漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

過去問からの気づき

2014-03-15 13:30:15 | 雑記
 過去問からの気づきのお話しの続きです。

 1級は市販の問題集が少ないことが受検者の悩みの種でもあるわけですが、その数少ない問題集の中で、やはり過去問題集は重要です。最近特に感じているのは、過去問で直接問われている箇所はもちろんなのですが、問題文に含まれている他の部分も含めて、過去問を文字通り隅々まで教材として活用すべきだということです。今までそんなこともしてなかったのかと言われそうですが、自分のこれまでを振り返ってみると、やはりまずは問われている箇所そのものに目が行き、答がわかれば解答して前後など見ずに次に行くというのが通常だったように思います。書き取り問題が分からない時に文脈から考えようとして初めて周囲を見る、という感じでしょうか。試験本番では時間の制約もあるのである程度いたしかたないと思いますが、「過去問全体を教材として活用する」という観点で改めて見て行くと以下のようにさまざまな発見がありますので、普段の勉強で心がけていきたいと思います。



<同じ故事・成語の別の箇所が問われている例>

【目は毫毛を見るも マツゲ を見ず。】   16-2
【目は ゴウモウ を見るも睫を見ず。】   25-2

【痘痕も エクボ。】  15-3、18-2
アバタ も靨】  20-3、25-2、準1級23-3

ガイフウ 南よりして彼の棘心を吹く。】  19-1
【凱風南よりして彼の キョクシン を吹く。】  22-1

【奔車の上に仲尼なく、フクシュウ の下に伯夷無し。】  19-1
ホンシャ の上に仲尼なく、覆舟の下に伯夷無し。】  22-3


<他の形式の設問のヒントになっている例>

【衆口金を鑠かし セッキ 骨を銷す。】  25-2 故事・諺
【衆口鑠金  25-3 四字熟語



 先月の 25-3 で 【勖勉して名を虎榜に連ねた。】 という問題がありました。今回問われたのは 【勖勉】 の読み(正解:きょくべん)ですが、後半部分は 【名を コボウ に連ねる。】 と、書き取りの問題になりえますね。「漢語林」によれば 【虎榜】 とは官吏登用試験に及第した者の姓名を記す札のこと。【名を虎榜に連ねる】 は試験(もともとは科挙)に及第することを言います。中島敦「山月記」にもこのくだりがあるようですから、文章題にもなるかもしれませんね。なお、「漢検 漢字辞典」にも、【榜】 の項(P.1406)の「下つき」欄に小さく 【虎榜】 と出ています。



 勉強していると、このように次から次へとやりたいことが出てきてしまい、困ってしまいます。エクセルの「自分辞書」作りも、準1級は終了しましたが続いて常用漢字にも取り組みたいですし・・・。楽しくて嬉しい悲鳴というところでしょうか。