「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

無期  反省続くか -- 償いの意味 (5)

2009年06月16日 21時22分19秒 | 死刑制度と癒し
 
 1999年9月、

 3人の死刑囚の 刑が執行されたニュースが 報じられました。

 3人とも無期懲役囚で、

 仮釈放中に 再び殺人を犯して 死刑が確定したのです。

 桜井昌司さん (62) は そのうちの一人を 知っていました。

 冤罪で服役中、 刑務所で一緒だったのです。

 その男は 刑務官には模範囚ぶりを 示していましたが、

 仲間がミスをすると すぐ刑務官に言いつけるような 嫌がらせをしていました。

 刑務所から出して大丈夫なのか と思う人間が、 刑務官に媚びへつらい、

 仮釈放されるのを 桜井さんは見てきました。

                   *

 千葉刑務所の教誨室では 毎月1回、

 受刑者が その月に命日を迎える被害者の 冥福を祈ります。

 定員が約30人の教誨室は 常に埋まり、

 2回に分けて 行なうこともあります。

 償いの気持ちを 持続するのは簡単ではありません。

 多くの受刑者は まじめに教誨を受けていますが、

 早く仮釈放になりたいため、 反省を装う人もいるようです。

 仮釈放を判断する 地方更生保護委員会の元委員は、

 無期懲役囚は 特に慎重に 反省の度合いを 確認すると言います。

 しかし その判断は難しく、

 自信を持って 許可を出せたことは 一度もなかったと明かしました。

                   *

 仮釈放された人は、 社会に順応するため、

 一定期間を 更生保護施設で過ごします。

 60を過ぎた ある無期懲役囚は 毎朝6時前に起きて、

 自分が殺害した被害者に 線香を上げます。

「 もう見せかけの償いなど 必要ないのだから、

 本当に反省しているのだろう 」

 施設長は そう語りました。

〔 読売新聞より 〕
 
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