風をうけて vol.3

お引越ししてまいりました。
拙いブログですがよろしくお願いします。

「桐生堀マラソン」は何をもたらしてくれたか

2015-02-08 18:22:44 | マラソン


午前6時。

まだ辺りは真っ暗。

久しぶりの早朝出発。

指折り数えてみれば、かれこれ7ヵ月ぶりの大会参加。

これをもし完走すれば1年ぶり、ハーフに限って言えば1年5ヵ月ぶりになる。

体調は?

練習は?

気構えは?

どれをとっても好材料となるものがない。

だけどこの日を迎える前まではただただスタートラインに着けるだけで満足だと思っていた。

いざその日を迎えると、正直そんな甘っちょろいものだけではどうしても自分を抑えきれない。

焦りイラつき、そして落ち込む。

冷静に考えればそんな状態ではなかったことは明白なのに、それでも何故もっとまともな準備ができなかったのかと。

会場には1時間ほどで到着。

周辺道路はすでに車で溢れていた。

運よく小さなスペースを見つけ難なく駐車はできたが、会場となる公園まではかなりの距離。

空は曇り、気温もかなり低い。

着替えは外とはいかないようだ。



いつ降り出してもおかしくない空の下で凍えながらスタートの時間まではどう考えても待ちきれない。

選手控室はその施設の階段までいっぱいになっていたが3階の階段踊り場に何とか荷物を置くことができた。

それにしても異常に人が多い。

数年前に参加した時はとってものんびりくつろげていた。

それがどうしたことか、どうしても落ちつくことができない。

元々焦っていた自分の心理状態はMAX、今にも爆発しそうだ。

どうやら以前の2倍ほどの参加があるようで、決して広いとは言えないこの会場ではもうそのキャパをはるかに超えていることが手に取るようにわかった。

他の参加ランナーとぶつかりながら狭い階段をおりスタートラインに着いてみればそれ程込み合ってはいなかったが、テンションの異常に高い若いランナーたちのはしゃいだ騒ぎがいらだちを増幅させる。

いつスタートのピストルが鳴ったのかわからずそのまま押し出されてようやく復活のスタートが切られた。

実は前日の夜勤でいつもとは違う仕事を任され、いつしか膝に負担がかかってしまったのか少々痛みを感じていた。

この期に及んでひざ痛でリタイヤ、なんて悲惨な目には絶対にあいたくはなく、ロキソニンを1錠飲んでの走りだしだ。

ごった返した会場でたった一歩のアップも行えず、いきなりの走りだしですでに呼吸がおかしい。

体感的には5分を少し超えたくらいか。

2~3kmも走れば落ち着くだろうと安直に考えていたが、どうしても余裕が湧いてこない。

それはそうである、練習していないんだから。

確かに20kmを超える距離は何本か走っている。

だが、それはキロ6分前後のゆっくりペース。

曲がりなりにもレースを走るペースとは段違いのスピードだ。

せめて短い距離でももう少しまともな練習をと思ったところで後の祭り。

こんなことを予期しての焦りだったのか、深層心理とは自分の危機的状況を的確に予期することができるらしい。

前半は基本的に上り基調。

折り返す後半はその逆となるわけだ。

前半を上手く走れれば決してタイムのでないコースじゃない。

分かっている、分かっているけど上手く走れない。

シューズの選択も間違っていた。

と言うよりも紐の締めが甘かった。

グズグズとまではいわないが路面を捉える力に不足を感じ、前に足を出す力を余計に使ってしまうような感触だ。

後方からのスタートで前を行くランナーをどのくらい交わしただろう。

時にはセンターラインを越え、時には狭いランナー間をすり抜け、完全なジグザグ走行。

5kmのラップはどうもキロ5分を切れていない様子。

かなり危機的な状況にさらに平常心を失くす。

だからといって急激に好転する訳もない。

無理にスピードアップすれば無駄に力を使って後半落ち込んでしまい、ヘロヘロになってやっとゴールにたどり着くようになることは目に見えている。

だが、幸いにも膝や腰、アキレスに至るまでの痛みは殆どなくロキソニンの効果に感謝。

そうこうしている間に折り返しを迎える。

山沿いの折り返し地点の路面は凍り付き黒く光っていた。

ここからが本当の勝負。

一段スピードを上げ、鬼の形相となっているだろう歯を食いしばっての走りが続く。

残り5km。

そこには信じられない光景。

以前はもっとスタート時間が遅かったと記憶していた10kmコースのランナーたち。

しかも折り返したばかりの大量のゆっくりランナーとの遭遇。

道いっぱいに広がり、中には徒党を組んで歩きだすものまで。

抜いても抜いても前が空くことが無い。

ある女性ランナーに前をふさがれ、一段下がった側溝に落ち転倒しかけた。

とうとう怒りを抑えきれなくなり大声を出してしまい、瞬時に自分の愚かさを思い知った。

何も他人が悪いんじゃない。

何もかも余裕のない自分が悪い。

ほかのランナーに当たるなどもってのほかである。

心が折れ、すると今まで待っていたかのような感疲労感に全身を包まれた。

急激に落ちるスピード。



目の前百数十メートルに見えるゴールゲートを確認しても全くスピードは上がらない。

まさしくヘロヘロなゴールだった。

ハーフマラソンの部  1時間41分08秒  417位  惨敗である。

悔しさばかりの大会にしてしまった。

もっとしっかりせねばと猛省したことは言うまでもない。

だが、スタートできた、走り切れた、それだけじゃ終われない、そう思うことに未だ闘志だけは衰えきってはいない自分に幾らかの期待を抱かせるレースでもあった。





コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする