「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

治療の継続について (3)

2008年08月31日 20時47分25秒 | BPDの治療について
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55719268.html からの続き)

 患者の家族が、治療継続の妨げになる ケースもあります。

 境界性パーソナリティ障害の人の家族は、大きくふたつの タイプがあります。

 ひとつは 「無関心型」、もうひとつは 「過干渉型」 です。

 過干渉の場合、患者本人のことを 心から心配し、

 よりよい医療を求めて 努力しますが、残念ながら 見当違いの方向へ行ってしまい、

 かえって回復が 阻まれてしまうことがあります。

 ある症例では、家族が 患者の病気の原因を、

 親からのトラウマだと 信じてしまいました。

 けれども パーソナリティ障害の原因が 何であるか、

 その判断は簡単ではなく、個々のケースによって 異なります。

 人格が何によって 形成されるかは、とても難しい問題です。

 幼少時や思春期の トラウマが影響することは 考えられますし、

 そういう説もありますが、それは現在は 仮説の段階です。

 実際には 原因は親からのトラウマでない 場合も多いのです。

 育て方の問題だけで 境界性パーソナリティ障害に なることはありません。

 境界性パーソナリティ障害の人は、

 両親のせいで 自分はこうなったと 訴えることがよくあります。

 そのように 主張すること自体が、

 境界性パーソナリティ障害の 症状であるとも言えます。

 医師は それは分かっていますが、

 それが症状であると指摘しても 治療にプラスにならないので、あえて説明しません。

 それが家族には 曖昧に見え、不満を持ち、

 医師を次々と変えるということに なってしまいました。

 家族が患者のためにと 奔走するのは責められませんが、

 その心配が 的外れであるために、治療を続けられず、

 回復が見込めなくなって しまうこともあるのです。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55747572.html

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集」

   林公一 (保健同人社) より 〕
 
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