承平五年十二月、左衛門督殿の、男、女君たち、元服、裳着たまふに、よめる
おほはらや をしほのやまの こまつばら はやこたかかれ ちよのかげみむ
大原や 小塩の山の 小松原 はや木高かれ 千代の影みむ
承平五年(935年)十二月、左衛門督殿の息子、娘たちが元服と裳着を迎えた際に詠んだ歌
大原の小塩山の小松原よ、早く木高く茂って千代に栄えておくれ。
「左衛門督殿」は藤原実頼(ふじわら の さねより)のこと。「裳着」は女子が初めて裳を着けて成人となる儀式で男子の元服に相当します。
この歌は、後撰和歌集(巻第二十「慶賀哀傷」 第1373番)に入集しています。