何度か紹介したことがある「札幌村郷土記念館」。
ここに先日、新しい碑が建立されました。
札幌の有名な玉葱の品種「札幌黄(さっぽろき)」の生みの親とされている、「ウィリアム・ブルックス博士」の功績を称える顕彰碑です。
札幌市東区は現在も玉葱栽培が盛んな地域ですが、そもそもは、明治13年(1880年)に札幌村(当時)の農家が、一町歩(およそ1ha)の畑で栽培に成功したのが最初とされています。
しかし、当時はまだ全国的にも珍しく、特に東京では見慣れない野菜だったそうで、当時、せっかく収穫した玉葱を東京に運搬して販売することを試みるも、全く受け入れられず、廃棄せざるを得なかったという話があるそうですが、この地は、肥沃で風が強く乾燥しやすいという、玉葱の作付けに好都合な環境だったこともあり、やがて作付量が増え、全国でも有数の玉葱の産地となりました。
「札幌黄」という品種は、一般に流通している玉葱よりも肉厚で柔らかく、加熱後の甘みが強いことから根強いファンも多く、「札幌黄」を使った料理、例えばカレーライスなどを出すお店は高い人気を誇るようになっています。
しかし、札幌市全体に占める作付面積は、玉葱畑全体の約3%と低く、そうした入手のしにくさもあって、「幻の玉葱」と言われています。
そんな札幌での玉葱栽培の歴史と、それにまつわる人々の思いが、これらの碑から感じ取ることができます。
これも以前紹介しましたが、記念館の構内には、札幌開拓の祖を築いたとされる、大友亀太郎の像もあります。
今回、記念館を訪問して、管理人さんから色々話を聞いたのですが、実はこの像は、所謂「レプリカ」だそうで、本物は、東区役所の一室に保存されているそうなのです。
それはまあいいとして、話を伺って残念だなあと思ったのが、せっかくそのような物が保存されているにも関わらず、区役所内でも、その存在すら知らないという人が多いらしいということ。
これは確かに残念ですね。何故区役所に保存されているのかという経緯も私には分かりませんが、札幌開拓の祖を築いた人物の功績を考えると、もっと大切に扱われて然るべきだと思います。
最後に、記念館の床にあった、所謂「大友堀」が流れていた場所を、現在の航空写真に落とした資料。
今後、跡地散策をしていきたいと思っているので、活用させていただきたいと思います。