ひとりねは わびしきものと こりよとや たびなるよしも ゆきのふるらむ
ひとり寝は わびしきものと こりよとや 旅なる夜しも 雪の降るらむ
ひとり寝はわびしいものだから懲りよととでもいうのか、旅寝の夜、雪が降って来る。
最後の「らむ」は現在推量の助動詞で、多くは「今頃は~しているだろう」という意味で使われますが、ここでは、雪は実際によみ人のいる場所で降っていて、推定しているのはその原因の方。ただでさえわびしいひとり寝の夜に雪まで降って一層わびしさを募らせるのは、天が「ひとり寝はわびしいものなのだから、これに懲りてもうしなようにしなさい」とでも言っているのであろうか、という訳ですね。
この歌は、拾遺和歌集(巻第十七「雑秋」 第1151番)に入集しており、そちらでは第二句が「くるしきものと」とされています。