延長八年土佐の国に下りて、承平五年に京に上りて、左大臣殿白河殿におはします御供にまうでたるに、歌つかうまつれとあればよめる
ももくさの はなのかげまで うつしつつ おともかはらぬ しらかはのみづ
百くさの 花の影まで うつしつつ 音もかはらぬ 白河の水
延長八年(930年)に土佐国に下り、承平五年(935年)に京に戻って、左大臣殿が白河殿に赴く御供をした際、歌を詠めとの仰せがあって詠んだ
たくさんの花の姿まで映しては流れる白河の水は、その音もいつまでも変わらない
「左大臣殿」は藤原忠平(ふじわら の ただひら)のこと。