男なき家
かけておもふ ひともなけれど ゆふされば おもかげたえぬ たまかづらかな
かけて思ふ 人もなけれど 夕されば 面影たえぬ 玉かづらかな
男のいない家
私には思ってくれる人もいないのだけれど、夕方になると、玉かづらの髪飾りをつけた私には、いつもあの人の面影が見えてくるよ。
「玉かづら」はかづらの美称で、美しい髪飾りとされました。「伊勢物語」第二十一段の歌を踏まえての詠歌で、新古今和歌集(巻第十三「恋三」 第1219番)にも入集しています。
ひとはいさ おもひやすらむ たまかづら おもかげにのみ いとどみえつつ
人はいさ 思ひやすらむ 玉かづら 面影にのみ いとど見えつつ