旅を帰る雁どもあり
ともどもと おもひきつれど かりがねは おなじさとへも かへらざりけり
ともどもと 思ひきつれど 雁がねは おなじ里へも 帰らざりけり
旅を終えて帰って行く雁たちがいる
祖国に帰って行く雁と一緒に故郷に帰ろうと思っていたが、北の国へ戻る雁は、私と同じ方向に帰って行くはずもないのであったよ。
都での任官を終えて春に故郷に戻る官人の心に準えての詠歌でしょうか。雁と一緒にと思っていたがそれは叶わない、という内容はどことなく孤独で、あるいは左遷の類の任地変えを想定してのものなのかもしれませんね。