昨日の忘年会では、「はこだて検定」に関する話題を振られて色々と話をしたのだが、その中で、「初級と上級の問題の違いは?」ということを聞かれた。
色々とあるとは思うけど、今回上級を受験した実感したこととして、「初級は、公式テキストに書かれていることがズバリ出題されて、断片的な知識でも解くことができる問題が大多数だが、上級は、断片的な知識を繋ぎ合わせないと解けない問題も出題される」ということを話した。
その一例として挙げさせてもらったのが、この問題。
写真は、基坂の下にある、函館出身の彫刻家、梁川剛一氏が制作した「明治天皇御上陸記念碑鳳凰」。
1876年(明治9年)7月の明治天皇巡幸の際に、この像の現在地に近い函館税関(現在は海上自衛隊函館基地隊の建物)から上陸したことを記念する碑です。
問題「この碑の建立と同年の出来事はどれか。」
1.軍事物資輸送鉄道の戸井線が着工
2.函館最大の大火
3.第1回函館港まつりの開催
4.湯川球場で日米対抗野球の第2戦
正解は3で、どちらも1935年(昭和10年)の出来事なのだが、公式テキストをじっくり読むと、
「第1回函館港祭りは、前年に発生した大火(上の選択肢の2)で打ちひしがれた市民の心を励まし、復興への意欲を向上させるために開催された」
ということと、この鳳凰の碑について、
「1934年、梁川剛一が、第15回帝展で特選を受賞した翌年に建立された」
という記述はあるものの、「第1回港祭りの開催と、鳳凰の碑の建立が同じ年の出来事である」という記述はなく、その以前に、この二つの出来事があった年が、別な出来事の翌年というだけで、ズバリ「1935年」という記述すら書かれていないことがわかる。
しかも、この二つの記述は、28頁も離れた所に書かれてあるので、テキストをじっくり読んで、二つの出来事がどちらも1935年のものであるということを理解していないと解けないということになるのです。
もう一つ、断片的な知識の繋ぎ合わせという点で印象に残ったのがこの問題。
問題「函館市とほぼ同じ緯度には、シカゴ、ローマ、ニューヨーク、イスタンブールなどの大都市がある。函館市との時差が一番大きい都市はどこか。」
1.ニューヨーク
2.イスタンブール
3.シカゴ
4.ローマ
これは、先の鳳凰の問題と違い、公式テキストに書かれている情報の繋ぎ合わせではないのだが、私は、次のように考えてこの問題を説いた。
・日本と、外国の特定の場所の時差として思い浮かぶこととして、ハワイとの時差が19時間ということがある。
・選択肢にある4つの都市は、いずれも、ハワイから見て日本と反対側に位置しているので、4つの中で、一番ハワイに近い所が正解である。
そう考えると、自ずと正解は3に絞られると思うのだが(世界地理を正しく理解していればの話)、ここで一つ迷う要素になるのが、「ニューヨークとシカゴって時差があるの?」ということ。
確かにシカゴとニューヨークは、同じアメリカ東部の都市なので、単純に世界地図を見ると、時差があるようには思えないかもしれないけど、もし本当に時差がないとなると、そもそも問題として成立しなくなるため、そこは、時差があるものだと考え、迷いを捨てて、3を正解と考えるという決断も必要になるということなのです。
まあこれはちょっと、問題の解くための論法としてはイレギュラーかもしれないけど、断片的な知識を繋ぎ合わせ、それを応用することが求められる問題としてはいい例かなと思ったので、紹介してみました。