宰相中将の四条の宮に住みはじめたまふに、まうでて、ことのついでありてよめる
ものごとに かげみなそこに うつれども ちとせのまつぞ まづはみえける
ものごとに 影水底に うつれども 千歳の松ぞ まづは見えける
宰相中将が四条の宮と結婚なさったので、訪問して事のついでに祝福して詠んだ
どんなものも水底にその影が映るけれども、おめでたいことに千歳の松が最初に見えますよ。
「宰相中将」は藤原師輔(ふじわら の もろすけ)、「四条の宮」はその妻、勤子(きんし/いそこ)内親王のこと。勤子内親王は第60代醍醐天皇の第四皇女で、097 には「御髪上げ」(女子の成人に達した儀式で、初めて髪を結いあげること)の際の歌が出てきましたね。