たがみそぎ ゆふつけどりか からごろも たつたのやまに をりはへてなく
たがみそぎ ゆふつけ鳥か 唐衣 たつたの山に をりはへて鳴く
よみ人知らず
誰の禊(みそぎ)のために木綿(ゆふ)をつけた鳥なのか、竜田の山にしきりと鳴いているのは。
「ゆふ」は「ゆふ(つけ鳥)」と「木綿」の掛詞。「唐衣」は本来「裁つ」に掛かる枕詞で、ここでは同音の「たつ(立つ)」に掛かっています。「をりはふ」は「折り延ふ」で長く続ける意。古今集で「ゆふつけ鳥」が詠み込まれた四首の歌のこれが四つ目。他の三首は 0536、0634、0740 です。