風月庵だより

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山口瑠璃光寺

2008-10-26 16:30:17 | Weblog
10月26日(日)曇り【山口瑠璃光寺】

岡山県の奉詠大会の翌日、山口県の瑠璃光寺様に拝登させていただきました。私は器之禅師(1404~1468)という室町時代の禅師の研究をしています。その法嗣である大庵須益禅師(1406~1473)という方が瑠璃光寺のご開山様になります。

今年は二世の全巌東純禅師(?~1495)という方について、少し調べています。瑠璃光寺に、雪舟(1420~1506)の描いた三代の住職の頂相(肖像画に讃がつけられた軸)が残されているということで、それを是非拝みたいものと、拝登させていただいたのです。

生卒年を見ていただきますと、雪舟と大庵禅師、全巌禅師(この方の生年は辞典などでは?となっていますが、一応私の研究では推察がつきました。来月発表する予定です)はほぼ同時代人であることがわかりますし、雪舟は京都の戦乱を避けて山口に滞在していたことは確実ですから、この頂相は雪舟作であるということの信憑性は高いですし、認められていて、山口県の指定文化財になっています。

大庵禅師も全巌禅師も、そのお顔には、それぞれの特徴があり、行状を裏付けてくれるような趣きがありました。やはりその方の雰囲気がなんとなくわかることは、研究の励ましになります。文字だけの世界とは違う広がりがあります。

写真の無い時代、こうして描かれた肖像画があることは、なんという言語を絶することでしょうか。

瑠璃光寺様では奥様や副住職の渡辺博志師のご協力を頂き、さらにいろいろと収穫がありました。わずか三時間ほどの山口滞在時間でしたが、無理をしても伺って良かったと思いました。

これを研究に生かすには研鑽が必要ですし、文字の世界だけではない、ひらめきも決して無下にはできないと思います。過去を探っていく、歴史を探る姿勢には、綿密な研究と柔軟な思考が、時間の枠を越える役にたってくれると思っています。

瑠璃光寺様には『正法眼蔵』の「瑠璃光寺本」も残されています。『正法眼蔵』を書写したものです。これらの複製は瑠璃光寺の資料館で拝観することができます。またお寺の前には国宝の五重の塔もあります。

すぐ脇には、今NHKで放映されている『篤姫』にも出てくる長州の藩士たちが集まったお茶室もあります。

山口は歴史の街でもあり、この瑠璃光寺も五〇〇年以上も前からの歴史が今に伝わっている名刹です。

昨年もお参りをさせていただきましたが、開山様と二世様を改めて研究するにあたり、また拝登のご縁をいただきました。こういうことが研究の面白さかもわかりません。私は過去を学ぶ中にも、どこか人間くささを探し出して、そこに生きていた頃の息吹にあらためて触れたいと思っているのです。

瑠璃光寺様の紹介と、自分の研究の少し紹介をさせていただきました。



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6 コメント

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失礼いたします。 (tenjin95)
2008-10-24 18:09:04
> 管理人様

このお写真一枚だけでも、伽藍の素晴らしさが目に浮かぶようです。一度、拝登してみたいですね。
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tenjin95和尚さんへ (風月)
2008-10-26 15:08:36
(この写真は記事を書いてから公開するつもりでしたが、うっかり下書きを押すのを忘れまし
た。)

とてもよい環境にあるお寺様です。瑠璃光寺本の所蔵寺でもあります。

是非機会あらばご拝登くださいませ。
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近くに住んでいました。 (幻海)
2008-10-27 17:59:41
小さい頃(小学に上がる前)2度にわたり山口市内に住んでいました。瑠璃光寺の場所を地図で調べたら、県庁の北にありました。私が住んでいたところから、そんなに遠いところではありませんでした。
小さかったので、お寺の名前も聞いたことがありませんでしたし、行ったこともなかったようです。ザビエル教会は記憶にありますが。
家の近くの天神河原では、ゲンジボタルの乱舞に感動したことを覚えています。日赤病院と大殿小学校を頼りにグーグルの地図で調べたのですが、私が住んでいた場所を、ピンポイントで特定することが出来ません。新しい道路が出来て変わったのかも知れません。
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幻海さんへ (風月)
2008-10-27 19:39:36
市役所の近辺は道路が大変整備されていました。山口はとてもきれいな街ですね。毛利さんの屋敷も市役所あたりにあったのでしょうか。たしか去年、屋敷の門を見たような記憶があるのですが。

よい街で子供時代を過ごされたのですね。

私の故郷はほとんど変わっていません。街中の道路も狭いままです。拡張する余地が無いのです。それに比してゆったりとした土地は変化の余地があって、道路になってしまったのでしょうか。

ほとんど変わらない故郷と、どんどん変化してしまった故郷と……

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おはようございます (kameno)
2008-10-29 09:18:49
瑠璃光寺様のご拝登、短い滞在時間だったとのことですがさまざまな発見があったようですね。
研究成果を楽しみにしています。
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kamenoさんへ (風月)
2008-11-11 11:29:19
研究はやはり現地を訪れますと、おもいがけない発見があったり、教えを受けたり、その禅僧が生きた土地の空気を感じます。瑠璃光寺様ではお寺の皆様に本当によくして頂きました。研究成果としては今のところ、新しい発見は少ないので恐縮ですが、地道にまとめていきたいと思います。学術大会の発表は重なってしまうようなので、お互いに聞けないと思いますが、残念です。
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