予感させていた。
この週は、仕事が夜勤の為
相変わらずの睡眠不足で
しかも気管の不調が招いたのか
その辺は定かではないのだが
首筋に異常なほどのこり、はりを感じていたのである。
しかし、その違和感は走る事に限って言えば全く問題が無く、むしろその事を
その時間だけ忘れさせてくれる訳で、全く気にはしていなかった。
問題はやはり睡眠時間の少なさ。
それでも前日の土曜日は全く何の予定も入っておらず、完全休養を
決め込んでいた。と、すればこの日のかすみがうらも出発時間を考慮しても
充分休息は取れた上で望むことが出来るはずで、何の心配も
していなかったのである。
事件は3日前、突然の一本の電話から始まった。
母の義理の兄弟が亡くなったと・・・。
当然、母がその葬儀に出向く事など出来るはずも無く、私が代理として
その葬儀に出席しなければならなかったのである。
この週の夜勤務と合わせての通夜、本葬と休む事のできない自分に
この時点でかなりの危機感を覚えていたが、それでも、土曜日から
日曜日にかけて寝る事ができる訳で、最悪のシナリオ(全くの睡眠なし)は
避けられはずだった・・・。
が、しかし、それまで夜中の行動の生活の癖が直ぐに昼間に転換できる訳も無く、
短時間寝ては目を覚まし、また寝るを繰り返しながら午前3時頃、
ふくらはぎのこむら返りのその激痛にて目覚める。
必至に伸ばしながら、その痛い足に主治医であるのトクホンチールを施し、
その刺激で何とかその場は落ち着くのである。
殆んど寝たような気がしなかったこの日、それでも頭の中はさえていて
多少の買い物をしなくてはならないことは、しっかり認識しており午前4時に
自宅を出発、24時間営業のスーパーで前日全く用意の出来なかった
買い物を済ませ心の旅人さんの待つ、待ち合わせ場所に急ぐのであった。
会場に到着、その頃にはかなりテンションもモチベーションも下がっており、
DNSも一瞬頭をよぎったがチームのかおちんから励まされパワーを貰うが、
一度空になったエネルギータンクを満たすにはあまりに空きすぎたそのタンクに
42kmを走りきるのにはあまりに少ない気力と体力。
しかし、何とかなるだろうと走る決心を・・・。
何とかなる、そう思って走り、何とかなったためしは無いのだが・・・。
そして、スタート。
全くアップもしない、
それどころかストレッチさえもせず
スタート位置へ向かう時点で既に足に異変を感じており、
それでも過去にどんなレースでも途中リタイヤなどしたことも無く
この期に及んでも、何とかなるだろうと高をくくっていた。
ここ数年で最高、いやたぶん過去最高の参加者の人の波の中を不安と、
期待とを背負って走り続ける。この日は確かに高い気温ではあったが
自分でも普段には無いほどの驚きの発汗量。
いつものレース中にそれ程飲むことのない水を、今日はその場その場の
給水場に立ち止まり、がぶ飲み。
ある程度の給水をせねばとは考えてはいたが、異常な喉の渇きに給水場ごとの
その量に普段の自分でない事を改めて思い知った。
「危険!」、「いや、完走だ!」そんな言葉が頭の中を行ったり来たり・・・。
命をかけてするほどのことではない・・・。趣味である以上、苦しいばかりの
この時間で、何が自分を動かしてくれるのだろうと・・・。
そして、問題の20km。とうとう、朝痛めたふくらはぎが攣った。
しかし、その場の給水場に消炎剤スプレーが用意されており、何とか
ストレッチを繰り返し、再び走り出す事ができたが、今度は腹痛が襲う。
23km地点だったか、公園のトイレに駆け込み何とか回復。
再び走り出し、施設エイドにて再び給水。
しかし、この給水が結果的に不調な体にダメを押してしまった。
氷が入っていたその水、呑んだ瞬間ヤバイとは思ったが、その冷たさが
気持ちよく飲み干してしまった。
その数分後、激しい腹痛の波の嵐。
そうなると、走る事はゴールを目指すのではなく、トイレを探す事にだけに
目が行ってしまう。
冷たくなった腹部に手をやり、温めようとするがその甲斐も無く
痛みは増すばかりで・・・。
その後、多少の落ち着きは取り戻したものの、後方からかおちんやkyoukoさんに
声をかけられ、短い時間ながら併走するもやはりわずかな吐き気に悩まされ
走り続ける事は困難。
また、再び攣りそうになる右足をかばいながら走っていると、左ひざに
多少の違和感も出たりするが、40km地点にて再びスプレーを施していただき
ここでやっと再び命を吹き返したのである。
4時間30分のペースアドバイザーが横を通り過ぎ、多少痛みの残る
足で必至にくらい付き、何とか4時間30分は切ることができた。
とはいえ、自慢できるタイムでもなく、そのタイム自体確認する事も
悲しくなってしまう訳で・・・。それでも、
通過タイム スプリットタイム
10km 59分21秒 59分21秒
20km 1時間51分17秒 51分56秒
30km 2時間52分36秒 1時間01分19秒
40km 4時間11分43秒 1時間19分07秒
ハーフ 1時間57分52秒
オフィシャルタイム 4時間27分58秒
プライベートタイム 4時間24分14秒
以上のような結果だった。
過去最低、ワースト記録である。
こんな記録でも走りきれた(歩ききれた)ことは自分でも凄く頑張ったし、
生きて、そして自分の足で帰宅できた事はラッキーだったと思う。
だけど歩きながら、「こんなに風が自分を押してくれていると言うのに・・・」
「ランナー達の波が一緒に走ろうと、次々と後から押し寄せてきて
いると言うのに・・・」
「何故走れない!、何故走らない!」そんな事ばかり考えていた。
大好きな大会。
このかすみがうら。
楽しい事ばかりではなく
辛さも苦しさも教えてくれた。
そして、このかすみがうらで不覚にも涙を流してしまった。
走れないのが悔しくてでは無く、痛い足が悲しいのでは無く、一向に戻ってこない
体調がもどかしい訳でも無く・・・。
何故か自然に涙が溢れた。今までのこと、これからのこと、たくさん考えた。
結論なんて出ない。だけど、流れた涙の中に今まで迷っていた何かが一緒に
流れ去った感じがした。
「風をうけて」、向かい風も追い風も、みんな自分の進む道。
「風をうけて」、それが自分の生きる証。
な~んちゃってね、チャンチャン♪
追伸
甘党の皆さん、昨日はお世話になりました。
これに懲りずに、また一緒に遊んでください。
お疲れ様でした。