漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 531

2024-09-28 05:43:24 | 貫之集

男なき家

かけておもふ ひともなけれど ゆふされば おもかげたえぬ たまかづらかな

かけて思ふ 人もなけれど 夕されば 面影たえぬ 玉かづらかな

 

男のいない家

私には思ってくれる人もいないのだけれど、夕方になると、玉かづらの髪飾りをつけた私には、いつもあの人の面影が見えてくるよ。

 

 「玉かづら」はかづらの美称で、美しい髪飾りとされました。「伊勢物語」第二十一段の歌を踏まえての詠歌で、新古今和歌集(巻第十三「恋三」 第1219番)にも入集しています。

 

ひとはいさ おもひやすらむ たまかづら おもかげにのみ いとどみえつつ

人はいさ 思ひやすらむ 玉かづら 面影にのみ いとど見えつつ



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