11月2日(金)晴れ【阿難講式 尼僧/出家】
昨日、名古屋にある尼僧の修行道場である愛知専門尼僧堂で会があり、参加してきました。そこで、『阿難講式』という法要が修行されました。一時間半に及びました。この講式の維那(いのう)という役を、私のもとで出家した尼僧が勤めさせていただいたので、なかなか勤めさせていただけない重要かつ難しいお役ですから、是非見させていただかねばと思い、出かけた次第です。
阿難様についてご存じない方もいらっしゃるかと思いますので、少し説明を加えます。阿難様は、お釈迦様のお弟子さんで、お釈迦様の従弟と言われていますが、出家後、つねにお釈迦様のそばに侍していたそうです。常にお釈迦様のおそばにいましたので、お釈迦様の教えを聞くことが多かったのです。また記憶力も抜群でしたので、「多聞第一」と言われています。お釈迦様が入滅なされてから、弟子たちが集まりまして(結集ーけつじゅう、と言います)お釈迦様の教えを忘れないように、口誦(こうしょう)するにあたって、阿難様の記憶が一番の頼りとなったのです。
さて、その阿難様ですが、お釈迦様の養母のマハーパジャパティが出家を願っても許されなかったときに、わかりやすく言いますと、口添えをしてくださいましたお蔭で、女性の出家が許されて比丘尼僧団が創設されることになったのです。
尼僧にとりましては、阿難様は大恩人ということになります。と、いうことですから、『阿難講式』は尼僧界のみで行われる法要だと思います。これは、承久の乱後、明恵上人が、撰述されたといわれていまして、長く髙山寺の経蔵にしまわれていたのを、600年後、観光尼という方がこの講式の存在を知り、日の目をみたのだそうです。
尼僧さんたちの名前は個人情報ですので控えますが、それぞれよく修行されていて、素晴らしい法要でした。特に阿難歎偈を唱えた尼僧の声の素晴らしさ、はじめてこのような歎偈を唱える声に出会った感がありました。心洗われる思いがしました。後で気が付きましたが、この尼僧さんとは、以前あるお寺の晋山式でともに隋喜した尼僧さんでした。
また祭文を唱えてくださったのは、私が尊敬するのみならず、多くの雲水に慕われている90歳を越えた春光先生でした。これも感動いたしました。
私の得度の弟子である維那も、立派にそのお役をつとめていました。この尼僧もふくめ、多くの雲水さんたちが、これからどのように仏弟子としての人生を歩まれるのか………
とにかく現代において、女性で出家しようという人は少ないですが、大変にこのような生き方も面白い生き方です。実に人生を何倍も楽しめる生き方とも言えます。出家を志す女性がいましたならば、私のお寺でもよいですが。
(愛知専門尼僧堂の鐘楼。内部の写真は許可をえていませんので、掲載いたしません。)
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阿難様は、たぶんお優しい方だったと推測されます。
私も、尼僧になる女性が一人でも多くいらっしゃればよいと思っています。芸能人になりたい人は多いようですが、それよりもずっと面白い世界だと思っています。
修行は厳しいものですが、娑婆の生活はもっと厳しいです。どうぞ、法身堅固ならんことを。
少し、他の学びも必要ですね。
寒くなりましたから、御法身お大事に。