11月19日(水)
此処数日、急に冬めいてきた。朝仕事で遺跡発掘現場に行くとき吹く強い西風に、自転車のペダルが重くかつ寒さで一寸辛いものがある。そんな現場に今や200名近い人が働いている。
多くは私と同年輩の中高年だが、若い人も若干いる。皆一様に明るい普通の若者で最初は大学生のアルバイトかと思ったが、聞いてみると「仕事が無いからここで働いている。」更に「特技が何も無いので、正規に雇ってくれないんですよ。」と言う。
考えてみれば私が若い頃は、就職した後必要に迫られて否応なしに特技を取らされたものだ。それが今は、特技を持たねば正社員になる道を絶たれてしまう。と状況が激変している。
この遺跡発掘の仕事などフルに働いても月12~13万円位にしかならず、この金額じゃ自立など出来っこない。「ヤル気を出して特技を習得しろよ。」と口で言うのは容易いが、現実はそんなに容易くない。
野心に燃える若者がいる一方、大半の若者は「別に苦労して偉くならなくてもソコソコ平穏に暮らせればよい。」と高望みしないのが現実ではないか。若い頃の私だってそうだった。
ただ昔は、そんな若者でも受入れる包容力が企業にあった。しかし今は恩恵を受けるのは正社員だけ、非正規の従業員は消耗品or捨て駒扱いで特技など身に着く筈もない。これじゃ正社員と非正規の格差は広がるばかりで、その差は一生続く。全く非情な社会になったものだ。