漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 696

2025-03-12 05:06:16 | 貫之集

宰相中将の四条の宮に住みはじめたまふに、まうでて、ことのついでありてよめる

ものごとに かげみなそこに うつれども ちとせのまつぞ まづはみえける

ものごとに 影水底に うつれども 千歳の松ぞ まづは見えける

 

宰相中将が四条の宮と結婚なさったので、訪問して事のついでに祝福して詠んだ

どんなものも水底にその影が映るけれども、おめでたいことに千歳の松が最初に見えますよ。

 

 「宰相中将」は藤原師輔(ふじわら の もろすけ)、「四条の宮」はその妻、勤子(きんし/いそこ)内親王のこと。勤子内親王は第60代醍醐天皇の第四皇女で、097 には「御髪上げ」(女子の成人に達した儀式で、初めて髪を結いあげること)の際の歌が出てきましたね。