「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

冤罪の危険、 今も -- 償いの意味 (10)

2009年06月25日 22時55分25秒 | 死刑制度と癒し
 
「 もう取り返しがつかない 」

 岩田弁護士 (63) は、 死刑執行の知らせを聞いて、 絶句しました。

 久間死刑囚 (70) は92年に、 福岡県飯塚市で

 小1女児をふたり 殺害したとして、 06年に最高裁で 死刑が確定。

 一貫して 無罪を主張しており、

 再審請求の準備をしている 最中だったのです。

 この飯塚事件では、 証拠とされたDNA鑑定は  「MCT118型検査法」。

 過日 管家利和さんが 17年ぶりに釈放された 足利事件と同じです。

「 DNA鑑定は一見 科学的に見えるからこそ、 うのみにするのは危険だ。

 特に 90年代初期の鑑定方法は 極めて杜撰だった 」

 と、 岩田弁護士は語ります。

 一方 捜査官の一人は、 状況証拠を積み重ねて、

 DNAだけに頼ったわけではない と反論しています。


 米国では、 死刑判決後に 冤罪が明らかになって

 釈放された死刑囚は、 133人。

 自白や目撃証言に 問題があったケースが多く、

 最近は DNA鑑定で有罪が覆る 例が続いています。

 イリノイ州では2000年に、 死刑囚で13人目の 冤罪が発覚しました。

 同州ではその年から 死刑執行を停止。

 DNA鑑定を受ける 権利の保障と、 鑑定資料の保管を 義務づけました。

 全米で 執行者数が激減しています。


 日本で 死刑囚が再審無罪となったのは 戦後4件で、

 事件は 48~55年に起きています。

 DNA鑑定導入後の足利事件で 無罪が確実になったことは、

 日本の冤罪の危険を 突きつけました。

 ある法務省幹部は、 慎重の上にも 慎重を期して調べ、

 問題がないと確信した 死刑囚についてのみ、 刑を執行してきた と言います。

 また別の幹部は、 科学的な証拠が 重要な位置を占める 事件では特に、

 多角的に 洗い直さなければならない、 と語っています。

〔 読売新聞より 〕
 
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