「日本百名山」と言う番組が面白い。
文字通り、日本の名だたる山を
山岳ガイドさんの案内での登山。
その模様を撮影し、
それに一緒に登っているかのような
ナレーションが付く。
その中でも特に鈴木麻里子さんという声優のナレーションが好きだ。
何ともいえぬ優しい声に毎日癒されている。
そして、まるで自分も一緒に登っているかのような錯覚にさえ陥る。
我が家にしてはちょっと贅沢なCS放送を契約している為、毎朝早くからこの番組を
観る事ができているのだが、仕事前にこのような番組を観てしまうと
どうしても会社に向かう足取りが重くなってしまうものだ。
遠くに見える上越国境の山々、信州や秩父連山、そして日光方面の山に囲まれた
この地からは魅力いっぱいの山々がまるで手招きをするかのような姿を魅せている。
今は殆どの山は雪に閉ざされ初心者の私に登れる様な山は少ないかもしれない。
この頃、特にそういう思いが
強くなってきた。
前にもそういうことがあったのだが、
どうも私は疲れてくると
山を目指したくなるようだ。
今、どうしようもないくらいに忙しく、
身体はかなり危うい位置でどうにかやっとバランスを保っているような状態。
月の休日の約半分は出勤。
有給休暇なんてとんでもない。
そんな状態で心身ともにくたくた。
だけど職場の者全員がそういう状態かと言えばそうではなく、
ある一部の者だけが疲労困憊の中で頑張っており、何かその不公平感が
よりいっそうダメージを与えているような気がしないでもないのだが・・・・・。
だけど、そこから抜け出す手立ては無く、いや無い訳ではないのだが
専門職というか、職人的な技術を習得したものでなければ手に負えない職種ゆえ、
じっと我慢するしかないのが実情。
そこから抜け出すにはその後継者を育てればいい訳で、、、、
と言うほど生易しいものではないのだが。
いやはや、難儀な職についてしまったものである。
そうするとやはり現実逃避というか、ともかくその環境から少しでも離れたいと思うのは
決して私だけに限らず、皆が思う事。
年度末近くになれば有給休暇の消化が
義務付けられてもいる訳で、
皆が競って休暇日の
奪い合いとなるのは当たり前。
私はといえば
どうもそういうところの強さと言うか、
強引さに欠けるものが有り、
決して遠慮している訳でもないのだが、どうも休みそびれてしまう。
そういう意味では自分が絶対に悪い訳で、なのに自分の疲労は他人のせいで
どうして自分ばかりが・・・・・と、凄く嫌な人間に成り下がるのである。
そんなことも更に自分の気持を落ち込ませ、ズルズルと負のスパイラルに落ち込んでいく。
そこで、そんなテレビ番組を観てしまうと、何時かはあの山、この山を登り
稜線に吹く風を思いっきり浴びたいとも、雲海から昇りはじめるご来光に照らされたいとも、
そんな夢みたいな事ばかりが心の中を駆け巡るのである。
暫しの妄想のあと、現実に戻ればそろそろ自宅を出る時間になり、
まだ暗い朝に玄関を出るのは実に辛く、何時になったらこの辛さから逃れられるのかと、
数年後の誕生日を指折り数える日々は続く。
あと2ヶ月もすれば桜の咲く季節となる。
いつまで続くのか分からぬ
今の仕事も春のなれば、
夏になれば、
そして一年も経てばと
やがては楽になると信じるだけ。
そうしたら、その時は、やはり山を目指したい。
あの声優鈴木麻里子さんのように、朗らかに、心優しく思いっきり山を楽しみたい。
尖った、そしていやな人間になってしまった自分を鎮めるためにも。