「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

治療の継続について (2)

2008年08月30日 21時07分37秒 | BPDの治療について
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55707667.html からの続き)

 境界性パーソナリティ障害の人が 治療を続けられない理由には、

 もうひとつの 境界性パーソナリティ障害の症状があります。

 それは 「見捨てられ不安」 です。

 対人関係の不安定さが 医師との間にも 生じてしまいます。

 人を信頼できない,ちょっとしたことで 見捨てられたとか

 突き放されたと 感じてしまうという、

 この病気の特徴が 治療の中断につながりやすい 宿命にあります。

 境界性パーソナリティ障害の人は、 「ワラにもすがる」 思いで 医師を頼ります。

 「どうせ この先生も 私を見捨てるに違いない」

 そういう気持ちが 根底にあることが多いのです。

 そして、この予測は的中します。

 いや、的中したと 思い込んでしまうのです。

 患者は医師に  「共感の言葉」 を求めますが、

 境界性パーソナリティ障害では 共感するだけでは 治療にならないので、

 医師はあえて そのようなことを言いません。

 患者は 「私を治す気が ないんじゃないか」 と感じて、

 不審に陥ってしまうのです。

 その根にあるのが 見捨てられ不安です。

 相手が自分に 手を差し伸べてくれないと感じ、

 不信感を抱いて 治療が続かなくなってしまいます。

 
 また、診察時間に対して 不満を抱くこともよくあります。

 保険診療の枠内で 治療をする限り、

 診療時間には制限がありますし、予約時間も目安に過ぎません。

 でも 境界性パーソナリティ障害の人は、

 自分の診察時間が遅れたり、延ばしてもらえないことに 不満を訴えます。

 人を頼ろうとする余り、客観的な判断が できなくなってしまうのです。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55731322.html

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集」

   林公一 (保健同人社) より 〕
 
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