漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

文学忌

2014-12-27 14:12:11 | 雑記
 きょう12月27日は、児童文学作家 椋鳩十(むくはとじゅう)の命日。「夕焼忌」というのだそうです。

 というわけで、数ある文学忌について改めて調べてみました。漢検に出るというよりはクイズの題材という感じですが、有名どころで、名前そのままではないものだけでも結構ありますね。


1月11日   一一一忌   山本有三
 「いちいちいちき」と読みます。もちろん、「有三」の「三」にもちなんだものでしょう。

2月3日   雪池忌   福澤諭吉
 これは知りませんでした。何と読むのかと思ったら「ゆきちき」。「諭吉」に違う字を当てたのですね。

2月12日   菜の花忌   司馬遼太郎
 これは有名ですね。著作「菜の花の沖」にちなんだものでしょうか。

3月24日   檸檬忌   梶井基次郎
 説明不要ですね。 【檸】 【檬】 いずれも1級配当漢字。

5月29日   白桜忌   与謝野晶子
 生前、自ら「私の戒名には白桜院を」と周囲の人々にもらしており、それを受けて法名は「白桜院鳳翔晶輝大姉」。なので命日を「白桜忌」と呼びますが、なぜか「白桃忌」と誤記(誤認)されているケースが多いようです。

6月10日   薄桜忌   宇野千代
 同じ「はくおうき」でもこちらはうすざくら。しかし今時「はくおうき」と言ったら、アニメの「薄桜鬼」のこととしか思われませんね。(笑)

6月19日   桜桃忌   太宰治
 こちらも著名ですね。死の直前の作品「桜桃」に由来。漢検的には、熟字訓 【桜桃(さくらんぼう)】 も覚えておきたい?

7月1日   橄欖忌   瀧口修造
 瀧口修造は美術評論家にして詩人・画家。自宅にオリーブの木が植えられていたことに由来するとか。熟字訓としての 【橄欖(オリーブ)】 はもちろんですが、 【橄欖(かんらん)】 もそのうち書き取りに出そうな言葉ですね。

7月28日   石榴忌   江戸川乱歩
 「ざくろき」。作品名に由来。一般にはあまり知られていない著作ですが、一部では名作の誉高い作品のようです。

7月24日   河童忌   芥川龍之介
 これも説明は不要ですね。作品名から。

7月30日   蝸牛忌   幸田露伴
 居宅を「蝸牛庵」を号したことに由来。作品は本試験の文章題で最頻出と言ってよい作家ですし、【蝸】は1級配当ですから、そのうちこの「蝸牛忌」も問われるでしょうか。

9月3日   迢空忌   折口信夫
 詩人・歌人としては釈迢空と名乗ったことから。「迢空忌」はともかくとして、【迢迢(ちょうちょう)】【迢(はる)か】 など、漢検的におさえておきたい漢字ですね。

9月19日   獺祭忌   正岡子規
 「糸瓜忌」とも言われるようですが、「獺祭忌」の方が有名ですね。 【獺祭魚】 となると、「詩文を作るとき、多くの参考書を周囲に広げること。」の意。三文字熟語として狙われる?

11月25日   憂国忌   三島由紀夫
 国の行く末を憂えて割腹自殺した三島の命日。当時私は小学生でしたが、この日のことはおぼろげながら記憶にあります。その意味するところはわかってはいませんでしたが、なにか大変なことがおきたんだなぁと感じていました。


 少し変わったところではこんなのも。

2月19日   アンドロメダ忌   埴谷雄高
12月30日   ホシヅル忌   星新一



 なんだか、大学入試向けの文学史の記事のようになってしまいましたね。(笑)