風月庵だより

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幼き日の母

2021-07-27 20:32:26 | Weblog

7月27日(火)曇り後晴れ【幼き日の母】

今日は27日、母の月命日です。母が好きだった海苔巻きを拵えました。かんぴょうとシイタケを甘辛く煮て、他に入れる具がありませんでしたので、キュウリの細切りを入れて太巻きにしました。近所の檀家のおじいちゃんや、ご近所の人にご供養として配りました。

いつも書く事ですが、母は実に教育熱心でした。私の亡き兄を筆頭に、次の兄も、私も、田舎から、大学まで進学するのが珍しい時代に、大学まで出してもらいました。

母の幼い日の話を、私は忘れることはできません。思い出しただけで、すでに涙を禁じえません。

母は街の大きな足袋屋の娘で、番頭さんやお手伝いさんが多い生家だったそうですが、お母さんが赤痢にかかって亡くなってしまい、気落ちしてしまったお父さんは、商売に精を出さず、結局お店は潰れてしまいました。そうして小学3年生くらいで奉公に出されてしまったのだそうです。

奉公先の赤ん坊を背負って、今まで通っていた小学校に行き、窓の外から、自分がつい先日まで通っていた教室を覗いたところ、教室には母が書いた絵がまだ飾られていたのだそうです。

まだ幼い母が、子守りっことして、奉公先の赤ん坊を背負って、教室を覗いている姿を想像しただけで、私はその切なさに胸がいっぱいになります。

勉強が好きで優等生だったそうですから、どんなにか勉強がしたかったことでしょう。きっとその思いが、苦しい家計の中でも、私たちに教育を受けさせようとしてくださったのであろうと、思うのです。

いつも有難いことだったと、思い出されます。ただ私自身反省することは、もう少ししっかりと勉強すべきであったということです。母に申し訳ないと、今更思っても手遅れですが、もう少し、頑張ろうと、あらためて自らを激励している母の月命日です。

(90歳の時の母、フランスに連れて行ったときです。90歳でも本当に元気でした。見倣いたいものです。)