「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「永山基準」 最高裁の答え -- 選択の重さ (5)

2009年06月03日 20時57分55秒 | 死刑制度と癒し
 
 1983年、 最高裁は 二審の無期懲役判決を破棄し、

 東京高裁に差し戻しました。

 被告の名は 永山則夫。

 19歳だった68年秋、 東京,京都などで 警備員や運転手ら 4人を射殺し、

 強盗殺人などの 罪に問われました。

 83年7月の最高裁判決は、

 のちに 「永山基準」 と呼ばれる、 死刑適用の基準を示します。

 犯行の罪質, 動機, 殺害方法, 被害者の数, 遺族感情,

 社会的影響, 被告の年齢, 前科, 犯行後の情状。

 これらを総合的に考慮し、 やむを得ない場合は、 死刑の選択も許される。

 (死刑適用は) いかなる裁判所でも 死刑を選択したであろう程度の、

 情状がある時に 限られるべきだと。

 背景には、 死刑存廃論議の高まりがありました。

 イギリスやフランスで 死刑が廃止され、

 財田川事件, 免田事件, 松山事件で 再審が決定が出され、

 冤罪問題も クローズアップされていました。

 9項目のうち ことに重視されたのは、

 殺害方法の執拗性・ 残虐性と、 被害者の数だと言われます。

 そして 被害者が1人の場合、

 よほどの事情がなければ 死刑に出来ないという 傾向が生まれます。

 無学だった永山被告は、 拘置所で 哲学書を読むまでに成長し、

 獄中記 「無知の涙」 はベストセラーに。

 東京地裁の陪席裁判官は、

「 何度も 『極刑で 責任を取らせるべきなのか』 と悩んだ 」

 と振り返ります。

 それから14年後、 永山死刑囚の刑が 執行されました。

 奇しくも この年から、

 検察は 無期懲役とされた5つの事件で 上告を続けました。

 「 永山基準とは何か 」を 改めて問うことになります。

〔 読売新聞より 〕
 
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