荷物の中に入れた。

練習のロング走はほとんどが雨だったんで、多少の雨は気にならない。

いつの間にか前も後ろもランナーだらけになり、スタート前のマイクアナウンスが始まる。

有力ランナー達が紹介され、そのたびに拍手がおきる。

最後にゲストランナー千葉さんのエール。

「さぁ~いよいよですね~!」
「ゆ~っくり、ゆ~っくりと走って下さいね~!」
「ど~~せ、しんどいんですから、しんどくなってから頑張ればいいんです~!」

楽しいエールに緊張がほぐれる。

今回の目標は「完走」。ただそれだけ。

しかしそれがいつも難しい・・。

「しんどくなってから頑張る」はかなり的を得ている。

スタートのカウントダウンが始まり、辺りは急に静かになる。

「パンッ!!」

AM5:30、号砲とともにフラッシュがたかれ、暗闇が光り出す。

「いってらっしゃーい!!」

マイクアナウンスの叫びが響く中、ぞろぞろと走り始める。

スタートゲートは特に明るく、沿道の声援も多くてお祭りモード。

千葉さんがハイタッチでランナー達を見送る。


すぐに辺りは暗闇に戻り、タイマツの炎が目立ち始める。

この炎の材料はヒノキなのだそうだ。

メラメラと燃える炎は闘争心を掻き立てる。

さあ始まった!

■2■

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